精のノート

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ザンビアで活動している隊員でザンビアロックソーラン隊と称して日本文化紹介のイベントを行ってきた。

ロックソーランや和太鼓の披露や宗教、年中行事、武道などについての展示、剣玉や折り紙、書道などの体験及び浴衣の試着、DVD上映などを行った。

教科書がなく、インターネットにもアクセスできない子供たちに日本、そして日本人について知ってもらいたい。
そして娯楽のない子供たちに楽しんでもらいたいとの思いからこのイベントを始めた。

でも何より、このイベントを通してザンビア人が日本人に触れ、多くの子供たちが日本人との忘れられない楽しい思い出を作ってもらいたいと思っていた。

そう、そのことがザンビアと日本をつなぐ、新しい架け橋となることを願って。

ザンビア各地を寝袋かついで駆け回り、全16回開催したのだが、そのどれもが特色があって、忘れられない思い出になっている。

特にあのポケットの中身は・・・・。

2008年6月、ソーラン隊の活動が始まったばかりの頃、ザンビア西部州のモングという町でイベントを行った。
400人ほどの子供たちが集まり、大成功だったのを覚えている。

それから一年後、そのモングで開催されるザンビア最大の祭りを見学しに再びモングの町を訪れた。
祭りの前日、町はずれを歩いているとき、ある子供が叫んできた。

「ミスター、スズキ!!」

驚いてその子供を見ると真っ白な歯を見せながら笑顔で走りよってくる。
誰だか全く見当がつかない。

しかし、その子は「ミスタースズキ!!」と僕の名前を連呼する。

そして僕の目の前に来るなりニコニコしながらポケットに手を突っ込んだ。
そしてそのポケットから出てきたものは・・・・・・

一枚の紙

一瞬にしてそれが何だか僕は理解した。

そうそれは僕が彼に書いてあげた書道の紙だった。そこには彼の名前が書いてあった。
それをかれは大切に大切にたたんでポケットに入れて毎日持ち歩いていたんだそうだ。それはあの日の楽しかった思い出を象徴するものだったのだろう。
そしてたまたま歩いている僕を見つけて嬉しくて声を掛けてくれたとか。

もう感激して僕は彼を抱きしめ、「サンキュー、サンキュー」と叫んでいた。

ホテルに行くとカウンターにいる従業員がやっぱり「ミスタースズキね」と言って鍵を渡してくれた。僕の表情が変わるのを見て
「私たちはあなたのことを今でも覚えているよ。あなたがいつ戻ってくるか楽しみにしてたのよ」
と教えてくれた。

うそのような話に驚いた。でも嬉しかった。

つながっている。確実につながっている。
そしてこの橋は想像していた以上に堅かった。
そのことを強く実感した。

あの少年のポケットから出てきた宝物は僕にとっても忘れられない宝物となり、そして2国間をつなぐ宝物となることを願っている。
2009.12.09:sei36:count(1,428):[メモ/コンテンツ]
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