精のノート

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僕はザンビアで学校の先生として活動をしていた。
その学校は地域住民によって設立されたもので、地域に住む孤児を集めて基礎教育を行っているのです。
といっても貧乏な組織のため、満足な校舎を持てるはずもなく、結局荒れ果てたバーを改修して学校として使用していた。
そのため、満足な教室もなく、大きなホールの中で、複数クラスが分散して授業を行うといったスタイルでの授業だった。

そんな中、僕が赴任当初持ったクラスはグレード4(小学校4年生)のクラスで、ホールの脇にある小さな小さな倉庫のような所を使用した。
最初そこで授業をやれと言われた時は小さくはない衝撃があった。
なにしろそこは授業をやれるような環境ではなく、もちろん大きさも20人弱の生徒が入れるほど大きくはなく・・・・・。

さらに

そこには壊れかけた机が数個置いてあるだけで、あとはただの壁、壁、壁。
もちろん教室にあるはずの黒板なんて・・・・・

いや、あった、あった。

壁の一部が黒く塗られていて、よく見ると『Science』などという板書の形跡があるではないか!!!!

確かに授業をした跡が見られ、その脇にはチョークを消したような跡が付いている葉っぱが捨てられていた。

そうか、そうなのだ。

この壁を塗りつぶした部分が黒板であり、この葉っぱの束が黒板消しなのだ。

それからはその8人も入れば窮屈な部屋に20人近くが詰め込まれ、書きづらい小さな黒板に板書内容を吟味して書き込み、近くで葉っぱをむしっては黒板消しにするといった学校生活が始まった。
それでも生徒達は僕の授業を楽しみにしてくれて、前向きな態度で授業を受けてくれ、毎回笑いの絶えない楽しい授業を行うことができた。

今思うとあの小さな黒板があの学校の、いや教育の原点だったのかもしれない。
そして僕の活動の原点でもあったのだと思う。

他の隊員より恵まれない環境、まさしく協力隊を絵に描いたような何もない学校、そんなないないづくしの中で
「何を、どうやって教えるか」
を考えた日々は僕に教育というものを考えさせ、充実した日々を与えてくれた。

今、在ザンビア大使館の行っている(外務省が行っているとも言えるが)草の根無償資金援助により、僕の配属先では新校舎の建設が進んでいる。
これが完成すると、5つの教室と1つの図書館ができることになる。

完成を見ずして帰国したことは残念でならないが、草の根資金援助を得ることができたことで配属先にお世話になった恩返しができたのではないかと思っている。

新しい校舎ができた時の喜ぶ子ども達の様子が目に浮かぶ。

新校舎で希望を持って学ぶ子ども達がそれぞれの夢を掴むことができることをここ遠い日本から祈るばかりである。
2009.10.26:sei36:count(1,146):[メモ/コンテンツ]
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