居酒屋ぎゃろっぷ

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アメリカ人はとにかく会話好き。特にカリフォルニアンはすごい。ジムやら、プールのジャグジーやら、スーパーのレジやら、とにかく見知らぬ人と至る所でいろんな話をする。そして最後にこういう。「名前なんていうの?」「マイクだ。(例)」「俺はジョン。(例)」「またどっかでね。」

自分が誰に話しかけているのかは別にどうでもよく、その時の会話を楽しめればいいという考え。逆に言えば、誰も仕事や身分を気にせず、人間対人間で話している。体面や体裁を気にする国から来た僕は最近やっとこれに慣れた。結構気持ちがいいもんだ。

最近慣れて気にも留めなくなったが、日米のいろんな違いを独断と偏見でメモることにしよう。今日は昇給。

日本では昇給は待っていたり、歳を取るごとに上がったりするが、アメリカは自分から「これこれこうしたから給料あげろ!」と上司に言わなければいつまでたっても上がらない。根底にあるのは黙っていては誰も見向きもしないという考え。とにかく、言わなければ何ももらえない。ガツガツしなければいけないのだ。

控えめさを良しとする国から来た僕には、これには今でもちょっと勇気がいる。


悪い所が最初に目につくのは人間の性。だが
たまにはアメリカの良いところも書いてやるか。

こっちにいて目の当たりにするのがアメリカ人の家族愛の強さ。
アメリカに来た当初はこっちの人が全てマザコン、ファザコン、
シスコン、ブラコンに思えたほど。メキシコ人の家族愛は
もっと強く、旅行から買い物まで家族親戚一緒になって行動し、
いたるところでハグハグしてる。とにかく家族を大事にする。

私的なことで恐縮なのだが、高校時から下宿をして、
その後ずっと独り暮らしをしている私は、
家族と音信不通になった時期がかなり長かった。
いまから思えば、忙しい昨今、ただでさえ難しくなっている
貴重な家族との時間の共有を失ったことになる。

日本では、家族愛の表立った表現には、どこかあまり良くない、
恥ずかしいイメージがつきまとう。だが、今、例えば、
私が日本に帰ったとしたら、なんの躊躇もなく言える。
「お父さん、お母さん、妹、弟、いつも、ありがとう」と。

こっちに4,5年生活していると、アメリカ人と日本人の
表面的な違いのほかに、その違いが一体どこからくるのかが
分かるようになる。とくに最近は「男性像」の違いに驚く。

例えば、ある仮装パーティーの出来事。テーマは「笑える格好。」
私は日本では何の変哲もない「もじもじ君」スタイルの全身タイツで
出席。奇妙なダンスを披露し、参加者の爆笑を誘ったはいいが、
それは「コイツ、頭イカれてるんじゃないか」的なものだった。

逆にアメリカ人の男性達はドラキュラやトラックの運転手といった
私から見れば「一体これで何がおかしいんだ?」的な衣装。
他のパ−ティーなどでも、日本の「王様ゲーム」的なものはご法度。
「彼女を裏切ることになるからキスはしない」と言われて終わり。
全く羽目をはずせず、「呑んだ席の余興」という考えが
まったく存在しない。そして、たとえ笑わせようとしても、
彼らのそれは一つも笑えない。そう思ったことのある日本人は
実は意外に多いと思う。

最近、このアメリカ人男性と日本人男性の違いがどこから
来ているのが分かってきたような気がする。それは、ずばり、
「ジェームスボンドの文化アメリカとお笑いの文化日本」
の違いである。

日本はお笑い文化だ。小さな頃からそれと共に育つため、
笑いに対する目が肥えている。その分、下手な笑いには非常に
厳しい。自然と笑いが高度化し、間接的な皮肉、比喩などに
満ちた非常に計算された、ある種知的なものになる。
そして、「笑いを取る」ことは非常に良しとされ、
それのために何でもする男はちょっと尊敬されたりもする。

逆にアメリカは、007のジェームスボンドが象徴するように、
「レディーファーストでセクシーでクールでタフ」な男が良しとされ
日本のように「面白くて笑わせてくれる」男は「Jerk (まぬけ)」
と呼ばれ女性に相手にされない。私が全身タイツのときも、当時
付き合っていたアメリカ人女性に「どうしてあんなことするの?」
とこっぴどく叱られた。ずばり「キザ」な男が理想の男性像なのである。
そんな文化の中で育てば、人間誰でも自然と面白くもなんとも
なくなるのも全く不思議ではない気がする。

さらに、たとえ笑いと取ろうとしても、「言わないとわからない」
アメリカ文化が全ての笑いを直接的なものにしてしまい、
まるでオヤジギャグの連発。正直、悲しささえ漂ってしまう。

最近、この文化の中にいて、自分が彼らのようになりつつあるような
気がしてならない。日本のアホができるテレビ番組が恋しい。

3冠確実と思い歴史的瞬間を見ようと競馬場に足を運び単勝馬券を5枚購入。競馬場は超熱狂の渦。レースはまさにミホノブルボンがライスシャワーに差された菊花賞のようだった。向こう正面の直線でスマ−ティーがかかり気味に早くも先頭。ゴール前まで踏ん張ったが最後の最後に単勝37倍の伏兵に差され2着。史上12頭目、26年ぶりの3冠ならず。こっちではこの3冠最終戦を「真のチャンピオンのテスト」と言うらしい。過去8年で6頭の2冠馬が涙を飲んだことから、いかにこの最後の一冠を勝つのが難しいかが分かる。

昨年暮れからの6ヶ月間、駄目駄目なアメリカの医療に高額な治療費を払ってきてうんざり。こっちは保険(民間しかない)に入ると、月3,4万円、家族で6、7万円。月だよ!更に2,3割負担で歯医者、皮膚科はカバーせず。やっぱり誰でも入れる日本の国保のシステムは素晴らしい。残念ながら、今はビザ移行の谷間で保険がない状態。アメリカ人の四分の一しか保険を持ってないのだから、あとの3人は病気になったら高い治療費(救急治療で最低20万円)を払うか、死んで下さいと言っているようなもの。アメリカはすごい国だ!