§14 親と子の対立について

親子の間には、どんな家庭でも大なり小なりの対立はつきものです。
内容は小さな意見の相違から大きなケンカを伴うものまで、いろいろあります。
親と子といえども別の考えがあり、感じ方が違うのですから対立があるのが当たり前といえるでしょう。
子どもも一人の人格を持った人間であり、親の所有物ではないのですから、
親のいいなりになってもらっては逆に困るわけなのですが、
あまり子どもが自分の意見を通そうとし、親のいうことを聞かないと、
『親という役割業』を辞めたくなることもあるでしょう。
 よく夏休み前になると
「夏休みの間子ども達とケンカをしないで過ごすにはどうしたらいいのでしょうか。」
と質問が多くなります。
子どもも大きくなってくると小さいときと違って自分の意見を通そうとしますし、
親も自分の意見を言い聞かせようとします。
そこで対立が起こるわけです。
意外に子どもの意見を聞いていると『なるほど』と思うときがあるのですが、
そのときはすでに遅くお互い引っ込みがつかなくなってしまっていることがあるものです。
対立したときは相手と口をきくのはイヤになりますね。

 親業訓練講座を提唱した臨床心理学者のトマス・ゴードン博士は、
「対立は人間関係の真実の瞬間である。」と言っています。
対立は必ずしも悪いことではないと言うことです。
たとえ親子といえども、
別の人格を持った人間がいつも同じように、考えたり、感じたりすることはないということです。
人間が二人いれば、対立はあるのが当たり前といえるでしょう。
親と子の間に対立をなくそうとするよりも、当然でてくる対立をいかに解決するかの方が重要でしょう。
対立をいかに処するかで親子の関係を強くもし、弱くも出来ます。
親子が互いにしっかりした絆で結ばれるか、
あるいは心理的な傷を後まで残すような破壊的な関係へ進んでしまうことになるのか、
いずれの可能性も含んでいるのです。
「対立が何度起こるかではなく、いかに解決されるかが、あらゆる人間関係を左右する決定的要因である。」
とトマス・ゴードン博士(親業訓練講座の提唱者)は言います。



2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]