§11 魔法使いがやってきた  わたしメッセージ

子どもの行動を変えさせようと思うとき、親は子どもの自尊心を傷つけるような言葉を使いがちです。
それは無意識にこのようなメッセージをつたえてしまいます。
  ~あなたのやっていることはよくない。あなたの○○はだめだ。~
これは、『あなたメッセージ』と言われる言い方です。
 しかし、そんな言葉では子どもは行動を変えることはないでしょう。
『わたしメッセー」ジとは、
  ①子どもの行動を非難がましくなく、
  ②子どもの行動によって親の受ける影響を具体的に、
  ③子どもの行動によって受ける影響を正直に、
この三点を満たしている言い方です。
指示命令とは違って子どもが行動を変えやすくなります。
焦点を親の気持ちに合わせる言い方です。
 3歳の子どもに
「①おもちゃがいっぱい、ここにあると(子どもの行動)
②ママは掃除機がかけられなくて(親の影響)
③本当に困っちゃう。(親の気持ち)」
と言ったら
「ママ掃除機かけたかったの。わからなかった。」
と急いで片付けたそうです。
親業を学ぶ前、
『(あなた)早く片付けなさい。』
と言って子どもの行動を変えさせようとしている間は、
『だって』『でも』『まだ遊ぶの』と反発したり、
無理矢理片付けさせようとすると泣いて困っていたという話を
受講生さんから聞いていました。
このときこう話してくれた受講生さんはまるで、自分が魔法使いになったような感じだったそうです。

 わたしメッセージは、
私が今どうして相手の行動をイヤなのかを、
わたしという主語で非難がましくなく、
事実を伝えていくものですから、
親と子どもの関係を損なうことなく、
相手が行動を変えようという気持ちになりやすくします。
また、親の言葉を子どもが考えて行動を変えるわけですから、
子どもの思考力を育てる結果にもなります。


 先日、離婚した人達が話しをすることで前を見ていけるような自助グループで、
わたしメッセージで話すようにアドバイスしているという事例を知りました。
「私はどう して元夫 (妻)に対していつまでもこんなに強い怒りを感じ続けているのだろうか。」
「私はこんな時に元夫(妻)への強い怒りを感じる。」
このようなわたしメッセージで話すそうです。
わたしメッセージは問題であると思われるエピソードを語り手の感情に焦点づけることによって、
何が問題なのかを明らかにしていくのに役立つそうです。
ところが、あなたメッセージの形で、エピソードを語っていくと、
例えば
「あなたは私を愛していると言っておきながら、外では実は遊んでいた。」
「あなたは私たちに節約を強いておきながら、自分は外で無駄遣いをして楽しんでいた。」
などという語り口になり、相手に対する非難攻撃に焦点づけることになるのだそうです。
自分の気持ちを整理するのにも役にたつのが、わたしメッセージです。

2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]