鉄道写真展「山形四季」から  ⑤峠下り、初夏の山形へ

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ⑤峠下り、初夏の山形へ

 国鉄DE10型ディーゼル機関車が好きだというただのDE10好きさんの作品は「峠下り、初夏の山形へ」。高くそびえる県境の山並みを越えて、列車が山形(あるいは故郷)に入って来る。この風景は、もちろん目に見えている光景なのであるが、作者の心に浮かぶ情景でもあるのだろうか。

 

 汽車通学を経験した方が、「あの西山の風景が、一番記憶に残る故郷の風景だった」と語ってくれました。ふるさとの原風景として、山の存在は大きなものがあるように思う。かつて『7人展Ⅶ~私の長井線』に出品された歌丸の人さんの「紅(くれない)の山」を見て、「東西南北それぞれの山容の作品を見てみたいものだと思う。」と書いていたことが思い出された。

 → 長井線リポート(13) 故郷の山に:おらだの会

 → 『7人展Ⅶ』②  紅(くれない)の山:おらだの会

2026.09.16:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ④厳冬を支える

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ④厳冬を支える

 続いて、たなあきさんの作品「厳冬を支える」である。「厳冬を支える」というタイトルは、厳冬の中でもみんなの足として暮らしを支えているという意味であろうか。

 

 車体に雪をまとった列車がホームに並んでいる。運転手の姿が見えないことで、列車同士が会話しているように思えてくる。「今日は吹雪くね!」「あそこの吹き溜まりには気をつけろよ」などと、お互いに声を掛け合って、励まし合っているようにも見えるのである。そしてこの舞台にとって、雪は不可欠な小道具であることに気づかされる。

 

 鉄道写真には車両、駅、人、自然など、たくさんの題材があるけれども、テレビで人気の「機関車トーマス」のように、列車同士の物語があっても楽しいように思う。さて、子供たちは、この作品にどんな物語をイメージするのだろうか。

2026.09.14:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ③吹雪く

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ③吹雪く

 ぬった~り~!!さんの「吹雪く」。運転手は慎重に運転レバーを握っているのだろうか。乗客はうたた寝をしているのだろうか。この吹雪の中でも、列車のヘッドライトと室内灯の灯りが、運転手と乗客の間に流れる温かな空気と信頼感とを感じさせる。

 

 吹雪の夜、終列車で帰った時のことを思い出した。私は先頭車両の最前面に立って、目の前の景色を眺めていた。レールは全く見えない。線路脇の壁を乗り越えて雪が視界に飛び掛かってくる。列車はラッセル車のように線路上の雪を蹴散らしながら進んで行く。右に左に揺れる様は、さながらゴーカートのように、脱線したのではないかと思うほどだった。その時の若い運転手の、いつもと変わらない落ち着いた横顔が印象的であった。

 

 作品を見て「いいなぁ」と思うのは、似た光景の記憶があるということが、大きな要素になりそうである。若い人たちの作品に「いいなぁ」と感じられる内面を、私は持っているのだろうか、誠に不安である。せめて作者の皆さんに、一瞬を捉えた時の閃き、そして作品となって見た時の感慨を聞いておきたいと思う。

2026.09.12:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から ②春風

  • 鉄道写真展「山形四季」から ②春風

 作品紹介の第2弾は、あっきーさんの「春風」。奥羽本線茂吉記念館前駅で撮ったとのこと。列車を見下ろす高台のベンチの二人。会話が弾んでいる様子がうかがえる。「春風」という題名も素敵だ。

 

 この作品を見て、「背中は人生を語る」の格言が浮かんで来た。眼下の列車も二人の人生の来し方を語っているようにも思える。同時に、6月に展示をしていただいた林博昭さんの「車両のない鉄道風景」を想い出した。もしもあっきーさんの作品に二人の顔が登場し、車両がなかったらどうなるのだろうと。

 

 あっきーさんは撮影の後、お二人から大きなおにぎりをいただいた、と笑顔で語っていた。いかにも「春風」のさわやかさと温かさを伝えるエピソードである。

2026.09.10:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から ①枝垂桜とフラワー長井線

  • 鉄道写真展「山形四季」から ①枝垂桜とフラワー長井線

 鉄道写真展「山形四季」が9月5日からスタートした。10代から20代の鉄道が大好きな若人7人の合同展である。以前、地元の長井高校写真部の「高校生が創るフラワー長井線物語」を見せていただいたが、それとも趣を異にしているように思う。若い撮り鉄さんの作品を紹介していきたい。

 最初は田舎の単3電池さんの作品「枝垂桜とフラワー長井線」。羽前成田駅のお花見会に撮影されたとのこと。樹齢を感じさせる幹と枝垂れ桜のコントラストが素敵だ。そして乗客の皆さんが手を振っているのが見える。花見をしている人達と笑顔でつながっているのだろう。こんな風に、旅する人と地元の人が手を振り合う光景は、鉄道風景の最も素敵な一瞬であるように思う。

 こんな風景を、この枝垂れ桜は何年もの間眺めてきたのだろうか。「ダリア号」は近いうちに引退すると聞いているが、ダリア号への感謝の一枚になるかもしれない。

2026.09.08:orada4:コメント(0):[停車場風景]