医療法人社団聰明会 みゆき整形外科クリニック

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野放し状態の凶器「ぺん」

日照時間が全国で3番目に少ない山形県にとっては、一年で一番過ごしやすく、天気のいい季節になりました。今日も大変いい天気です。私は休日診療所の当番医で、休日診療所の窓から空を見上げております。気分は刑務所の囚人です。
連休中もおおむねいい天気で、山形県内にも県外ナンバーの車が多くあふれていました。みんなが陽気に誘われて車で行楽に出かけると、必然的に交通事故も多くなります。今年も毎日交通事故のニュースが報道されていました。交通事故のニュースでもマスコミは相変わらずの偏向報道をしています。
高齢者が事故を起こすと、「高齢者の運転する」という形容詞を必ずつけます。しかし、50歳未満の人が事故を起こしてもそう大きくは報道しない。道路を逆走しても、人を誤って死なせてしまっても、「高齢者」だと大々的に報道する。まるで高齢者が必ず事故を起こして、人を殺すみたいな論調です。本当にそうなのでしょうか。
警察庁の統計表を見ると、交通事故件数が多いのは20代、30代、40代の順になっています。高齢者の事故件数より若い人の方が事故を起こしているのです。また、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は80歳以上と16〜19歳の年代が突出して多いです。しかし、高齢者の免許人口当たりの死亡事故件数は減少傾向にあるのです。日本では高齢者がどんどん増えているにもかかわらずです。
若者、中年も逆走しているのです。交通死亡事故をたくさん起こしているのです。それなのに「高齢者の免許返上をもっと促進しないといけない。」挙句の果てには「自分の親を殺人者にしないためにも免許を返納させるべきだ。」などと言う極論をテレビのワイドショーでいけしゃあしゃあと言っている頭の悪いコメンテーターまでいました。その論調で行けば車の免許はすべて20歳からしないといけない。そうしないと「自分の子供を殺人者にしてしまう。」という事になります。
そもそも交通死亡者数は交通戦争と言われた昭和45年の年間16000人から、減少し続け、昨年は約3500人の方がなくなりました。交通事故死者数は、みんなの努力で減少しているのです。マスコミは「なぜ今なのか」という言葉を最近よく使いますが、なぜ今減少傾向にある交通事故を大々的に取り上げ、そして高齢者を社会から締め出すようなことを画策するのか。それはネタがないからです。また、衝撃的だが、めったに起きないことをさもよく起きる事のように大々的に報道するのが最近のマスコミだからです。その方が視聴率、発行部数が稼げるからです。そして国民をミスリードする。さらに、容疑者、被害者に殺到して、ぶしつけな質問を浴びせ、だれかを絶対的な悪人に仕立ててしまう。過去に、何度そんなことがあったでしょう。
今回の大津市の痛ましい保育園児の交通事故でもマスコミが保育園に殺到し、相変わらず、さも保育園に落ち度があるかのような質問をしていました。これに対してはさすがにテレビでも批判があがり、インターネットでは「またマスゴミが」という事でごうごうたる非難が上がっていました。
いい加減この傲慢なマスコミをどうにかしないと将来の日本は本当に危うくなると思います。「ペンは剣よりも強し」とマスコミは得意げに言いますが、その通りです。今やペンは剣よりも殺傷能力が強く、ひとたびペンによって悪人にされた人間は、徹底的に糾弾され、社会的に二度と立ち上がれなくなる程抹殺されてしまうのです。そんな凶器をマスコミと称する人たちに安易に持たせていいのでしょうか。剣や銃は銃刀法によって厳しく規制されているのに、それより殺傷能力の強いペンが野放しにされている。「報道の自由」を盾にするマスコミは「凶器を持つ自由」、「殺人をする自由」を声高に主張しているに等しいと私は思います。これ以上偏向報道を続けるマスコミを許しておいてはいけません。

2019.05.13:miyuki-cl:count(3,280):[メモ/コンテンツ]
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