商売って つくづく難しいと思う。
「商売」は「笑売」なんてもいうけど、笑えないときもあるわけよね。
『ブランマンジェ』という新作をシェフが作った。
もちろん、まじめに作ったもの。
シェフに言わせればあたり前に作ったもの。
アーモンド風味のふるふるのミルクゼリーみたいなスイーツなのだが、
このアーモンドの香りをつけるために香料を使えば、いとも簡単にできてしまうのである。
時間短縮、コストもかからない作り方は
ある意味 上手な商売のやり方なのかもしれない。
菓樹の場合は、本物のアーモンドを香りが良くなるまで炒ってから、
牛乳に浸してつぶしながら煮出す。
そして一晩おいて香りを移す。
時間も コストもかかる。
でもおいしい!だからこそおいしい!(と思う)
合成の香料を使わないので体にも優しい。
あたり前だけど、本物の味を楽しめる。
手間ひまかけて作ったものには、数字に表せないおいしさがあると信じている。
でもそれは思い込みなのか・・・と思わざるを得ない現実。
簡単に作ったものはもちろん安く提供することが出来るから、手ごろな価格で売れる。保存料なども入れれば日持ちもするのでロスも少なくてすむ。
商売というものは、それが正しいやり方なのか?
まじめに作った本物の味、正当な価格のお菓子はそんなに求められていないのか?
時々つらくなるときがあるのです。
どんなに まじめにおいしい物をつくっても
それをわかってくださる方、求めている方がどれだけいらっしゃるのだろうか。
カスタードクリームにしても シュー生地にしても サブレに至るまで
自分のところで一から作らなくても、今は洋菓子店向けの便利なものがたくさんある。
おいしいと評判のお店でもカスタードクリームを自分のところで炊いていなかったりもする。
出来合いのものを使えば誰がやっても同じ味になるし、技術もさほどいらない。
だた、味はそれなりである。
それでいいのか。
商売として成り立てばいいのか。
そこにはこだわりは必要ないのか?
心を込めた手づくりに意味がないなんて悲しいぜ。
世の中を見れば、歌がすっごく上手くて顔もなかなか。
なのにさっぱりヒットしないという歌手がいる。
地元のビアパーティーなどに来てくださる歌手の方は
声が良くて、本当に歌が上手い。
なぜこの人がヒットしないのだろうと思ってしまう。
歌手もお菓子もまじめでウマいだけじゃ、商売としてはダメなのかなと思う今日この頃であります。
で、色々思うけど
菓樹が9年も続いているということは少なくとも菓樹のお客様は菓樹のそんなところをちゃんとわかってくださっているのだと気がついた。
ありがとうございますm(__)m
ん、やっぱりブレずに進もうと思います。