寺田寅彦という人をご存知でしょうか?
私は NHKの番組を見てはじめて知ったのでした。
その番組を見て 人間て学ばないんだなぁと感じた。
『天災は忘れた頃にやってくる』
そうなんですよね。わすれちゃうんだよ。
喉元過ぎれば熱さを忘れるんだよ 人は。
いや、ぜんぜん忘れてないよ という人もいるかもしれません。
二十年後、三十年後はどうでしょう?
あたり前に日が昇り 沈むことを一万何千日か繰り返した頃に
この恐ろしい出来事がまたやってくるかもしれないことを考えるでしょうか?
そして自分がこの世にいなくなったとき
子や孫はその事実を知っているのだろうか?
子孫が生き延びるために この経験を伝えられるだろうか。
また繰り返すのかもしれない、きっと。
同じ悲しみを。
そのことを寺田寅彦は『人間的自然現象』だといっている。
―――以下 津浪と人間 より
しかしまた、罹災者(りさいしゃ)の側に云わせれば、また次のような申し分がある。
「それほど分かっている事なら、何故津浪の前に間に合うように警告を与えてくれないのか。正確な時日に予報出来ないまでも、もうそろそろ危ないと思ったら、もう少し前にそう云ってくれてもいいではないか、今まで黙っていて、災害のあった後に急にそんなことを云うのはひどい。」
すると、学者の方では
「それはもう十年も二十年も前にとうに警告を与えてあるのに、それに注意しないからいけない」という。
するとまた、罹災民は
「二十年も前のことなどこのせち辛い世の中でとても覚えてはいられない」という。これはどちらの云い分にも道理がある。―――
そしてこうも言っている
科学の方則とは畢竟(ひっきょう)「自然の記憶の覚え書き」である。
自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
私は深く考えてみることにする。
寺田寅彦 『津浪と人間』(←クリックで見れます)
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