「新図書館」構想⑥ 一般質問、そろい踏み…反対陳情も

 

 花巻市議会3月定例会(2月28日開会)の一般質問で4人の議員が喫緊(きっきん)の重要課題である「新図書館」構想を取り上げることが25日、開催の議会運営委員会で決まった。本舘憲一(花巻クラブ)、照井省三(平和環境社民クラブ)、伊藤盛幸(市民クラブ)、櫻井肇(共産党)の各議員で、「今後、目指すべき図書館像」や「教育委員会との関わり」、「構想に至るまでの経緯」、「市民の意見集約の方法」―など多岐にわたって論戦が交わされる。同市議会では最終日(3月18日)に図書館問題に特化した「特別委員会」の設置を予定しており、その前哨戦としての論戦の行方に市民の注目も高まっている。

 

 これとは別に「図書館の単独整備」を求める陳情書も付託先の文教福祉常任委員会に提出され、その参考人陳述は3月9日午後開催の同委員会で行われる。提出者は「新花巻図書館を考える会」(山下牧子代表)。今回の構想をめぐっては、「理念なき図書館」などという批判も強く、その考え方のひとつとして以下に全文を転載する。なお、一般質問は本舘、照井、伊藤の3議員が初日の3月3日に、櫻井議員は5日にそれぞれ登壇する。文化都市「イ-ハト-ブ」のシンボルを決するビッグプロジェクトでもあり、多くの市民の傍聴が望まれる。

 

 

 

陳情―《新花巻図書館は、単独の建設整備とすること》

 

 

 現在の花巻図書館は昭和48年7月に開館し、これまで40年以上にわたり市民図書館サ-ビスを行ってきました。生涯学習の拠点施設として、図書館の役割は今後ますます重要になり、新しい図書館に対する市民の期待は高まっています。私どももここ数年、一関市、紫波町等の図書館を訪問・調査したり、専門家をお招きして新図書館はどうあればよいかという講演会を開催してまいりました。

 

 市は、2017年8月「新花巻図書館整備基本構想」を策定し、新花巻図書館整備の方針では、「施設の併設等の検討」に「市民のくつろぎと交流の場となるよう飲食スペ-スの設置など複合的な施設の併設も検討する」と記載されています。また、「建設場所に関する方針」には、新しい図書館は「都市機能誘導区域」に整備することとして、場所によっては近隣施設との連携や他施設との複合化など、民間との連携も含めて検討し、候補地を数か所に選定した上で基本計画において場所を決めるとされています。

 

 本年1月29日、「新花巻図書館複合施設整備事業構想」が示され、賃貸住宅やテナント床を有する複合施設とし、建設予定地を現タケダスポーツ店舗用地とすることなど公表しました。図書館と賃貸住宅との複合化は、初めての提案であり、なぜ図書館の上層部に賃貸住宅を建設しなければならないか理解できません。

 

 公益社団法人日本図書館協会が1954年に採択、79年に改訂した「図書館の自由に関する宣言」には「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを最も重要な任務とする」とあります。また、図書館は「学びの場」であり、「公共施設の美」としての評価もあります。新図書館は、単独で整備され図書館の本質的役割を果たす施設とすることを市に要望します。

 

 

 

(写真は花巻市議会の特別委員会の議場風景。今回の3月定例会では図書館に関わる予算審議も予定されており、議員の資質も試される=在任中の花巻市議会の議場から)

 

 

 

《追記》~コロナウイルスの影響、足元にも

 

 新型コロナウイルスの感染が広まる中、花巻市は26日、HP上で相次いでイベント中止の情報を告知した。3月8日に市文化会館で開催が予定されていた「東北農民管弦楽団第7回定期演奏会 花巻公演」と4月26日に同市内のコ-スで行われる予定だった「第8回イ-ハト-ブ花巻ハ-フマラソン」の2大イベント。この措置には納得することができたが、一方で暴風雪警報が出されている中で強行された「どでびっくり市・冬の陣」(2月21日付当ブログ参照)とのちぐはぐさに驚いてしまう。行政側の「危機管理」のいい加減さがさらけ出された格好である。「いい加減にせんか」と言いたくもなる。このまちのあり方は根っこのところで、何か倦(う)んでいるような気がしてならない。さらに、2月29日に市総合体育館で開催が予定されていた「日本ハンドボールリーグ花巻大会」の中止も追加告知された。

 

2020.02.25:masuko:[ヒカリノミチ通信について]