「(新図書館構想に)議会側もびっくりしたということだが、こんな構想を許してしまう議会側こそが当局から下に見られているというか、バカにされているんじゃないのか」―。14日開かれた議員全員協議会(全協)で、図書館問題に関する「特別委員会」の設置を決めたこの日、花南新興センタ-での最後の議会報告会の席上、矛先(ほこさき)が今度は議会側に向けられた。質疑応答の際、特別委員会の設置に至る経緯について、「想定外の構想に議会側も正直、驚いている。今月28日に開催される3月定例会の最終日(3月18日)に、正式に設置を議決したい。図書館はどうあるべきかということに特化した委員会にすることで議員間の合意ができている」と説明があった。
この日の参加者は全部で27人で、矢沢振興センタ-(10日開催)の7倍近い参加者が足を運んだ。今回の新図書館構想への関心も高く、次々に発言を求める手が挙がった。私は図書館の委託調査費が3月定例会で予算計上された場合の対応について、ただした。「当局側はそのような意向だと聞いているが、予算特別委員会もあるのできちんと議論をしたい」と答え、班長の近村晴男議員は「3月定例会は将来を左右する議会運営になりかねない」と決意を口にした。私はかつて想像したことのない光景に若干の興奮を覚えた。そして、マグマが噴出したかのような住民の言葉に耳を傾け続けた。
「議会側はこれまでこの問題にどう取り組んできたのか。図書館は本来、教育委員会の管轄だと思うが、その姿が見えない。市民の声を吸い上げるというが、どんな方法でやるのか」、「新幹線の新花巻駅の設置の時も議会は腰を上げなかった。だから、市民運動の“請願駅”として実現にこぎつけた歴史がある。あの二の舞だけは避けてほしい」(女性)、「3年前に名古屋からUタ-ンしてきたが、医療と福祉の貧困さに驚いている。議員として任期中にこれだけは実現したいという“やる気”を見せてほしい。何年間も議員を続けている人がいる割には使命感というか、志が見えてこない」、「私が以前住んでいた愛知の安城市では議員を囲むような車座方式で報告会をやっていた。今日のような議員と対峙するようなやり方では距離感を感じてしまう」、「パソコンで議会中継を見るが、議員全員の顔を写すことはない。たまには議場の中の議員の顔も拝見したい。傍聴席が狭く、行きたいと思っても苦渋を強いられてしまう」(女性)…。時折、参加者の間から、拍手さえわき起こった。
ひょっとしたら、この日は首長や議員に対する実質的な「リコ-ル(解職)」宣言の節目の日ではなかったのか―。ふと、そんな気にさせられた。全協のあと、現図書館の閲覧室の写真の撮影に訪れた際、女性の司書たちに特別委員会設置の報告した。何を勘違いしたのか、「ありがとうございました」と言われた。その中の一人がニッコリとほほ笑んだ。「私、ニュ-ヨ-ク公共図書館を観ました。あんな図書館がほしい」―。冒頭の辛口発言を含め、報告会で勇気ある発言をした二人の女性、そして図書館への夢を語る司書たち…。女性たちの感性の豊かさにほっこりさせられた不思議な一日だった。
(写真は熱気に包まれた議会報告会=14日午後、花巻市南城の花南振興センタ-で)