「これほどまでに議会はなめられているのか、あるいはひょっとして“敵前逃亡”ではあるまいか」―。「新図書館」構想(2月11日付当ブログ、あるいは花巻市のHP上に公開の議員説明会や記者会見資料などを参照)をめぐる花巻市議会の議員全員協議会(全協)は14日、こんな異様な光景で幕を開けた。今回の構想の最終的な立案責任者である上田東一市長の姿はなく、国から出向している長井謙副市長や担当部課長が神妙な表情で目の前に座っていた。「規則上は副市長以下の出席になっているが、これだけ問題が山積している懸案事項を部下任せで良いのか。他の公務を変更してでも市長自らが説明すべきではないのか」―。ある議員のこの発言をきっかけに当局に対する“集中砲火”が始まった。
「議会に対する事前説明もなく、いきなり図書館の姿がまったく見えてこない構想案が降ってわいた。信じられないほどの議会軽視だ」、「市民参画の手法が完全に無視されている。これから市民への説明をするというが、単なるアリバイづくりではないのか」。「最初から“複合施設”ありきの計画。図書館のコンセプト(理念)のかけらもない」…。冒頭のあいさつもなく、長井副市長は座りっぱなしで、矢面に立った担当の市川清志・生涯学習部長は先月29日に行われた、質疑応答を含む記者会見資料をただ、棒読みするだけ。議員たちのボルテ-ジも次第に上がってきた。「頭(顔?首?)を洗って、出直した方が良い」、「このままではとても容認できない。いったん、構想自体を白紙に戻すべきではないか」、「『新花巻図書館』などという枕を外して、単なる複合施設整備事業構想の方がすっきりする」―
「この際、議会内に図書館のあり方を検討する特別委員会の設置を提案したい」―。約1時間半にわたった全協の閉会間際にある議員が緊急動議を提出した。小原雅道議長が全員に諮った。「委員会の設置に反対の人はいませんか。いないようですので…」―。全員が賛成して、特別委員会の設置が決まった。私は刮目(かつもく)しながら、目の前の光景に目を凝らした。上田ワンマン体制に対してやっと、「ノ-」が突きつけられた瞬間ではないか、とそんな思いがした。私の2期8年間の議員生活ではついぞ、見かけることのなかった場面だったからである。そして、議員本来の姿を取り戻したことを素直に喜びたい気持ちになった。ところで、私はHP上に公開の「市長へのメ-ル」に2月9日付で以下のような投稿をした。本日(14日)現在、「なしのつぶて」である。
《新花巻図書館構想に関連し、次の3点について質問します》
●米国・ニュ-ヨ-クには“知の殿堂”と言われる世界最大級の「ニュ-ヨ-ク公共図書館」(NYPL)があります。かの地の勤務経験が長い上田東一市長はこの図書館を訪れた経験はありますか。ある場合は何度ほどですか。
●この図書館の全貌を描いたドキュメンタリ-映画「ニュ-ヨ-ク公共図書館―エクス・リブリス」が巨匠、フレデリック・ワイズマン監督に手によって作品化(2017年)され、日本でも昨年5月に公開されました。「図書館とはどうあるべきか」―という理念が凝縮された3時間25分の超大作です。上田市長をこの映画を観たでしょうか。
●実際に当該図書館に足を運び、映画も鑑賞されているとしたら、今回の新花巻図書館構想の中にNYPLの理念がどう生かされ、今後どう反映させるつもりなのか―について回答を求めます。
(写真は10人も座ればいっぱいになってしまう現図書館の閲覧スペ-ス。ところが、今回の「新図書館」構想ではこうしたソフト面には一切、触れられていない=花巻市若葉町の現花巻市立図書館で)