◆一着の革ジャンパー◆
初冬の休日、ガレージのロッカーから存在すら忘れていた革ジャンを見つけた。 購入した時の記憶さえも失ってしまった革ジャンだがそれを着てライディングした事も殆どなかったと思われる。 つまりは真っ暗なロッカーに吊るされたまま30年近くも時を過ごしたのだろう。 それとこれを見てスリムな体型だった頃の記憶が甦ったのも事実で勿論今の自分には着用は無理である。 そんな革ジャンを高3の息子に見せたら大喜びで着たいという。 まさか本物の革ジャンが手に入るとは思っても見なかったのだとか。 こいつにしてみれば流行に左右されない不変のアイテムなればこその再登板が廻ってきたのである。 長期の眠りから覚ます手段の第一は全体に発生した白カビを濡れ雑巾で取り除く作業であるが、それは敢えて新オーナーとなる息子にやらせた。 そして次はいよいよ小生の出番である。 脂っけがなくなってゴワゴワになった革の表皮に満遍なくオイルを擦り込む。 時間も忘れて細部まで革ジャンに詫びるように没頭した。 親が着た物を息子が受け継ぐのはチョッピリ誇らしく満更でもない気分である。 そんな嬉しさも手伝っての入念なメンテナンスから3日後。 息子に手渡す時の革ジャンはしっとり潤って見違えるようになっていた。 (画像は右半分の作業を終えた段階で撮ったもの)
2009.12.17