東京の公園の下で
サックスを吹いていた。 休みの日は、晴れていればサックスをたがってお出かけだ。 東京は意外と公園が多い。 昭和の終わりごろの管楽器練習のメッカといえば、やはり代々木公園ということになろう。歩道橋の下がいい場所とされていて、プロの方も随分練習されていた。 NHKの前を過ぎて、渋谷公会堂近くのユニオン楽器に行けば、関根さんの進駐軍時代の話を聞くのも面白かったし。そこでいま吹いてるサックスを騙されて買ったんだ。 TOWER-RECORDの坂を少し上がると、宮澤さんというおじいさんがやっていたSWINGというジャズ喫茶もあって2~3時間昼寝させてもらったり。 竹の子族のブームは終わっていたが、日曜ともなるといろいろなバンドが演奏していたものだ。 西新宿公園でも吹いていた。男の方がビギニで日光浴をなさっている脇で、吹いたりなんかして、いつの間にか絡んでたりなんかして、独特の雰囲気を醸し出していた。 確か山下達郎だったか誰かのサポートをしているサックスの方とお話をしたりして、その方はブラバン出身でJAZZっぽい吹き方はこういう風にしてるよ、なんて教えてもらったり。 そして一番行ったのは吉祥寺の井の頭公園。 家から近いのもあったし、終われば近くの焼き鳥伊勢屋で一杯やったり、友人のスタジオでまどろんだり勝手気ままだった。 その頃の芸風は今よりもかなりフリーキーな感じだったので、「ブホ・ゲシャラ・ピポペ~」などと吹いていると、浮浪者たちにこれでは寝てられないと喧嘩になったりして。 7年間の東京生活はサックスとともにあった。会社に行くときも持っていったし。 満員電車の朝にテナーとバリトンと営業カバンを持って。迷惑だったろうなぁ。 ビルの警備をしている小父さんに預かってもらったりして。「ばかうけ」なんか賄賂に使ってね。 何をやってたんだろう、あの頃。
2012.11.25