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葡萄栽培では不利と言われている日本。しかし9年ぶりに戻った故郷上山は、驚くほどワイン造りには適した土地だった。雨量が比較的少なく、寒暖の差が大きい全国でも有数の果実の栽培適地。そして何よりも先代が丹精込めて作り上げてきた土は、本場にも差ほど引けをとらない良質の土だったのである。<br /><br />帰国後は武田家の長男である伸一さんが経営、そして典子さんが栽培と醸造を担当。しかし世代が移り、まさに新しい流れが芽吹き始めた矢先、突然の事故で3代目の伸一さんが他界するという不幸がタケダワイナリーを襲う。悲しみに暮れ、会社を続けるかどうか、はじめは躊躇したという。自分が経営などやっていけるのだろうか?そんな典子さんに会社を継ぐことを決心させたのは、ある兄の友人の言葉だった。「経営どうこうはいい。<キュベ・ヨシコ>が無くなってもいいのか?」<br /><br />
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