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マスクには敏感ですが・・・。

花粉が最盛期とあって、マスクをつけている方が多く、冬のインフルエンザの時期からずっとマスクを手放せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところで、マスクの交換頻度は、どの位でしょう?

おそらく大部分の方は、毎日のように交換されるのではないかと思います。

一方で、マスクと同じ役割を果たしているともいえる、フィルターの清掃や交換については、けっこうおざなりになっている方が多いのではないでしょうか。

私も、日頃から、室内の空気環境の重要性について、偉そうなことを言っておりますが、どうしてもそのうちと後回しになりがちです。

空気の汚れは、目に見えないために、致し方ない部分もあるのですが、フィルターが汚れてくると、能力の低下はもちろん、汚れた空気をまた循環させたり、汚れたフィルターに雑菌が繁殖し、臭いがしたりしするので、定期的な清掃や交換は必需となります。

家の中には、換気のフィルターをはじめ、エアコン・空気清浄機・加湿器・除湿機・浄水器・排水口にいたるまで、フィルターはけっこうあります。

ホコリも入りにくく、カビも生えにくい、外断熱の家では、取説に書かれているような、頻繁な清掃は必要ありませいんが、それぞれの機器のフィルターの汚れ具合の程度を把握し、早め早めのメンテを心がけていただきたいと思います。

季節の変わり目ですので、今度の休みには、フィルターを清掃し、きれいな空気の中で、爽やかな春を迎えていただきたいと思います。

省エネといいつつもエアコン6台+床暖房

先日、建築中の現場確認に行った際に、新築間もない、お隣の某ハウスメーカー建物の北側を何気なく眺めたら、エアコンの室外機が6台に床暖房のボイラーがズラリと並んでいました。

建物の大きさは、おそらく40坪~42坪です。

昔の建物なら、いざ知らず、ある程度の断熱性能であれば、この設備はどう見てもオーバースペックで、弊社の建物であれば、間取りにもよりますが、2台~3台もあれば、十分な容量となります。

お客様の要望なのか、メーカーの提案なのかは、定かではありませんが、実際、省エネ住宅と謳いながら、こうした住宅は少なくありません。

後々、寒いとか暑いとかのクレーム防止に、設置を勧める営業マンもいるのですが、無駄なイニシャルコストやランニングコストを抑えるためにも、ユーザー自身が、住宅の断熱性能や冷暖房に目を向けることがとても大事なことです。

また、メーカーによっては、エアコンなどは家電量販店の方が安いですよ~。と提案を避けるケースもあるようです。

こことここに何キロのエアコンをつければ大丈夫ですという場合は、親切でいうケースもありますが、多くは、その家に適した冷暖房の容量がわからないとか、責任を回避するために、言っているケースがほとんどです。

そして、家電量販店の店員さんは、家の間取りや断熱性能などお構いなしに、単に部屋の大きさに基づいた容量や台数を提案するのが相場です。

案外知られていませんが、エアコンの畳数の基準は、無断熱の建物がほとんどだった1964年に、業界の統一基準として定められて以来、50年以上も変わっていないのです。

まだ日本には、40%も無断熱に近い建物が存在しているというのが、表向きの理由ですが、量販店の店員さんで分かっている方はほとんどいませんので、余計なエアコンを買わされないように、くれぐれもご注意ください。


政宗公のまちづくり

重い話ばかりが続いたので、たまにはブレイクタイムということで、住宅の話題とは違った記事をアップさせていただきますので、よろしければお付き合い下さい。

先日、チャーターメンバーとして入会している異業種交流会【サクセサーズ21】の講師例会があり、せんだいコンセキ発掘塾 「仙台段差崖会」の木村さんの講演を聞くことが出来ました。

以前、NHKのプラタモリで、伊達政宗のまちづくりの秘密について、放送された時に、タモリの案内役を努めたのが、講師の木村さんです。

木村さんは、高校時代に考古学に目覚め、66才の今でも飽くなき探求心を持ち、研究を続け、仙台の昔のまちの様子や暮らしなども含め、様々な場で講座など開き、情報を発信しています。

そんな木村さんの話とあって、楽しくもあり、ためにもなり、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

そして、政宗公の仙台の地形を見事に生かし、緻密な計算によって、造られた城下町や四ッ谷用水が、現在もなお、脈々と受け継がれていることに感銘を受けました。

重鎮、片倉小十郎の私邸が、今の西公園にあったことや、片平丁から今の市民会館につながる2.5キロの道筋に、家臣の私邸が24件あり、一人3000坪~6000坪の敷地だったこと、政宗公が、隠居のために築城した若林城(現在の仙台刑務所)の隠された秘密など、改めて歴史の奥深さと面白さを実感しました。

私も、仙台城ふもとの川内大工町の出身ですが、初めて知ったこともたくさんあり、非常に勉強になりました。

それにしても、戦国武将として有名な政宗公ですが、地理を存分に生かし、自然災害や敵国からの攻めを防ぎつつ、農業や商業・工業の発展をも考えた街づくりを垣間見て、改めてその偉大さに気付かされた次第です。

記念に、仙台城下の様子が描かれた風呂敷を譲っていただきました。



風呂敷は、風の時編集部 楽天市場店でも購入できるようですのでよろしければどうぞ

https://item.rakuten.co.jp/kazenotoki/10000012/

【重要】 省エネ基準に気密性能を表すC値が削除されたのはなぜ?

高気密・高断熱住宅が誕生したのは、今から35年以上も前に遡ります。

オイルショック以降、住宅にも断熱化が叫ばれ、欧米の断熱技術を取り入れ、寒い北海道で導入されたのが始まりです。

当時はまだ、家の断熱化といえば、断熱強化とサッシの性能向上がメインで、防湿という考え方は重要視されず、壁や床・天井にグラスウールを大量に詰め込んだだけのものでした。

しかしながら、断熱材をいくら厚くしても、あまり効果がないばかりか、数年後、予想もしなかった大変な問題が発生したのです。

その事件とは、北海道で起きた「ナミダタケ事件」で、1980年頃、新築3年目の住宅の床下に大量のナミダタケが発生し、床が腐り落ちるという事件が頻発したのです。







画像は北海道住宅新聞社のHPから引用

こうした悲惨な被害は道内に拡がり、実に何万棟もの住宅が被害を受け、マスコミでも取り上げられ大きな社会問題にもなりました。

原因は、壁内や床下での結露水が、グラスウールに吸収され、木材を濡らし、腐朽が進んだことで、発生したものと解り、単に断熱材を厚くするだけでは、暖かくならないばかりか、室内の水蒸気が躯体内に侵入し、構造材を腐らし、重大な被害を及ぼすということが明らかとなったのです。

この事件を契機に、断熱化には、内部結露を防ぐ防湿気密が必需とされ、高気密・高断熱がセットされた技術が確立されていったのです。

そして、1999年、次世代省エネ基準が創設され、断熱性能を表すQ値と気密性能を表すC値が、各地域に合わせて明記されました。



しかしながら、その基準は、次世代とは名ばかりの不十分な数値で、Q値・C値とも最低限のレベルというものでした。

特に、C値に関しては、温暖地で5.0以下、寒冷地でも2.0以下という大変ゆるい基準で、測定の義務もなく非常にあいまいなもので、寒い宮城県でさえ温暖地の扱いだったのです。

こうして、次世代省エネ基準をベースにした家づくりの普及が進んではきたのですが、計算上のQ値さえクリアすれば、住宅性能表示制度や長期優良住宅制度では、温熱等級が最高ランクとなるために、C値はいつしか置き去りになり、本州で、気密性能の重要性はなかなか理解されず、本物の高気密・高断熱はなかなか普及せず、未だにこうした状況が続いているのです。

こうした背景には、通気性や風通しを長年重視してきた日本の家づくりの考え方が大きな要因でもありますが、結露被害の深刻さや気密の重要性への認識が非常に乏しく、高気密化という、名前からくる偏見や誤解・拒否反応を示す方も多く、風通しが悪そう。息苦しくなりそう。シックハウスになりそう。中には、快適すぎると子供の抵抗力が低下して、ひ弱に育つといった誤った考え方が、消費者ばかりでなく、つくり手にも、根強く残っているのです。

大手のハウスメーカーやローコストのパワービルダーが、中心の住宅業界にあって、目にみえない気密工事を実施することは、コストや職人さんへの教育・現場管理にいたるまで、多くの時間と費用を要すことから、全棟C値2.0以下という、最低限の気密性能すら、確保することは困難なのです。

こうして、ほとんどのハウスメーカーでは、出来るだけ高気密という表現を避けて、ユーザーの質問に対しても、気密はそこそこでも大丈夫ですよ。中気密でちょうどいいです。あまり気密を良くすると風通しが悪くシックハウスになりますよ。といった無知で無責任とも言える話が、あちこちで聞かれるようになり、省エネ性や快適性・耐久性を阻害し、内部結露を助長する中途半端な建物が、次々と建てられ、今日の空き家の増加やアレルギー患者の急増という皮肉な結果を生み出しているのです。

さすがに、ナミダダケ事件以降、床下の断熱材は、吸湿性の高いグラスウールから発泡系断熱材に変わり、床が抜けおちるとういう建物はなくなりました。

木材にも、防腐や防蟻薬剤によって、腐朽や蟻害を抑えているのですが、単に、薬剤によって、湿気や結露しても腐りにくい住宅が、劣化対策でも最高等級というのが、この国の基準なのです。

しかし、四季があり、高雨多湿という日本の気候風土や冷暖房があたり前の現代の暮らしの中で、湿気や結露により、劣悪な環境に置かれやすい床下や壁・小屋裏の断熱や構造部分の劣化を薬剤で抑えきれるものかは、実際の所、誰もわからないというのが現実なのです。

そしてあろうことに、25年4月1日より施行された改正省エネ基準では、防露性能を確保する旨の明記はあるものの、気密の基準や文字はすっぽりと削除されてしまったのです。

この基準が2年後に義務化されるこの国の新しい省エネ基準なのです。

役所が、気密基準を削除した理由として挙げているのが

「一定程度の気密性が確保される状況にあること、また住宅性能表示制度における特別評価方法認定の蓄積により、多様な方法による気密性の確保が可能であることが明らかになってきたことなどから気密住宅に関わる定量的基準(相当隙間面積の基準)は除外されました。」

ということなのです。

しかし、削除された一番の原因は、大手ハウスメーカーやパワービルダーを初め、住宅を取り巻く様々な関連業界の力がはたらき、除外されたというのが、業界の一般的な認識でもあります。

気密性能を疎かにした省エネ住宅は、絵に描いた餅と同じで、いくら計算上の断熱性能を強化しても、その性能を十分に発揮することはなく、省エネにも快適性の向上にもつながらず、そればかりか内部結露によって徐々に住まいと人の健康を蝕み、短命な住宅になる危険性が非常に高いということを是非ご理解いただきたいのです。

こうして、省エネ基準から除外された気密性能ですが、

「住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・施工の解説」 というテキストには、 気密性能を確保しなければならない4つの理由は、しっかりと明記されています。

1.漏気負荷を減らし省エネルギー化と室内温度環境の快適性向上を図る

2、壁内通気を抑制し断熱性能の低下を防止する

3.壁内結露を防止する

4.計画換気の性能を保持する。

公的機関が、建築のプロ向けに解説したテキストなので、表現が固くわかりづらいと思いますが、簡単にいうと

1.隙間をなくして、光熱費をおさえ住み心地をよくするため

2.壁の中への、空気と湿気の侵入による断熱性能の低下を防止するため

3.文字どうり壁内の結露を抑えて、腐朽や蟻害を防止し、家を長持ちさせるため

4.換気を、計画どうりに機能させ、室内の空気環境をよくして健康を維持するため

簡単に言えば気密性能を確保しなければ

暖房や冷房が効かず不快な上に、冷暖房費が年々かさむようになり、壁の中はカビだらけとなり、空気が淀み、建物も住む人も病気になりますよ。

ということで、基準や義務化は求めてはいないものの造り手の責任として確実に実施して下さい。

と明記されているのです。

昨年10月、環境省の高断熱・高気密住宅の推進を図るための「省エネ住宅大使」として、タレントの壇蜜さんが起用されました。

高断熱の断と高気密の密をもじっての壇蜜さんの起用ですが、国でも、省エネで健康な住宅にするには、断熱と気密は両輪だということは十分に理解し、消費者にも伝えているのです。



15年位前には、高気密・高断熱住宅は、ユーザーにも大分認知されるようになり、高気・高断とか高高住宅という名称で呼ばれ、広がりを見せていたのですが、名ばかりで性能が追いつかない会社によるトラブルも多く、住宅業界では、高気密という名称は、造るのも売るのにも面倒で、何かとトラブルも多いことから、高気密という表現は避ける様になり、いつしか高性能住宅とか省エネ住宅と呼ぶようになり、最近ではZEH(ゼロエネルギーハウス)という表現が一般的となり、私達のような気密の重要性を唱える造り手は、少数派になり、時代は20年前に遡った感さえしています。

経済が優先される資本主義の中、住宅に限らず、全ての商品・サービスには、メリットもあれば、デメリットもあり、表の部分と裏に隠された真実があるのです。

つまり、消費者は、正しい情報や知識をもった消費行動をすることが大事で、誤った考えによってもたらされる被害や事故は、結果的に自己責任という認識も必要なのです。

雨漏りはともかく、結露によって、家が腐れ、白蟻にやられても、手抜きや欠陥工事とはならず、何の保証も瑕疵保険すら適用除外となっているのです。

結露で、カビやダニが繁殖し、消臭剤や防虫剤・柔軟剤を多用し、アレルギーやシックハウス・化学物質過敏症を発症しても、苦しむのはご自身であり、大事な家族なのです。



どこで建てようとも、気密と断熱の重要性を理解し、依頼するメーカーに間違いのない施工をしてもらい、ご家族の健康と幸せを叶える家づくりを実現していただきたいと切に願います。



 




家づくりは確かな目を養ってから

現在の住宅市場は、20代・30代の一次取得層が中心となっており、住宅業界では、若い世代の方々をターゲットにした営業展開を図っています。

若い世代の方々は、現在支払っている家賃を無駄と考えており、この国の将来の不安もあって、出来るだけ早い時期にマイホームを取得したいと考えている方々が非常に多く、家賃以下あるいは家賃並みで買える物件にと目がいきがちです。

一方、売り手側もこうした顧客心理をよく理解しており、さも若い世代の家づくり応援団かのようなセールストークを巧みに用いて購入を誘導します。

住宅ローンに縛られた生活は、物価上昇や教育費が上昇する中、趣味や娯楽まで制限され、不幸な生活になってしまうといった、若い世代の方々の共感を得られるような説明をするのが一般的で、低価格・高品質を打ち出した営業戦略です。

こうした、ある意味、堅実ともいえる考え方そのものは、あながち間違ってはいないのですが、ことマイホームとなれば、基本的にその家に一生暮らす訳で、気に入らないからといって、賃貸の様に住み替えることは出来ないということを十分に理解した上での判断が必要なのです。

家は、住宅ローンの他に、固定資産税や都市計画税・修繕費やメンテナンス費用など、目に見えないコストも考慮しなければなりません。

特に、住んでみないとわからない住み心地やその家の光熱費、使い勝手や子どもの成長や家族が増えた場合の収納スペース、家の耐震性や耐久性・将来の資産価値・借入先の選定やローン種別の検討など、勉強しなければならないことは山ほどあります。

そして、人生100年時代とも言われる中、家のローン返済が終わる30年後・35年後以降も、その家で、健康に暮らし続けられるかどうかをリアルに考えなければなりません。

身体が丈夫で健康な若い世代の方は、多少の暑さ・寒さは問題ありませんが、人間誰しもが年老いていくのは必然ですので、免疫力が低下する老後のことも考えなければならないのです。

現在、日本の住宅の耐用年数は、30年にも満たず、解体される住宅の築年数は、平均で27年前後です。

今の新築は、40年も50年も持つのではと思っている方も多いのですが、現代の住宅の造り方も従来の延長線であり、中途半端な断熱化とユーザー側の間違った暮らしによって、これまで以上に短命になる危険性を孕んでいるという認識が必要なのです。

人口減少が進む中、土地という資産価値の上昇は見込めず、年金の削減や支給年齢の繰り下げなどを鑑みれば、将来の大規模改修や建て替えなどは、よほど恵まれた方でなければ不可能です。

こうした話をすると、マイホームを検討している方に、水を差す様で恐縮ではありますが、単に見た目の良さや価格だけで、マイホームを取得した方々は、後々、数多くの不満や我慢・ストレスを感じながらの生活を強いられるケースが多く、様々な病が発症したり、時には家庭崩壊を招いてしまうこともあるということを理解する必要があります。

予算や毎月の支払額は、非常に重要な要素ですが、ここから家づくりを検討すると、大事な部分がどうしても見えなくなり、優先順位を見誤ってしまうのが家づくりの怖いところなのです。

安くて、省エネで快適に健康な暮らしが送れ、地震に強く長持ちする家は、基本的にありえず、どうしても、温熱環境と空気環境が疎かな住宅になってしまうのです。

マイホームの購入は、家の良し悪しや性能の違い・35年後も快適に住み続けられる家なのかどうかを見極める知識と目を養ってからでも遅くはなく、そんなに面倒なことでもありません。

家は、生涯で一番高い買い物であり、一生一代の大事業でもあるということをご理解いただき、家づくりを進めていただきたいと思います。