ソーラーサーキットというと、太陽光発電を連想するお客様も多く、いつも説明に苦労するのですが、太陽光発電を搭載した住宅というわけではありません。
ソーラーサーキットという言葉を分解すると、ソーラーは太陽の熱や光の利用を意図し、サーキットは自動車やオートバイのレースに使用する周回コースがイメージされます。
そもそもソーラーサーキットというネーミングは造語です。
分かりやすくいえば、太陽の熱や光・地熱や風といった自然エネルギーを生かし、建物の構造躯体の両側に空気の通り道を設けた周回コースに巡らせるというイメージです。
つまりソーラーは自然の力(エネルギー)・サーキットは空気の通り道となり、
自然エネルギーを活かした空気の通り道のある家ということになります。
ソーラーサーキットは「外断熱」と「二重通気」を組み合わせ開発された技術で、
ソーラーサーキットシステム=外断熱・二重通気工法となります。
(私達は略してソーラーとかSCの家とも呼んでいます)
「外断熱」とは、基礎・壁・屋根といった家全体を断熱材で包むことで、外の暑さや寒さを遮断し、かつ外の空気よりも温度変化が少ない地表の温度を活用する技術です。
一方、「二重通気」は、構造躯体の両側に設けた二重の通気層により、それぞれ空気の流れをつくることで、屋根・外壁などの構造内にこもった湿気や熱気を排出させ、室内の温度や湿度の上昇を抑える技術となります。
この二つの優れた技術を組み合わせることで、出来るだけ冷暖房の力を頼ることなく、四季を通して快適な住みごこちが実現できる住まいのことを、『ソーラーサーキットの家』と呼んでいるのです。
ソーラーサーキットは、高断熱化された住宅を気密化する閉鎖の技術と、風通しを重視した開放の技術といった、ある意味矛盾しているかのような、相反する機能を合わせ持った工法です。
国内におけるほとんどの高気密・高断熱住宅が、冬の寒さ対策に重点をおいた閉鎖型の住まいであるのに対し、夏の暑さ対策も考慮し、構造躯体の中にも通気性を持たせ、高気密・高断熱特有の夏の熱ごもりを軽減すると同時に、構造躯体の耐久性を飛躍的に向上する技術を兼ね備えているのが、ソーラーサーキットの家ということになります。
その要となっているのが、二重通気(ダブルサーキットともいう)の技術です。
二重通気はその名のとおり、断熱材の外側と内側に二重の通気層を設けています。
外側の通気層(アウターサーキットともいう)は、外壁材と断熱材の間の通気層によって、一年を通じて、壁の中に湿気や熱が長時間滞留しないように屋根上部に設けた棟換気口まで空気の流れをつくり、構造躯体や外壁材・断熱材の耐久性を向上させたり、夏の暑さを和らげたりする役割を持っています。
一方、内側の通気層(インナーサーキットともいう)は、断熱材と内壁材との間の通気層で、床下から壁の中を通り、小屋裏につながる空気のながれをつくります。
そして、この内側の通気層に外から空気を取り込む入りとなる、開閉式の床下ダンパーと出口となるSC小屋裏ファンがソーラーサーキットの大きな特徴です。
床下ダンパーは、基礎部分に8か所から10か所程度設け、小屋裏にはSCファンという排気装置を設置します。
この床下ダンパーの開閉とSCファンのON/OFFで内側の通気層の役割を変えているのです。
冬の季節(11月から4月位)にかけては、床下ダンパーを閉鎖し、SC小屋裏ファンはOFFにすることで、閉鎖型の住まいとなり、冷気の侵入や熱損失を防ぎ、さらには室内の暖気を周辺の通気層へと伝達する役目を発揮します。春から秋(5月から10月位)にかけては、床下ダンパーを開放しSC小屋裏ファンをONにすることで、開放型の住まいに衣替えして、床下の風通しを良くし、構造躯体の中の湿気や熱気を排出させ、強い日差しで熱くなった家を冷ます役目を発揮します。
このように、ソーラーサーキットの家は、構造躯体の中まで風通しのよい住まいと寒さを寄せ付けない北国の住まいの両方の特性をもった住まいであり、この開閉の原理は人が衣替えするのと同じことから、「四季に合わせて衣替えできる」というキャッチコピーが生まれています。
家づくりが成功するかどうかは、家が完成した後の「住みごこち」で決まります。
夏の暑い日であっても、爽やかに過ごせる家。冬の寒い日であっても、冷えた体をあたたかく包み込んでくれる家。
そんな心も体もくつろいで、一年中快適に暮らせる家こそ、もっともかけがえのない家族の“資産”だと、私たちは考えています。住んでからでは直せない「住みごこち」の大切さに、一人でも多くのお客さまに気づいてほしい。
そして「建ててよかった」という喜びを心から感じてほしい。
そんな想いを実現するのがソーラーサーキットの家造りなのです。
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2015.09.25 (中山の高梨欽司)火災保険の制度
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2015.08.25 (阿部貴日呼)毎週のように行っています
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2014.12.10 (高橋一夫)ありがとうございます。
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2014.12.08 (ちょーすけ)勉強になります
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2014.12.04 (T氏)ごちそうさまでした!
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