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▼携帯電話における位置情報の測位事情

携帯電話における位置情報の測位方法について、誤解が多くあるようなので、まとめてみました。
(私の解釈も間違っているかも知れませんが・・・)

1.「GPS」による測位方法は都市部は苦手
 GPSによる測位には最低3基の衛星の電波が十分な強度で受信できる必要がある。
 (衛星の配置にもよるが)見通しの良い場所では10基前後の衛星からの電波が受信できる。
 しかし都市部のようにビルや高架等で電波がさえぎられる環境下では3基分の電波でさえ満足に受信できない場合がある。

 また、ビル等による電波の反射により「あるべき」方角以外からの電波が受信できる状況になると電波の到達経路が長くなりその分電波の到達時間が遅れ、位置の計算誤差が生じてしまう。
 このような場合には最悪位置情報の算出が出来なくなる。

 カーナビのような車載専用器の場合は車速信号やGセンサによる「推進航法」により位置を推測し情報の「穴埋め」を行なえるが、携帯機器の場合はこれが出来ない。
 その為携帯電話ではGPSでの測位失敗時の「穴埋め」として、基地局で受信した携帯電話の電波の到達方向や電波の強度により位置を判断する仕組みとなっている。


2.携帯電話における測位動作

2−1.測位開始(GPS搭載機の場合)
 GPSでの測位には1500bitの衛星の位置情報が必要。この情報はGPS衛星から送信されているが、衛星からの伝送速度はわずか50bpsなので、1500bitの情報受信だけで30秒必要とされ実用に程遠い。
 そこで「A-GPS」というシステムにより、測位に必要な衛星の位置情報を電話回線より携帯電話のGPSチップへ転送する事で測位に要する時間を短縮している。


2−2.測位方法
・GPSでの測位が成功したら
 →GPSのデータを使用

・GPSでの測位に失敗したら(GPS非搭載機含む)
 →建物の中,ビルの谷間や地下街等でGPSでの測位不可だった場合、
 電話機の電波を基地局で受信した方角と電波の強さで位置を判断。
 (複数の基地局で受信し三角測量?)
 注)携帯電話特有の事情:携帯の場合、この機能を含めてAssisted GPSなのかも?


 GPS機能のない携帯電話でも地図アプリで位置情報が利用可能なのは後者の方法による測位が可能な為。
 但しこの方法での測位は、電波の強さが非常に不安定な事、アンテナの指向性にかなり幅があり、途中の障害物や電波の反射により本来の方向とは別の方向からの電波が強くなるなど、誤差要因が非常に多い事から(基地局の位置関係,配置によるが)平気で数kmものずれが生ずる。
(GPSでの測位であれば数m程度(悪くても数十m)の精度が得られる)

 都市部のように基地局が多く配置されている場合は比較的誤差が抑えられるが、地方のように基地局間が数kmも離れている場合には極端に誤差が増える。


3.携帯電話のGPS機能は原則ON-LINE

 このように、地図データを得る以外に「A-GPS」システムとの関係もあり、携帯電話のGPSは原則ON-LINEでのみ機能する。
(一部、単独で使用可能な機種もあるようですが)


参考)
A-GPS関連でこんな資料があります。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/pdf/040629_1_b.pdf


2009.01.10:jr7cwk
[2010.05.14]
携帯電話における測位>携帯電話から110番 (cwk)
[2009.05.24]
携帯電話における測位>アンテナマークと測位状態の関係 (cwk)

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