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6.脱線防止ガードは有効か?
今回の事故現場には、脱線防止ガードは無かったそうです。 マスコミは、ガードが無かった事を問題視している向きがありますが、 今回の事故のような「転覆」という場合は、線路の内側に設けるタイプのガードは、 例えあったとしても効果があったか疑問です。 というのも、肝心な車輪が浮き上がってしまったのでは、車輪がガードに「当たってくれない」からです。 レール外側のガードの場合でも、転覆しかかっている状態を回復出来るとは思えません。 どんな保安装置も万能ではありません。 現実に即した対策でなければ効果がないし、物理的な限界だってあります。 マスコミもその辺りを認識して頂きたいものです。 |
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7.悪いのはカーブ?
主要因はスピードの出しすぎという「鉄道事故調査委員会」の判断が出たようです。 ところで現場のR300のカーブ、配線変更により生まれたもの、いう事が一連の報道で流れていました。 それを利便性向上だとか営業のためであり、いかにもそれが悪かった という解説ぱかりですが、それは本当に正しい見解なのでしょうか。 もし以前の配線のままだとすると、東海道腺に合流するあたりで脱線を起こし、多重衝突を起こしていたかも知れない という見方も考えられるのです。 またR300という急カーブが悪い、という話も出てきそうですが・・・そもそも急カーブを安全に通過する為に速度制限が設けられているのです。 確かに急なカーブは無いに越したことはありませんが、狭く急峻な地形も多い日本です。現実的ではありません。 問題は、速度制限を大幅に越えた速度で通過できてしまうことです。 時間短縮&速度アップを図る段階でATSの改善の義務付けが必要なのかも知れません。 最も最高時速120キロと言っても特急車ではめずらしくない速度だけに、そこまでの危機感はなかった という事なのでしょうけど・・・ 誰の格言?かは忘れましたが、 「失敗する可能性があるものは、失敗する」と・・・ この言葉は、「失敗する可能性」を極力減らす事が事故を未然に防ぐことを示しているものと思います。 |
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8.車両が悪い?
台車の「空気ばね」による揺れ戻しが悪い影響を与えたのでは?といった解説がありました。 確かにカーブの形状と車体の揺れの共振周波数の関係など、注意が必要な点ではあります。 以前、トラックがS字カーブ通過時に横転するなどの問題があったこともあったと記憶しています。 車のサスペンションの場合、揺れを吸収する「ばね」と「ばね」の振動を吸収する「アブソーバ」をセットで使用しますが、それぞれのはたらきを、車の性格に合わせて最適な「セッティング」がなされています。 (乗り心地重視か、走行性能重視か など) 鉄道車両の場合、どのようなセッティングがなされているのか興味のあるところです。 ところで、以前の台車(「揺れ枕式」)と最近主流の「揺れ枕無し」(ボルスタレス)台車それぞれの「揺れの中心」を比べた場合、その位置が高くなっているような気がします。 (ボルスタレス台車では台車上面付近、旧来の台車は台車内に揺れの中心がありそうに思われます。) それがどう影響するか、というとうまく説明できませんが・・・位置が高いほうが、車両が大きく揺れやすくなるように思われます。 |
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9.曲芸ダイヤ?
時刻改正で停車駅が1駅増えたのに同じ所要時間で到達するダイヤになっているという指摘があり、それに対し曲芸ダイヤと言うような表現まで出ています。 確かに運転士に対する技術の要求度が高くなり、「停止位置不良」を誘発した原因なのかもしれません。 ところでこの背景には、車両の変更による加速性能や高速性能の向上があったと思われるのですが、この辺に触れられた番組を見かけません。 また実際には15秒単位の時刻で運行されているはずです(運転本数からすると、もっと細かいかも?)が、番組に出ているのは秒単位の数字が丸められた普通の時刻表上の数字だけです。 つまり、普通の時刻表で同じ数字でも、実際には00秒から45秒という開きが隠れています。 自称「鉄道アナリスト」が出演していた割にはこの辺の事情には全く触れていないようですが・・・いたずらに「不安」を煽っているだけであまりにもひどい解説じゃありませんか? |
10.防護無線発報失念
車掌が防護無線の発報を失念したというニュースが流れています。 幸い?現場付近に差し掛かり、赤信号と土煙を見て停車した対向の特急が防護無線を発報し、他の列車の巻き添え事故を防止できたとの事ですが・・・ 「TE装置」が207系についているのかはわかりませんが、もし運転士が防護無線を操作していたとしても、あの状態では防護無線の無線機そのものも壊れていた可能性が高く、結果として防護無線は出ず終いという可能性も考えないといけないようです。 ところで、今回のように脱線などで編成がバラバラになった場合、自動的に防護発報というロジックにはなっていないようですが、 大事故の場合、動転による失念の可能性が高まる事を想定すると一考の余地がありそうです。 そういえば、非常ブレーキに関しては防護無線発報の対象にはなっていないのでしょうか。 もっとも非常ブレーキでいちいち防護無線を発報していたら、誤報が多発しそうですが。 (停車中に非常位置まで操作する事を考えると、一定速度以上で非常に入れた場合というロジックが必要でしょうか) |
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11.転覆限界条件の試算
掲示板で先に紹介していましたが、改めて。 カーブでの転覆限界条件(理論的仮想的な転覆−復元境界速度)の算出に挑戦してみました。 カーブの半径と速度より遠心力を求め、重力と車両重心からの遠心力を合成した力の方向が、 レールより外れるかどうか・・・という最も基本的な?算出方法によるものです。 最初遠心力の公式から式を変形させていきましたが、「鉄道工学ハンドブック」で見た 曲線制限速度を求める式の「本質」が読めてきました。 以下リンクにグラフを示します。 カーブでの転覆限界条件 主要な4つのパラメータを変化させた時のそれぞれの影響を見る形での試算です。 図1.カーブの半径Rによる変化 図2.カントCによる変化 図3.重心高さhによる変化 図4.重心の車両中心からのずれoffsetに対する変化 それぞれ狭軌と標準軌のグラフを出しています。 (カントですが、その後文献調べましたら150mm(私鉄)〜180mm(新幹線) 程度までの算出が必要だったみたいです。 なお単純に遠心力との関係のみでの試算なので、風や振動,揺れなどの影響は考慮されて いません。 この結果より、重心がずれた場合の変化が大きい事が良くわかりました。 (重心が10cmずれると限界速度が10キロ以上低下するようで驚いていますが、実際にどの程度のずれが起こりうるかについてはうまく説明できる状態ではありません。) 計算結果より、今回の事故は臨界付近の条件と見積もられ、鉄道事故調査委員会が綿密に調べている背景が見えた感じがします。 PS.2項で説明しましたATSの件、その後、ATS−S型にも「速度照査」が可能なものがある事を知りました。 |
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最初に・・・亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、ご家族並びに負傷された方へのお見舞い申し上げます。
さて事故後のニュースいろいろ見ていました。
「新幹線「安全神話」が壊れる日」という本(持っています。)の著者が出演し
解説していましたが・・・「たかが100キロ」と言いました。
その「たかが100キロ」でこれだけ重大な事故が起こっているのに、これこそ認識が足りない発言だと思うのですが・・・
1.車体の強度について
車体の強度について疑問視する報道が聞かれます。
でも、車体がいくら丈夫でも、100キロの速度でなにかに衝突すれば、慣性の法則により
人は飛ばされ、その結果客室の構造物に人間が打ち付けられ・・・という構図が
想像付きます。(すいません、不適切な表現かも知れません。)
自動車だってシートベルト無しでは時速数キロ程度までしか手では持ちこたえられないと
言われています。
いくら車体が丈夫でも車内の人がこんな事になるのではどうにもならないのです。
「脱線させない」「脱線しても衝突させない」以上の対策はないと思うのですが、
いかがなものでしょう。
2.ATSについて
速度超過が原因だったわけですが、ATSが旧型だった事でカーブに差し掛かる前に列車を減速する事が出来なかったのが残念です。
・・・ATS−P化は費用がかかりすぎ導入困難というのであれば・・・
今回の現場のように速度が高いところから急に大幅な速度制限かかかるようなボイント(速度超過により事故に直結し易いと考えられるポイント)だけでも、速度照査しブレーキを掛けるようなシステムの構築は出来ないものでしょうか。(制限速度以下になるまでブレーキはかかりっぱなし)
要は安全の確保が必要な速度制限だけはシステムがバックアップし、うっかりミス(故意を含め・・・)を防止。
速度制限解除時は標識を見て運転士の操作で加速で良いはず。
これなら減速が必要なポイントにだけ地上子があれば良いはずなので、ATS−Pよりは設備費がかからないと思うのです。
・・・事故が起こった後で今更ではあるのですが・・・
3.脱線した場所
今回の事故、場所の面での不幸を感じています。
発生原因が違いますが、記憶に新しい事故の例ですが、
「かもめ」の脱線事故の時は、突っ込んだ場所が「たんぼ」だった事から、衝撃が緩和され、人的被害が少なくて済みましたが、今回はその逆という感じがします。
今回の場所に建物が無く平地だったら、ここまで悲惨な状況にはならなかったはずです。
また、地震による上越新幹線の脱線のケース、やはり奇跡だったとしか思えません。
4.車両軽量化による別の問題
ところで、車両の軽量化による一つの問題が気になっています。
放送の某氏のコメントで、人が乗っているほうが、下方向にかかる力が増え、脱線しにくくなると言っていましたが、車両が軽量化した結果、空車時より、人が多数乗車した状態のほうが、重心の位置が高くなるように思えて仕方ないのです。
人の重量ってバカにできません。
概算ですが、60キロの人が100人乗ったら6トンになるのです。
40トン程の車重に対する6トンですから、影響ないわけありません。
詳しい計算は出来ませんので証明する事は出来ませんが、速度超過による強い遠心力が加わった事、さらには、その遠心力に耐えられず乗客も車体外側に寄ってしまう事を考慮すると、バランスが崩れ一気に車体がカーブ外側に傾くといった事が起こるような感じがしてなりません。(脱線の痕跡が少なかった理由の一つなのかも知れません)
なおこれは私の想像に過ぎないので、正式な見解を待ちたいと思います。
・・・既にニュースによると「転覆状態」だったという事のようですが。
5.転覆の原因
ふと考えたのですか、遠心力以前の問題なのかも知れません。
車体は慣性の法則で真っ直ぐ進もうとしますが、台車は線路のカーブに沿って曲ろうとします。
通常は台車の動きが台車と車体をつなぐ中心ピンやばねを介して車体に伝達され、台車の動きにについて曲がっていくわけですが、
今回はあまりにも高速でカーブに突っ込んだので、その動きについていけず、丁度足元がさらわれたような状態になって転覆したのでは というメカニズムを想定しています。