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双ループANTの特徴
TV関係の専門書で見ると、以下のような特徴が見られる。
・基本構造はループが2個の2L形で、さらにループ4個の4L形,ループ6個の6L形がある。 いずれの場合もループの間は2分の1波長の平行2線伝送線で結ばれ、ループが全て直列に接続され、一番中央になった伝送線路の中点から給電。 ・利得をかせぐ為、基本構造のアンテナを縦に重ねて使用される場合がある。(アンテナの形式に「段数」が付いているケース) ・広帯域(2Lがもっとも帯域が広く、4L,6Lになるに従って帯域が狭まるらしい。) ・水平方向の指向性は90度位で、90度ずつ4台設置するとほぼ無指向性となる。(アンテナの形式に付く「面数」がこの設置台数) ・垂直方向に指向性のヌルポイントあり。 (垂直方向の指向性を絞ってゲインを稼ぐ構造?) ・・・多数段にした場合に、位相を変える事で垂直方向の指向性をコントール可能。 ・利得は基本となる2L形で7.5dBで、4Lだと倍の10.5dB,6Lで3倍の12.3dB,2段で+2.8dB(2L比,分岐損込み?),3段で+4.5dB程。 (無指向性にする為に4面にすると、-6dB・・・4分岐するので。) という事で、大きさの割に利得は少な目で、指向性がブロードであり、受信用にはあまり適さない感じがする。 |
設計と製作
今回は、まず基本となる2L構造で試作・実験する。
地元局では電波が強く、評価にならないので、少し遠くの局を狙う。(山形・西白鷹局) その関係で周波数はUHF-LOW狙いとした。 ループ部は直径1.2mmの銅線、並行2線は300Ωのフィーダを使用し、木製の棒に両面テープで貼り付ける、という、簡単な方法を取った。 エレメントと並行2線間の接続部は薄い銅板にハンダ付けして、棒に貼り付けている。 反射板はまだ付けていないが、100円ショップで売られている金網を使用する予定。 (網目の大きさが、波長より十分に小さければ、問題ないのでは?という考えだが、妥当かな?) 反射板がないと、指向性が8の字になり、利得が3dBダウンすると予想される。 ここで疑問点がいくつか。 並行2線に、フィーダを使用したが、誘電率による波長短縮率を考慮する必要がないか。 並行2線の目的はおそらく位相を180度変える為と思われるのだが・・・ インピーダンスはどの位になるのか? ダイポールが75Ωで、それを折り返したフォールデット・ダイポールが300Ω程と言われている。 ループは、1つで数百Ω程ではないかと思われる。 双ループの場合、2Lはループ2個の並列と見ていいのか・・・ 4Lの半分の構造なら2個直列と見ていいのか・・・ ネットワークアナライザがあれば、インピーダンスの実測が可能だが、そんな高価な機械、持っているはずもなし。 |
試作2号機
先に製作した1号機の評価も十分でないまま、2号機を製作した。
というのも1号機は両面テープで止める構造としたため、種々の調整や実験がやりにくかったので・・・ 画鋲を棒に挿し、画鋲に銅線を半田付けする、という手法で新たに製作する事にした。 1号機とは別に製作したのは、後で2つくっつけて4Lにしようかなという、もくろみもないわけではない。 なおループの間を結ぶ並行2線の伝送線路は、銅線をそのまま使用しました。 これで、誘電率による波長短縮率をあまり気にせずに済むはず・・・(実際には画鋲を挿した木製の棒の影響があるはずだが・・・) さて、2Lの基本構造である伝送線路の中点で給電する方法で実験。(4Lの上半分の2L構造だと、片側から給電できるので扱い易いのだが、どうもインピーダンスが合わないみたいで、受信状況が思わしくなかった。) 場所は米沢市内北部のとある川の土手の上。 西白鷹局、まずまずかな? 新潟局 県内で他に使用されていない29chがかろうじて受信可。 21chは西白鷹局が圧倒的に強い為NG(ループ八木でもやっと切れる状態なので仕方ない。) 35chはやはり福島局のほうが強いが、画面にはならない。 他の福島局や仙台局も音声は聞こえるか、やはり画面にならず。 高畠局がそれなりに受信できるが、向きによっては同じチャンネルが使用されている南陽市の吉野局の影響を受ける。 ざっとこんな感じ。 次回は反射板を付けて試そう。 |
反射板取り付け
遂に4L化!
とうとうループ4個の4Lにしてしまいました。
2L×2並列の構造にしようかとも思いましたが、今回は素直に?実際に送信用に使用されているものと同じ、縦に4つのループを並べる構造にしました。 反射板、高さ80cmの網2枚なので、長さがちょっと足りず、一番上のループの半分かからないのですが・・・ (動作原理考えると、中央部を空けて反射板無しにしてもいいのかも。 またUHFの下限周波数付近の波長で作ったので、余計大きという事情も。・・・中間付近の波長にすれば収まりそう。) 受信テストしてみたら、2Lより明らかに感度上がってます。 インピーダンスの整合なんかあまり考慮しない状態で作ったにもかかわらずです。 (特にループ間の並行2線の部分は、インピーダンス整合に大きく関係するはずですが、今回は間隔を10mm程にしようとしただけ。・・・インピーダンスはたぶん数100Ω程のはず。) 大きさが大きくなったせいか、VHF帯の受信状況もいいような・・・ それにしても大きい!車になんとか乗りますが、やっと。 2m近くあるので、長さ30cmのイレクターパイプを4本クロスにして作った台ではちょっと不安定になりました。 でも実物考えると、こんな大きさのアンテナが鉄塔に付いているわけです。でも、そんなに大きさ感じないのは、それだけ鉄塔が高い証拠? いずれ2Lを横に2つ並べた構造にしたものも試してみようと思います。 でも全部並列接続ではインピーダンス下がり過ぎるかな? |
2L×2並列
縦に4個ループを並べた4Lから、2Lを横に2組並べた、2L×2並列の構造に変えてみました。
2L間の間隔は2分の1波長とし、例により並行2線で並列接続し、その中点から給電するようにしました。 縦並べの4Lの時は、最上部のループが反射板からはみ出てしまいましたが、反射板内に収まりました。 ループ4個並列接続になっており、インピーダンスかなり下がっているものと思われます・・・並行2線によりインピーダンスが変換されているはずですが・・・が、縦に並べた4Lと、感度の差はないような気がします。 (ループの数同じなので、当然か?) なお原理上、水平面での指向性が鋭くなっているかも? ただ違いが出たのがVHF。 縦に並べた4Lでは何故か?VHF帯も受信状況良かったのに対し、2L×2並列ではVHF帯はNGでした。 機械強度面ですが、高さが低くなった分安定性はいいものの、回転半径が大きくなった分パイプとの接続部の回転方向の強度を確保しないと、回した時にグラつくようです。 |
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ただ、詳しい資料があまりなく、解っているのは1波長のループの間を1/2波長の並行2線の伝送路で結んであり、その中間点から給電、さらに約1/4波長離して反射板を置くという、基本構造だけ。(2Lの場合)
伝送線路のインピーダンスもマッチング方法もわからないまま、手探り&カットアンドトライで試作・実験を開始した。