般若湯(はんにゃとう)という言葉をご存知でしょうか?
実はこれ、お酒のことなんです。
昔、僧侶が隠語で酒をこう呼んでたらしいです。
なぜそう呼ぶようになったかは諸説あるようですが、
「般若」とは怖いお面のことではなく、
仏教用語で「智恵」のことです。
「般若心経」とは智恵のお経の意味で、
正式には「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」と言い、
「摩訶」は「大いな、偉大な」の意味です。
ところが、下世話には「般若」に「湯」をつけて、
お酒の別名として使います。
これは仏教界での五つの戒律の中に「不飲酒戒」(ふおんじゅかい)が入っていたため、
お坊さんがこっそりお酒を飲む時に、隠語として使われてきた歴史があります。
また、別の説では
これら五つのうち、最後の不飲酒戒の場合は、
酒を飲むこと自体をいましめたというよりも、
酒を飲むことによって、前の四つの戒めを犯しやすくなるからという理由によって制定されたと言う説もあります。
こういった戒律は日本に伝わってくると、
日本人は「酒を飲むこと自体がいけないのではないから、
酒を飲んでも他の悪いことをしなければよいはずだ」と解釈するようになったようです。
特に禅系の寺院の門前には、「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)とあって、
酒を飲むことが激しくいましめられていましたが、
薬として身体のために少しぐらい飲むのならよかろう、ということで、
酒として飲むのではない、という意識から、
「智恵のわきいずるお湯」という意味を持った「般若湯」という名をつけたとも言われています。
ちょっとマニアックな話題ですが、
昔「影の軍団」という時代劇がありました。
影の軍団について本格的に語ってしまうと夜が明けそうなので、あまり触れませんが、
このドラマの劇中で、主人公服部半蔵が僧侶の格好をして
料理屋に入り、
「般若湯を一つ・・」と注文するシーンがあります。
(おっ、酒を飲むのか!)・・と、意味を知っていた私は
思わずにやりとしたことがあります。
すいません、しょーもないプチ情報を最後にぶち込んで(笑)
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