今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎ 成長を見極める
「?啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。もともとは禅の言葉で、悟りを得ようとしている弟子に、師匠が教示を与えて、悟りの境地に導くことをいいます。
言葉の意味は、鳥の孵化(ふか)に由来しています。
ヒナが生まれようとする時、卵の内側からコツコツとつつくことを「?(そつ)」といい、親鳥が外から殻をつつくことを「啄(たく)」といいます。
両方のタイミングが一致して、はじめてヒナが生まれることから転じて、物事を行うには、絶妙なタイミングがあることを表した言葉です。
「企業は人なり」と言います。人財育成は企業にとって不可欠です。
しかし、人によって成長の度合いは異なるため、どのような教育を、どのタイミングでするのかという見極めは難しいものです。
見極める鍵は、相手をしっかり見て、日々コミュニケーションを取ることから始まるのでしょう。
職場に新しい仲間がやってくる時期です。指導する立場にある人は、一人ひとりの個性と成長を見守り、的確な教育をしていきたいものです。
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<コメント>
講演会などで、特に若い人に対して、講話者が次のように言うことが時々あります。
「これからお話しすることで、皆さんの心に響かないものは、
今のあなたにとって、必要のない情報だと思ってください。
何かビビッとくる部分があったら、それを吸収してください」と。
これはまさに、部分的?啄同時、と言えるかもしれません。
そもそも「気づく」「気づかない」ということは、神の領域のような気がしています。
◎ やがて花咲く
春の訪れを感じられる季節になりました。とはいえ、三月上旬のこの時期は、真冬のように寒い日もあるでしょう。
特に北日本の各地は、まだあちこちに雪が残って、春には程遠いと感じるかもしれません。
「何も咲かない寒い日は、下へ下への根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
この言葉は、シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんの座右の銘(ざゆうのめい)です。高校時代の恩師に教えられた言葉だそうです。
人は時に、自らの状況を不遇だと感じる時があるかもしれません。それは、人生における、厳しい冬のようなものでしょう。
凍(こご)えるような寒い日は、自分を大きくするチャンスです。いずれ来る春に向けて、大きな花を咲かせるために、今できることが必ずあるはずです。
地中にしっかりと根を張った植物は、少しのことでは倒れない強さと、しなやかさを兼ね備えて、天に向かって力強く伸びていくでしょう。
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<コメント>
「何も咲かない・・・」は、内容もさることながら、七七・七五・七五と言葉の調子がとてもいいので、気持ちよく体に入っていく感じがします。
我が家のクリスマスローズも、去年は花をつけなかったのですが、今年、見事に可憐な花をつけてくれてました。
1年間、がんばって根を張っていてくれたんだなぁ、と思うととてもいじらしく、感動が伝わってきます。
このコラムのように、人も同じですね。何をやってもうまくいかない時や、落ち込むような時があっても、やがて春は来ますからね。
松田聖子さんの歌「瑠璃色の地球」にもありました。
♪ 夜明けのこない夜はないさ。あなたがポツリ云う ♪