文久二年の魚拓

先日、館蔵の文久二年、三年の魚拓についてお問い合わせいただきましたので、画像と共にご紹介させていただきます。


こちらは、氏家直綱拓≪文久二年 紅鯛≫。
長さ15メートルになる≪鯛鱸摺形巻≫の一図で、庄内藩士・氏家直綱が、文久二年(1862)八月に下磯の金沢部落の前の大中島で釣った紅鯛(真鯛)です。
本図は日本最古の間接法による魚拓になります。「間接法」は、魚に布や紙をのせて、その上から墨などで色をつける技法です。この時代は魚に直接墨を塗る「直接法」が主流だったことから、資料的にも貴重な図といえます。


同じく鯛鱸摺形巻から、氏家直綱拓≪文久三年 剛鯛≫。
剛鯛とは、黒鯛に達しない黄鯛のこと。本図は、文久三年七月十五日午後二時ころ、当時18歳の直綱が江戸の仙台侯藩邸のある河岸で釣り上げた剛鯛です。
魚拓をとった直綱は、「江戸でも国元と同じ鯛が釣れると知って、これからはお勤めにも精が出る」と手紙を添えて国元に送っています。


現在、清遠閣を会場とする「鶴舞園・清遠閣200年記念 伝来の美術と歴史物語」にて展示中です。

昭和名工・山内善作の庄内竿とカラー魚拓の第一人者・清水游谷の魚拓とともにお楽しみ下さい。





2013.04.11:homma-m:[コンテンツ]