9月28日(日)、特別展「書画にみる 文人 冬青 小林勇」の講演会が開催されました。
この講演会では講師に小林勇長女の小松美沙子氏をお迎えし、「父を語る」とういう演目でお話をちょうだいしました。本間美術館友の会会員を含め、50名を超えるお客様にお集まりいただいております。
はじめは小林勇が故郷・長野で過ごした時間についお話がありました。
上京し岩波書店・岩波茂雄のもとで働く前から、本が好きで絵が得意で、教養のある早熟した青年だったことが分かりました。
岩波書店に勤めてからは、柳瀬正夢や幸田露伴、斎藤茂吉、寺田寅彦、三木清などの一流文化人に可愛がってもらい、小林勇の人格形成に多きな影響を与えたことをお話いただきました。その中で、絵画という一生をかけて打ち込めるものを見つけています。
↑展示中の柳瀬正夢・幸田露伴・斎藤茂吉・寺田寅彦・三木清・岩波茂雄の資料
展示品の中には、横浜事件で投獄され出所して間もなく描いた画巻や、初代中村吉右衛門から頂いた鮭の、食べてなくなるまでの過程を描いた画巻があり、それらのエピソードもとても興味深く、面白かったです。
また、海外留学中の美沙子氏に宛てた121通の絵手紙は、愛情たっぷりで、一枚一枚に美沙子氏だけが知る家族の物語があるようでした。
絶筆となった書「浮世寄一夢」は、小林勇がどんな想いで激動の時代を生きて来たか表しているようで、晩年は手が不自由で書くこともままならない中、最期にこれだけの文字と言葉を遺したと思うと涙が出たとおっしゃっていました。
特別展「書画にみる 文人 冬青 小林勇」は、何度でもご覧いただきたい展覧会です。
10月26日(日)には、当館館長によるギャラリートークもごさいます。
講演会に参加された方も、そうでない方も、ぜひご来館下さい。
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