日本国の借金が増えており、このまま行くと将来世代に多大の負担を負わせることになるとの議論が財務省を始め有識者から出ているが、高橋洋一氏(内閣官房参与)から説得力のある反論が出ているので紹介します。
日本政府の貸借対照表は次のようになっており、負債は増えているが資産も増えており、差引き200~600兆円(企業で言う所の資本金)であり、日本政府が借金で倒産デフォルトすることはない。
資産asset 負債liability
1,000兆円(土地・金融資産) 1,400兆円
600~1,000兆円(徴税権) (註;30~50兆円/年×20倍=600~1,000兆円
460兆円(日本銀行の国債) 460兆円(日本銀行の日銀券)
2,060~2,460兆円 1,860兆円
国債は財務省が国債発行し、全額を日銀が国債購入するため、将来負担にはならない。日銀が国債を買い取ることで政府の借金は消える。また、日銀に政府は利払いする(日銀の収益)が、政府の子会社である日銀からの納付金があり100%政府に戻る。国債の償還10年だが、政府は国債で償還し、これを永遠に繰り返す。ざっくりと、資産600兆円とすると負債500兆円で差引き100兆円儲かっていることになる。ちなみに、日銀が全部買うと国債市場が消滅してしまう。政府は、造幣局(硬貨)と日本銀行(紙幣)の二つの子会社で貨幣を製造する。中央銀行の独立性は、手段としてであり目標として独立性ではない。
株価3万円はバブルか?バブルであれば先物を高く売って安く買い戻すことで儲けられる。ファイナンス論(伊藤清著)に、将来の予想収益÷金利=株価がある。予想収益÷5%(0.05)=予想収益×20となり、低金利は株価上昇に繋がる。即ち、金利は低いままであり株価は高いままで維持される。株価上昇は日銀の買入れが要因との指摘があるが、日銀が株式購入したのは2020年3月~であり、株価上昇2020年10月~と同期しないし、時価総額700兆円に比べ日銀購入6兆円と僅かである。
話しは変わるが、中国経済は中所得国の罠(1万ドル)に嵌まっている。バブルは誤魔化せても、一帯一路やAIIBは上手く行ってない。国家資本主義と言う概念が、ソビエト連邦の失敗の教訓から学んでおらず、膨大な不良債権を内包していると思われる。
財務省が主導し民主党や自民党が消費税を増やしてきたが、日本政府の財政破綻がウソだったとなると、これまでの政策は何だったのかと思ってしまう。高橋洋一氏は理系出身の財務官僚であり、データに基づいた説明には納得感がある。新型コロナ対策の予備費100兆円も大盤振る舞いのように見えるが、失業率が諸外国に比べ低く抑えられていることから、適切な政策が打たれているものと思われる。