プロフェッショナルの思考力と対人力

 船川淳志氏(グローバルインパクト代表パートナー)の「プロフェッショナルの思考力と対人力」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 講師の船川淳志氏は、東芝、アリコ・ジャパンに在籍、米国でMBAを取得後、㈱グロービスなどを経てグローバルインパクトを設立した。組織開発・企業変革にかかるコンサルティング・プロジェクトを手掛ける傍ら、組織・リーダシップ・人材開発などのテーマにわたるセミナーを行なっている。

 パラダイムシフトはスキルシフトを必要とする。現在は、Uncertainty,Diversity,Speedで表現される大変な時代である。プロフェッショナルに求められるスキルセットは、①テクニカルスキル(企業固有、業界固有、機能固有)②ヒューマンスキル(グローバルマインドセット、コミュニケーション力、リーダーシップ)③コンセプチュアルスキル(問題発見能力、問題解決能力、仮説検証能力)であるが、②③の割合がますます高まってきている。日本のマネージャーは特に②③のスキルが不足している。

 スキルギャップは何故起こるのか?扱う経営資源・ビジネス環境の複雑性が増すに従い、求められるスキルは指数関数的に高まって行く。一方、OJT主体の育成によるスキルアップは線形関数的な伸びしかないために、ギャップが顕在化して行く。

 思考力とは何か?思考力とは、もとになるものから頭の中で組み立てる力であり、感情や意欲ではない。もとになるものには、事実や共有された知識や個人の経験やイメージや仮説がある。組み立てるには、筋道を立てて明確に推論する(論理思考力)と自由に想起する(知的直観や想像力)がある。

 「考えること」と「知ること」をマトリックスに表すと、「学びて思わざる」や「思いて学ばざる」ではない、知的思考力(Thinking & Knowing)が求められる。

 思考の四大生活習慣病とは、思考の放棄症(「これだけの情報では無理ですよ」)、思考の依存症(「だって、社長が言ってますよ」)、思考の歪み(推論の過程にムラや無理がある)、思考の偏り(専門分野が異なると思考力が機能しなくなる)であり、口癖などに良く表れる。

 思考依存症には四つの原因がある。集団への依存(同調行動、皆で渡れば怖くない)と、権威への依存(水戸黄門メンタリティ)と、ことばへの依存(パスワード症候群)と、経験への依存(継続思考の罠)である。

 対人思考力のスキルマップは下記の通りである。ステップ1では、自分の頭の中でものごとを組み立てることができる(logical thinking)。ステップ2では、自分の頭の中で組み立てたことを相手に分かりやすく伝えることができる(logical speaking)。ステップ3では、相手の話を聞きながら、相手の頭の中で組み立てたことを理解することができる(logical listening)。ステップ4では、複数の人間とそれぞれの考えを交換・共有しながら、問題解決や新たな考えの共創をすることができる(collaboration,innovation)

 グローバル化を生き抜く鍵は「思考力と対人力」にあるとのことである。今後、心掛けて行かなければと感じた。
2005.07.26:dai:[学習]

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