脳と創造性

 茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所 シニアリサーチャー)の「脳と創造性」と言う講演を聴いてきましたので報告します。

 半ば必然で、半ば偶然。ビジネスも人生もその連続だ。脳科学の最先端を行く茂木氏はヒトの脳はその「偶有性」に対応できるという。脳を鍛え生き抜く力を身につけると言うテーマでの講演であった。

脳は今、変革期にある。ヒトにとって言葉に続く変革期と言える。ヒトの脳にとって、「創造性」と「コミュニケーション能力」にこそ価値がある。現代人は、常に脳をアップデートする必要がある。研究テーマは、クオリア(Qualia;感覚質)を解明することである。感覚は、1千億個の脳細胞が関係しており数量化できない。感情は創造性の中心にある。ヒトは半ば規則性と半ば偶有性(contingency)を好む。

ヒトの記憶力は記憶を編集する力であり、創造することは思い出すことと似ている。創造は記憶の一部である。想起F.O.K(feeling of Knowledge)と創造F.O.K(feeling of Knowledge)は側頭葉で起こる。過去のアーカイブが多ければ創造は容易であり、
創造性=体験(側頭葉)×意欲(前頭葉) で表現される。
即ち、意欲を持つ年寄りは最強である。創造とは、経験を編集して意味を見出すことである。夢は昼の経験(情報と情動)を整理している。感情(情動)こそが人間の高度な働きである。

報酬系(嬉しいことがあると活動するシステム)ではドーパミンを放出する。強化学習は、行動に脳内報酬物質(ドーパミン)を与えることで学習効果を挙げようとする。アイコンタクトでもドーパミンが出る。マネジメントの鉄則は見てあげることである。関係性の数だけ自分が変われる。会話は、創造性→即興性→関係性の中にある。成功体験が人間を育てる。誉めることの方が安上がり、叱るにはタイミングが必要。報酬(セロトニン【長時間】、ドーパミン【局所的】、βエンドロフィン)が少なくては喜びに繋がらない。熱中することが脳には良い。

愛着の無かった子供が問題行動を引き起こす「アタッチメント・セオリー」(ボルビィン)と言う理論がある。安全基地(secure base)があるから探索できる。ブランド・イメージと言う愛着があるからこそ冒険できる。

 セレンディピティ(ウォルポール)と言う概念がある。偶然、幸運に出会う能力と考えられる。科学的な大発見は、まずは行動ありきである。何ごとも行動しなければ出会えない。(ニートを考えると納得できる。)気付き、「ア・ハ体験」、ひらめき度、0.1秒のチャンスをつかめるか否かは、常に内面を見つめることから生じる。
2006.04.26:dai:[学習]

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