価値創造のための戦略的交渉力

 「価値創造のための戦略的交渉力」(田村次朗;慶應義塾大学法学部教授)と言う講演を聴きましたので報告します。

 交渉学とは問題解決のためのスキルを言う。交渉とは、相互の異なった問題を同時に解決するための合意点を創出するためのプロセスである。

 交渉学には、論理・準備・協働の三つのポイントがある。
1.論理 … 交渉は論理的に成り立つことが重要。雰囲気や感情や根拠のない期待に惑わされてはならない。
2.準備 … なによりも準備が大事。ただし時間を掛けすぎても駄目。状況把握→ミッション理解→目標の設定→代替案の構築→柔軟な選択肢の用意と言う5ステップを理解しておく。
3.協働 … 双方の満足を、客観的、持続的、公益的に満たす解決策づくりのための協働作業と認識する。これを「賢明な合意」と言う。近江商人が言う「三方良し」も同じ。

 交渉にあたって、気をつけるべき5つの態度がある。
1.「落としどころ」探しをあせらない。
2.「合意をしない」と言う選択肢もあることを忘れない。合意しない場合の代替案(BATNA;Best Alternative to a Negotiated Agreement)は、交渉にあたって絶対に必要な要素。
3.負の感情を増殖しない。見せかけの強気や戦闘モードは相手に伝染する。
4.安易な約束はリスクになる。
5.交渉はテクニックではない。大きなミッションや目標をベースに戦略を立てる。

 よりよい交渉戦略を立てるために4つの着眼点がある。
1.ミッションからスタートする。ミッションとは、何が本質的な問題なのかを吟味し考え抜くことから始まる。
2.リスクをマネジメントする。メリットと同時にリスクの存在を共有化し、どうすれば小さくできるかを話題にする。
3.攻撃的に臨んで来る交渉相手を恐れない。逃げず戦わずが原則。
4.アジェンダ管理が鉄則。時間のマネジメント(デッドラインに気をつける)、内容のマネジメント(議事録をとる)、協議事項のマネジメント(何を交渉するか)をする。

 交渉とは問題解決であると言う視点が面白い。

2007.05.24:dai:[学習]

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