「日本近現代史~歴史修正主義」(宮崎正弘、渡辺惣樹著)と言う図書を読んでの読書抄録と感想について述べる。
「まえがき」では、アメリカの非干渉主義≒孤立主義であること、1905年の桂・タフト協定の重要性について述べている。
第1章「日本を深く研究していた欧米」では、第2次世界大戦の勝者はスターリンのソ連と毛沢東の中国共産党であった。欧米人から見ると、日本人は礼儀正しく好感が持て、戦になると勇敢である。仁義が重んじられ、礼節によって統治されている。
第2章「英国自由貿易帝国主義と日米の戦い」では、ハリスは日本の金流出に関わり評判が悪いが、日米修好通商条約では自由貿易帝国主義のイギリスから守ろうとしている。保護貿易主義が正しいとするハリスは、自由貿易を強制するイギリスの防波堤になった。アメリカは保護貿易主義、自国産業の育成を目的としていた。幕末のハリスとオールコックの外交戦争は、関税政策をめぐる米英の攻防であり、南北戦争の本質も、関税政策をめぐる米英の争いである。南北戦争とは、奴隷解放ではなく米英の戦争である。徳川艦隊の引き渡しが、西郷隆盛と勝海舟の江戸城無血開城の条件だった。坂本竜馬はグラバーのエージェントであり、イギリスの国策は自由貿易帝国主義のシステムに他国をいかに取り込むかにあった。長州ファイブもイギリスにいいように使われていた。イギリスの狡猾さに早い段階で気付いたのが伊藤博文である。貨幣発行権を取ろうとして、リンカーンもケネディも暗殺された。リンカーンは、戦費調達のために、国家の信用を背景にして発行する政府紙幣、貴金属と兌換性のない紙幣を発行しようとした。
第3章「日本とアメリカが作った朝鮮開国」では、朝鮮は自主防衛を図るという積極意志はなく、外国勢力を操ろうというご都合主義だった。朝鮮王朝には腐敗がはびこり、両班ヤンバンが私的に勝手に税を取り立てるなど、一向に近代化が進まなかった。セオドア・ルーズベルト大統領は、「あの国は近代化する能力はない。朝鮮は日本に併合されるべきだ。」と言っていた。朝鮮王朝は、両班ヤンバン階級の既得権益が喪失するため、日本を嫌っていた。あれだけの腐敗と愚かな行動、そしてうぬぼれ、日本への併合は、朝鮮が自ら招いた結果である。
第4章「ルーズベルトが仕掛けた日米開戦」では、桂・タフト協定(密約)があり、日本が朝鮮半島を、アメリカがフィリピンとに分けていた。ドイツは黄禍を利用することにより、ロシアとアメリカを牽制した。ドイツは、昔も今も信用できない。朝鮮はことあるたびに二枚舌を用いた。彼らは東アジアで最悪の策士である。伊藤博文暗殺の黒幕は、ソ連かドイツかである。張作霖爆殺は、日本軍ではなくソ連の諜報機関の犯行である。民主党は、南北戦争で敗れた南部白人が結集した人種差別政党であった。FRBは中央銀行でなく、人事の実務的運用は民間金融機関である。フーバー(反共の闘士)大統領は、スチムソン(満州国非承認、対日強硬外交)を指名した。米85%の世論を動かして日米開戦を回避できなかったか?日本の宣伝は下手すぎる。押されっぱなしの日本外交、日本人のやさしすぎる性格、先に相手を慮る惻隠の情が仇になった。ルーズベルト大統領は、ニューディール政策の失敗をごまかすために戦争を仕掛けた。あの戦争は日本は受け身として、やむにやまれず戦わざるを得なかった自衛の戦いであるが、植民地アジアに対しては日本の果たした業績は自慢できる。
最終章「若い人たちに伝えたいこと」では、ナショナリズムでなく愛国心を持ちたい。ルーズベルトとチャーチルの愚かさは、防共の役割を果たしていた日本とドイツを叩いたことにある。弱い者はずるい。強者の側に立てば強者の論理で動く。弱者を武器にして異論を封殺する、弱者がふんぞり返ってしまう。民主主義の行き着く先は全体主義であろう。公共投資は、お上にお金をすがる産業構造と、権力を謳歌する官僚組織を肥大化する。理想とする政治は賢人政治であろう。人間が素直に育つには、母親に愛されることが大事であり、日本を思う、祖国を思う気持ちに通じる。基本は自立自尊。戦略的課題は、自主憲法、自主防衛、失地回復(伝統的価値観喪失)である。ルーズベルトは、ソ連の領土拡大と東西冷戦をもたらした。ソ連崩壊後、共産主義者は、思想的敗北から逃れるために環境保護、人権運動、フェミニズム、少数性差別、反原発を唱えている。
戦後歴史教育では全く触れられなかった知識が、いま資料が公開されて明らかにされてきている。私たちの祖父母がどのような想いで生きてきたのかを学ぶ良い機会が訪れて来ていると感じる。祖父母を含めたご先祖様が生きてきた道程を、愛情を持って見つめ直して行くべき時期に来ていると思われる。
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