スローフード運動が起こっている。日本スローフード協会によると次の三つの指針を掲げている。
1.消えゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
2.質のよい素材を提供する小生産者を守る
3.子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。
佐藤初女さんは、ともかく訪ねてきた人に、心のこもった食事を食べていただくことだけを目的に「森のイスキア」をつくった。彼女は、次のように言う。
生き方と食事には、
不思議なつながりがあるって考えてるの。
素材の命を生かすような料理をすれば、
人も生かされるって。
自殺をすると決めていた青年が、森のイスキアを訪ねた。佐藤さんに会ってみても別に有り難い話があるわけではない。しかし、帰りにいただいた、にぎりめしを食べたとき、青年はあまりのおいしさに、「生きよう」と思ったという。
佐藤さんは、さらに言う。
一緒に食べることは、
深いところでこころが通い合えるのです。
おなかが満たされてくると、
自然に感謝の気持ちが湧いてきて、
次には、他人に何かしてあげたくなるもののようです。
(「縦糸横糸」より)