火起しでっぽ 〜キャリアネットワーク〜

火起しでっぽ 〜キャリアネットワーク〜
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今まで読んだ玄田氏や小杉氏のような学者・行政者や香山氏のような精神科医の本とは違って、現象面を主体にし、読みやすく、理解しやすい本といえます。

それは二人の著者の経歴によるところが大きいような気がします。
「浅井宏純氏」は工業高校卒業後、1974年渡米。パイロットを目指し、小型機の免許をとり、1978年に卒業。帰国後(株)海外教育コンサルタンツ入社。海外留学を通して親と子の自立を支援しています。同社では1973年の創業以来、世界に雄飛する5000名以上の若者をお世話しているそうで、本のなかに自立のための海外留学の状況が事例として紹介されています。自分の子供3人も子供のときから海外留学させています。
「森本和子氏」は出版社勤務を経て、現在はフリーランスライター・編集者として活躍し主に活躍している女性と教育問題を取材・執筆中だそうですが、実際に取材した内容をまとめて書いていますので具体的です

この本の趣旨を著者の浅井氏は「はじめに」のところで次のように述べています。
『この本で伝えたいことは、自分の子供をニートにさせない、とても基本的なそんな家族の教育方法です。整理すると7つの解決策になります。7つの健康が、ニートを防ぎニートからの回復を促すでしょう。健康になって「自分がどんな人間になりたいかのかは自分で選べるんだ」という真実に気付いてほしいのです。勇気を出して選ぶ。自分で選んだ人生を歩めばあなたはもう今までの臆病なニートではありません。また、ご家族、友人、隣人がニートになるかもしれない子供達のよき相談者(メンター)になれます。それぞれのできることを通してニート撲滅を支援しませんか。一人から、あなたの隣のニートおよびニート予備軍を救いましょう。夢はでっかく根は深く、日本と日本人の明るい未来のために。』

●目次
浅井氏
1・あなたの隣にいる「ニート」
2・「ニート」はなぜ生まれたのか
3・ニートにしないための7つの対策 
森本氏
4・問題のある子供たちをどう立て直すことができたか
5・早くからなりたい職業がはっきりするほど成功している事例
6・親として子供とどう接するべきなのか?
7・学校としてニート対策はどうしているか? 
8・近年急速に動き出したニートへの社会的支援 (ここだけ岡崎 智氏)


●紹介したいポイント
1・ニートにしないための7つの対策として下記のような項目で述べています
1)家族の健康 2)心の健康 3)体の健康 4)社会の健康 5)教育の健康
 6)お金の健康 7)メデアの健康

 家族のあり方や親子関係から始まり、ニート発生に関係すると思われる事柄に、具体的に細かく述べています(今までに紹介した本の対応策がより具体的にまとめられている)。
 これから子育てする親や子育て中の親には一読する価値はあるかと思います。
読んでみるともっともなこと事が多いのですが、すでに不登校や引きこもり、そしてニートである人は上記7つの何かが欠けていたということになります。
これから子育てする親や学校はこれから留意して取り組めばいいでしょうが、すでに引きこもりやニートになっている人に対する対応策は詳しくは述べられていません。
改善を図っていくために個人対応して行く上で参考になることは多いと思います。

2・ニートのタイプ
1)逃避型 〜「ヤンキー」、「引きこもり」
2)もがき型 〜「つまずき」(いったん会社へ入っても何かいやな事があるとやめる)
「立ちすくみ」(大学卒業を目前にして社会に出るのが怖い)
3)新型 〜 「学校依存」(例・大学→大学院→再度専門学校・永遠の学生たち) 

3・印象に残った内容や言葉および情報
・「社会構造とルールが大きく変わった」〜何でも欲しいものが手に入って本当に欲しいものがなくなると、人間は寂しくなります。寂しくなると、携帯電話を使って友達と絶えずつながっていないと不安で仕方がないのです。やはり、この豊かさがニート発生の一番の原因です。豊かさが7つの健康を奪ったのです。
・終身雇用制、日本型経営の崩壊がニート発生に関係がある。
・中学生くらいまでに自律心、自発心、勤勉性を教えるのは父の仕事です。
・現代の若者〜「一粒のイクラ」きらきらしてきれいだがつまむとぷちっとつぶれる。
・最近では企業には入っただけで燃え尽きてしまい社内でお荷物になった人間を形容する「社内ニート」という言葉まで生まれています。
・「キャリア・スタート・ウイーク」〜兵庫、富山の公立中学生の職場体験
・「ドリカムプラン」〜福岡県立城南高等学校では、高校生活を自分の夢を実現させるための3年間として位置づけている。
・夢を具体的な目標にするためには、ライフプランを作成するといい。
・親が変われば、子供は変わります。子供が変われば、親も変わります。子供を育てることはまさに自分自身を育てることなのです。

著者:浅井宏純、森本和子
出版社:宝島社
定価:1524円

by 長朗
2005.09.05::count(1,820):[メモ/オススメの本]
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