朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報

朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報
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 樹齢約1,100年、根周14.7m、胸高直径3.38m、約3mの上部で多くの枝を分かち、枝は四方に張り出して垂れ下がり、西側の一枝は地に接して着根し、すでに親木と離れて独立している。
 主幹は約10mの上部で四幹に別れ直上し、高さおよそ26mにおよび、樹冠は円錐形をなして一樹で森を形づくっている。
 日本海側に自生する杉の一種で、山形県下の杉では第1位の巨樹とされている。
 昭和28年8月31日山形県指定天然記念物となる。
※大江町教育委員会

アクセスマップはこちら
※旧大暮山分校跡より細道を10分。道が狭く軽トラックが望ましい。

お話 山田栄二氏(西川町)

◆軍道の全体像と踏破の記録

 軍道の全体像としては、用途は情報連絡・物資輸送・藩士往来で、全長は約60キロメートルとされているのですが、我々が歩いた実測値によると約六五キロメートルありましたが、高低差によるものと思われます。旧朝日村の史料によると道幅は九尺で、途中に偉い方が泊まる御殿小屋が二ヶ所あったようです。一つは旧朝日村地名図にある高安山南方の小屋屋敷のところで、もう一つが御影森山か中沢峰の下あたりかと思われます。工期は慶長三年の一夏でつくったということで、工事を担当したのは、庄内口から鱒淵村の農民、米沢口からは草岡村の農民が動員されており、他に奥三面衆が山案内に当たっていたようです。
 朝日軍道が通る連峰の全容は、米沢領から葉山 ―八形峰 ―中沢峰―前御影森山 ―御影森山 ―大沢峰 ―平岩山 ―大朝日岳と来まして、中岳 ―西朝日 ―寒江山―以東岳―オツボ峰―三角峰(三角峰手前までは登山道があります)。その先、戸立山 ―茶畑山 ―芝倉山 ―葛城山 ―高安山―猿倉山―鱒淵、それから飛地庄内領に入ります。
 我々が踏破した記録ですが、平成16年の第一次から21年まで6回の登山を実施しました。(単なる登山ではなく軍道痕跡を探る視点で歩きました。縦走路では悪いとは思いながら、登山道から外れたりしながら結構丁寧に歩いたつもりです。) 途中、平成20年の第5次登山には、NHKが朝日軍道のレポート番組を作るということで同行取材をして、7分位の番組が東北六県で放映されました。

◆朝日軍道の痕跡を探して

 草岡の登山口、初夏は草茫々なんですが、ここから葉山にかけてのあたりが一番軍道の痕跡らしさが残っているように思います。
 藪の中に古い石積みがあるのですが、普通に歩いていると気が付きません。また途中にわざわざ石を鏨(たがね)で砕いたような痕も見られます。おけさ堀付近までは、道幅二メートル位の電光型の軍道と見られる道が顕著に残ってます。葉山から八形峰を通って焼野原を降った先に中沢峰鞍部の水場がありますが、ここだけ樹齢何百年かのブナ残っており、傍に水場があり周りは広く、誰が考えても休み場として最適な所だなという感じです。
 中沢峰を降って途中にも電光型の道があるのですが、これがなぜ軍道じゃないかと思うというと、登山道であればこの短い区間をこんなに曲がる必要がないんですね、例えば、山にキノコ採りや山菜採りに行くにしても、峰まで真っ直ぐ登って行くのが普通で、登山でもかなりの急斜面なら別ですけれども、真っ直ぐですね。
 御影森山の手前に、怪しげな棚状の樹林がありますし、大朝日岳から西朝日岳にかけても、軍道の痕跡と思われる所があります。それから、三方境から狐穴小屋の先中先峰の所にも電光型の軍道跡が見られます。
 以東岳から先、三角峰に行く途中にオツボ峰という所があるのですが、史料によると、ここには御壷石(この下に人骨を埋めたと推測。)という二間四方の石があるとありますが、この辺りでいくら探しても、手前で見つけた約二間四方の石以外にはありませんでしたので、これが御壺石に違いないと確信しています。石の下には何かあるはずです。地元人たちは更に調査してほしいと思っています。
 次の登山で戸立山を目指したのですが、この先は登山道も無く藪が密集しており、泊まり荷物を担いでの登山は体力的に無理だと判断して、軍道の痕跡がある程度判り、さらに歩きやすい残雪期に調査することとしました。
 そして、戸立山の先茶畑山山頂付近に不自然な切り通しを見つけました。幅が六尺を超えるものですが、50m位の区間ですが明らかに人の手が入ったような痕跡があります。やったと思いました。
 先の高安山、兜岩には当時明神様が祭られていたようですが兜岩はいかにも明神様にふさわしく堂々とした岩山です。探したのですが社跡などは確認できませんでした。
 猿蔵山から鱒淵に下りて庄内に出るのですが、途中に岩魚沢という所があり、ここが軍道だったと史料にあります。また、鱒淵集落の中に山神社がありますが、ここは当時、軍道の完遂を祈願したとされていますが、集落の人に確認はしていません。

朝日町エコミュージアム20周年記念事業
パネルディスカッション「直江兼続が開いた朝日軍道」(2009)より一部抜粋


山田栄二(やまだ えいじ)氏
昭和26年(1951)生まれ 西川町間沢在住。登山暦約40年。
岩根沢清川仙人会所属(月山 清川行人小屋及び岩根沢、本道寺からの登山道管理団体)。月山清川行人小屋管理(年数回)。朝日軍道については、現地軍道痕跡を目的とした一貫した報告・資料等がみあたらず、朝日連峰山麓に住む者として一度朝日軍道を歩いて見ようということになり、平成16年、清川仙人会員及び他の山仲間と痕跡調査登山開始し6年目で区切りとなる。


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ひとつひとつ描かれた木々
力強い山の稜線
"シン"という音がみえる空気と空

長岡さんの絵を初めてみせていただいた時、
「あ、山だ。これは朝日町の山だ。」
という言葉が私の口から流れ出ました。

長岡昴司さんは、長沼で生まれ
現在は太郎に居を構えています。
鳥原山の山小屋で働き、朝日連峰を
日々みつめて暮らされています。

絵には人がそれぞれ生活で培ってきた
視点がでます。

ある春の日、栃の木を観察されている
長岡さんにお会いしました。
陽の傾きと共に在りようを変えていく
葉の様子を、刻々と観察し、その変化に
感嘆の声をあげながら紙に描きとめて
いらっしゃいました。

長岡さんの描かれる絵に、描いているモチー
フにプラスされた、静謐とした
静かな時間の流れを感じるのは、
こういった視点をお持ちの方が描いたから
ではないでしょうか。

「山にいるといろんな人との関わりがあって
楽しい。町にいる時は声を かけない。
山では会話がある。それが楽しい。」
「山は川より体に”くる”ものがある。」
という、それそのままの視点が、描いているも
のひとつひとつをなぞる
活き活きとした視点となって観ている人に
伝わってくるのです。

報告/田中敦子 あとりえマサト代表
東北芸術工科大学日本画コース副手
平成20年(2008)


長岡昂司(ながおか・こうじ)氏
プロフィール
1959年朝日町長沼版画家阿部功雲の分家に生まれる。
大工歴33年。
年間、鳥原山に約30回、大朝日岳に5〜6回登る。
朝日山岳会理事。朝日町山岳遭難救助隊員。
朝日町太郎在住。

※写真の絵は建築業の端材に描いた木川ダムの風景です。
※上記ダウンロードボタンで印刷用のpdfファイルを開けます。

 朝日町エコミュージアムのインフォメーション「エコミュージアムルーム」は、朝日町エコミュージアムコアセンター「創遊館」内にあります。
 ここでは、サテライト(見学場所)を訪ねたい方の相談にのっています。詳しい情報や資料を求められるほか、エコミュージアムに関する出版物の販売、案内人の手配、宿泊場所のご案内、またエコミュージアムに関するいろいろなもよおしも実施しています。
 また、併設するエコミュージアムコーナーでは、朝日町についての展示や、パソコン「ミューズ・デポ」や「あさひまちの宝箱」で、楽しく朝日町の概要や宝を知ることができます。
 サテライト(見学場所)を訪ねる前の下調べにぜひお立ち寄り下さい。

所在地 : 朝日町宮宿2265 朝日町エコミュージアムコアセンター「創遊館」1階
電 話 : 0237-67-2128

 エコルームで手に入れた資料や地図を片手に現地を訪ねましょう。(無料)
また、ガイドブック「朝日町エコミュージアムの小径」シリーズやエコミュージアムノート、関係する書籍・VTR等の販売もしております。隣接する図書館には朝日町コーナーがあり、参考になる本を借りることもできます。 

エコミュージアムノート一覧(PCサイト)
※ダウンロードできます

〈お願い〉 
 紹介している見学ポイントには、いつでも自由に訪ねられる所と、営業日や開館日が設定してある所、エコルームで申し込まないと訪ねられない所があります。詳しくはエコルームへお問い合わせ下さい。

 朝日町エコミュージアム案内人の会では、町民が学芸員となって、朝日町の歴史や文化、自然、産業などについて自分達の経験と知識をもとにガイドいたしております。
 ご希望の方は、エコミュージアムルームに一週間前までにお申込み下さい。

■サテライト案内人(訪ねたい見学地を詳しく案内します)
・1ヶ所2,000円(9:00〜16:00の30分〜1時間)

■道先案内人(同行してルート・概要などを案内します)
・サテライト1ヶ所2,000円(9:00〜16:00の1時間程度)
・半日コース   4,000円(9:00〜16:00の3時間程度)
・1日コース   6,000円(9:00〜16:00の6時間程度)

※個人でも団体でも同じ料金です。
※地理に詳しくない方は、道先案内人の同行をおすすめいたします。

おすすめコース一覧

申し込み方法/
下記フォームに、訪ねたい見学地、日時、人数、お名前、ご連絡先などをご記入の上お送り下さい。
こちら

もしくは
申し込み用紙(PDF)
をダウンロード下さり、FAXで下記までお送り下さい。

エコミュージアムルーム 
TELとFAX 0237-67-2128 (月曜休)

方法1
 各見学場所の拠点に貼付けてある「QRコードシール(画像参照)」を携帯電話で読み取りモバイルサイトを開けば、その場でエリア概要や見学ポイントについての詳しい説明を読むことができます。住民学芸員の話も読むことができますので、風景だけではない朝日町の環境と住民の関わりについて、より深く知ることができます。
 
方法2
 あらかじめ当サイト左下のQRコードを携帯電話で読み取り、モバイルサイトを登録しておけば、シールを探さなくてもどこでも開くことができます。下記アドレスを入力しても開きます。
http://asahi-ecom.jp/m/

方法3
 産直和合様の駐車場にケータイガイドエコミュージアムマップを設置しております。朝日町にいらした時はこの看板でQRコードを読み取ることができます。


(お願い)
 このサイトは、朝日町エコミュージアムがこれまで培ってきたデータを紹介することにより、郷土学習や観光に、より深く活用されることを目的に運営いたしております。
 よって、サイト内で紹介しているほとんどの見学地は、観光地として整備している場所ではありません。アクセスマップも細道までは表示されません。
 予め御了承の上、見学の際は下記についてご留意下さるようお願い申し上げます。

・安全に留意し危険な場所には近づかないで下さい。
・マナーを守り、無断で個人敷地内に入らないで下さい。
・不明な場所につきましては、エコミュージアムルームへお問い合わせ下さい。または、エコミュージアムガイドをご利用下さい。
Tel0237-67-2128(月曜休)

 朝日町エコミュージアムでは、見学会や体験講座、シンポジウムなどを開催しております。開催日や内容については、ニュース&イベント情報をご覧下さい。

エリア / 朝日町ワイン

・見学会についてはエコミュージアムルームまでお問い合わせ下さい。
・ワイン城内で一部生産工程はいつでも見られます。
・ワイン城の営業は、4月〜10月は9:00〜17:00、11月〜3月は9:00〜16:00、年末年始以外は年中無休です。
・オーナーの会に入会なさると体験、交流会などに参加できます。
・所在地住所 / 山形県西村山郡朝日町大字大谷字高野1080番地
・詳しくはホームページをご覧下さい。
 朝日町ワイン
 Tel0237-68-2612

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エリア地区 / 和合大隅地区

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お話 : 白田重明氏(朝日町ワイン総務部長)

〈朝日町ワインの歴史〉
 朝日町ワインの前身である山形果実酒製造有限会社は昭和19年(1944)に創業している。本社は山形市宮町にあり、工場が農協の大谷支所の所にあった。当時は軍の保護を受けてぶどう酒を作っていた。ぶどうに含まれる酒石酸が結晶すると「酒石」というきれいな結晶を作り、それが無線機の一つの部品になった。
 戦争が終わり必要なくなると、今度はサントリーの赤玉ポートワインの原料を作っていた。ところが、昭和50年頃に甘口ワインの需要が減り、納められなくなった。農家を守るのが農協の使命ということで、ぶどう酒を瓶に詰めて「サンワイン」として売ってみたが、飲めたものじゃなかった。
 私は昭和50年に農協に入り、町と共同出資のぶどう酒工場に勤めるようになったが、その頃の農協の宴会では、酒は豊龍、ビールはアサヒ、残るのはいつもサンワイン。なにしろポートワインは、砂糖と香味料と色素を入れて作るものだったので、大量の安いぶどうを原料にしていた。農家もたくさん成らせないと収入にならなかったので、あまり良いぶどうではなかった。それをそのまま瓶詰めして売ったから酸っぱくて飲めなかった。管理も悪いので、酢酸の菌がワインのアルコールを食べて繁殖し、酢の酸っぱさになった。それがワインだと思ってみんな飲んでいた。
 当時の白田要衛門組合長から、ワインが酸っぱくならない方法と美味しくなる方法を東京で勉強してこいと言われて行った。いろんな先生に習ったが、「科学的な方法よりも、問題は原料のぶどうにある」ということを教えられた。当時は一反歩から4〜5tのぶどうを成らせていたが、それではぶどうは小豆色位にしかならず黒く熟さない。完熟しないから酸っぱい。収量を半分の2t位におさえることを薦められた。
 さっそく農家の皆さんに価格を倍にして作ってもらった。量が少なくても単価が高ければ、経費も掛からないので農家にも好都合。そのように改善して昭和54年頃から良いぶどうが作れるようになり「朝日町ワイン」が生まれた。平成2年には、電話がきても名のりづらい「山形果実酒製造有限会社」の社名を改め、呼びやすい「有限会社朝日町ワイン」に変更することができた。
 その間、昭和50年頃からいろいろな農林水産省の補助事業をいただいて仕込み倉や貯蔵庫を整備できた。平成12年に試飲のできるワイン城と周りのぶどう畑を整備して、ついにワインを作っている場所という雰囲気になってきた。おかげさまでオープン以来徐々に観光客も増え、繁忙期の4月〜11月で2万5000人位いらしてもらえるようになった。売店の販売額も増えている。ワインの売れない時代だが、求め安い価格でおいしいワインを提供でき、会社としても流通と違ってマージンを取られないので大変良い施設となっている。
(お話 : 白田重明さん 平成22年2月)
続き

白田重明氏(しらた・しげあき)
昭和32年(1957)生まれ。昭和50年に上山農業高校を卒業し山形朝日農協に就職。山形果実酒製造(有)に出向し、国税庁醸造試験所(東京都)へ研修。翌年研修を終了し、ワイン醸造に取り組む。以後、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど数回のワイン海外研修を重ねる。国産ワインコンクールの審査員を第1回(平成15年)より4年間務める。有限会社朝日町ワイン総務部長。山形県ワイン酒造組合・事業推進委員長。

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お話 : 白田重明氏(朝日町ワイン総務部長)

〈ワインの造り方〉
 ワインは大きく分けると赤ワインと白ワイン。原料は黒いぶどうと白いぶどうがある。
 赤ワインは黒いぶどうからへたの部分だけ取り除いて皮ごとつぶしてタンクにいれワイン酵母を入れて温度管理をして撹拌しながら2週間くらい発酵させる。皮に含まれるうまみ成分を出してから搾るのが赤ワイン。皮に含まれている色素や種にある渋みなどが入るので、赤ワインは酸味があって渋みがあって少しクセがある。それをタンクに入れて2~3年熟成させる。
 白ワインは白いぶどうをつぶしてすぐに搾り、果汁だけを発酵させる。皮の成分は搾る時に少し出るが、渋みや苦みがほとんどない。
 ロゼは白ワインと同じ製法で黒いぶどうを使って作る。これが基本的な三種類のワインの造り方。うちではやっていないが、赤ワインと白ワインを混ぜて造っているところもある。
 赤ワインはボデイがあり渋みなど味の幅がある。白ワインは軽めでフレッシュ感がある。たとえば、赤ワインは皮ごと仕込んだのを2週間かかるところを4日位で抜けば、通常の三分の一の色になる。

〈30種類のワイン〉
 色をうすく出す事ができる。白ワインは皮をすぐに取り除かないで二、三日浸けてから取り除皮のうまみが少し出る。そんなふうに少しずつ製法を変える事により様々な味のワインを作ることができる。売店にある30種類のワインはそうやって造っている。
(取材/平成22年2月)

白田重明氏(しらた・しげあき)
昭和32年(1957)生まれ。昭和50年に上山農業高校を卒業し山形朝日農協に就職。山形果実酒製造(有)に出向し、国税庁醸造試験所(東京都)へ研修。翌年研修を終了し、ワイン醸造に取り組む。以後、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど数回のワイン海外研修を重ねる。国産ワインコンクールの審査員を第1回(平成15年)より4年間務める。有限会社朝日町ワイン総務部長。山形県ワイン酒造組合・事業推進委員長。

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お話 : 白田重明さん(朝日町ワイン総務部長)

〈オーナーワイン制度〉
 平成3年から始めたオーナー制度は、工場や畑の案内、収穫体験、芋煮会形式の交流会を開いている。開始当時は5年後にワインが送られる方法だったので次第に入る方が減ってしまう問題があった。平成6年からは、白ワインは1年後、赤ワインは2年後の短期のオーナー制度に変えた。現在は全国から250人の会員で350口数入っていただいている。交流会は半分の120人位の会員+家族で350人位の集まりになる。ワインは置いておけばおくほど良くなるものではないので、作っておいしい時に飲んでもらって、また次の生産につなげることが大事だと思っている。そのためにも、商売のみに終わらず、届くワインがどういう場所で、どういう人達が関わって、どういう風にして作られているかということを伝えられるとてもいいシスデムだと思っている。

〈親子体験事業〉
 もう一つ2002年から中学3年生の親子体験事業に取り組んでいる。当時の学年委員長だった松谷屋の白田和好さんと相談してブドウのもぎ取りを始めた。カベルソービニヨンというぶどうは5年熟成させるとおいしくなる。樽で2年。瓶につめて3年。15歳の三年生が成人する頃にちょうど良くなる。いただいた体験料をあてて成人式の4月29日に届けるようにしている。成人を祝う初めてのお酒は朝日町ワインを飲んでもらいたいし、町や県から出ていった時に朝日町ワインのことを話せるようになってもらいたいと願っている。ラベルは5年前にいただいたグループごとの写真をレイアウトして貼っている。結婚式で、オリジナルラベルを貼ったワインを使う方も増えている。少しずついい方向に繋がってきていると感じているので大事に続けていきたい。

〈畑に来て欲しい〉
 ワイン城に一番人が訪れるのは、サクランボの季節や10月頃。見学にいらしたお客様に一番面白いと好評なのは、タンクや機械の工場の説明よりも畑。畑には入っていけないと思っているので、なるべく声かけして入ってもらっている。たとえば、カベルソービニヨンの完熟前のピーマンのような香りを嗅いでもらう。どこかで買ったカベルソービニヨンワインにピーマンの香りがしたら、完熟前のぶどうを使ってしまったことになる。そんなことをお話しすると、納得して帰られる。畑には畑でしか体験できないことがある。
(取材/平成22年2月)

白田重明氏(しらた・しげあき)
昭和32年(1957)生まれ。昭和50年に上山農業高校を卒業し山形朝日農協に就職。山形果実酒製造(有)に出向し、国税庁醸造試験所(東京都)へ研修。翌年研修を終了し、ワイン醸造に取り組む。以後、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど数回のワイン海外研修を重ねる。国産ワインコンクールの審査員を第1回(平成15年)より4年間務める。有限会社朝日町ワイン総務部長。山形県ワイン酒造組合・事業推進委員長。
※写真は朝日町ワインホームページより抜粋
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お話 : 白田重明さん(朝日町ワイン総務部長)

〈ロゼ部門3年連続最優秀カテゴリー賞受賞〉
 国産ワインコンクールが始まった7年前から出展している。審査は瓶に黒いビニールを巻いてどこのワインか分からないようにして行われる。一年目は出品したが全く受賞できなかった。二年目にセレクトルージュの赤が入賞した。そして3年目に3アイテム、4年目には4アイテムが入賞した。転機になったのは2006年に「マスカットブラッシュ夢色」が銅賞を受賞したこと。1100円のものが受賞した。
 元々ロゼはあまり売れなかった。10年位前の赤ワインブーム以前の売れる割合は、赤ワインは2割、 白ワイン7割、ロゼワインは1割。ブーム後は、赤ワイン6割、白ワイン3割、ロゼワイン1割。朝日町ワインは、はじめ赤ワインを作り、次にロゼワインを作った。その後、白ワインを作れるようになって売上が伸びてきた。反面、ロゼワインはだんだん売れなくなって、作る意欲もなくなってきていた。味が悪くなって廃棄処分したこともあった。
 2004年に若手の醸造担当職員から「一タンク作ってみたい」と申し出があり、真面目に作らせてみた。それが二年後に受賞した。「まぐれでもたいしたものだ」と、みんなで大変喜んだ。これ位認められるならとまた頑張って作り、翌2007年には、なんと銀賞のロゼ部門最優秀カテゴリー賞をもらった。2008年にもマスカットブラッシュ夢色が同じ銀賞のロゼ部門最優秀カテゴリー賞をもらった。そして2009年にロゼがまたもらった。3年連続でロゼが受賞した。合計では7アイテムも入賞するに至った。

〈スパークリングワイン〉
 はじめて入賞したスパークリングワインのナイアガラとミュラーは、営業に回っている職員がこれからはスパークリングワインの人気が出て来ることを察知して、作ってみたのがはじまり。まずはノズル一本の機械を買って作り、販売してみたら評判がよく、今度はノズル3本の機械やエアーで詰める設備を整備して、需要に堪えられるようにした。営業で得てきた情報をうまく生産につなげるようにしている。
 大手のようによそからぶどうを仕入れて作るのではなく、朝日町産のぶどうでワインを作り、賞を取ることにこだわっている。今年もいくつ入賞するかは分からないが出展することにしている。
(取材/平成22年2月)

白田重明氏(しらた・しげあき)
昭和32年(1957)生まれ。昭和50年に上山農業高校を卒業し山形朝日農協に就職。山形果実酒製造(有)に出向し、国税庁醸造試験所(東京都)へ研修。翌年研修を終了し、ワイン醸造に取り組む。以後、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど数回のワイン海外研修を重ねる。国産ワインコンクールの審査員を第1回(平成15年)より4年間務める。有限会社朝日町ワイン総務部長。山形県ワイン酒造組合・事業推進委員長。

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お話 : 白田重明さん(朝日町ワイン総務部長)

〈ワインは飲めば分かる〉
 ワインそのものの説明については、いつも「飲んでいただくと一番わかる」と説明している。ドブ臭かったり靴下の汗くさい臭いのするワインが、仮にあったとしたら大変な事(笑)。タンクが不衛生で雑菌が入ってしまい変な熟成がしたものをそのまま瓶詰めしたことになる。

〈売店のジュースがおいしい理由〉
 ワイン用のぶどうはおいしくないと思われがちだが、ワインがおいしいということは、ぶどうもおいしい。食用の水っぽいおいしさとは違うが、皮ごと噛んでいると味わい深さを楽しめる。売店で出しているマスカットベリーや山ぶどうのジュースがその証拠。子供や運転する人など試飲できない人のために置いてあるが、とてもおいしいと評価をいたただいている。あのジュースがおいしくなかったらうちのワインはすべておいしくないということになる。いいぶどうを使っていることをあのジュースで表している。

〈古いワインについて〉
 よく頂き物などの古いワインが飲めるかどうか問い合わせがあるが、栓を開けて匂いをかいで酸っぱい香りがするものは料理に使えばいい。透かして見てくもりガラスのように濁っているものは
飲まない方がいい。ただし、くもったものが下の方に沈殿していて、上のほうは透明感がある場合は上だけを飲める。濁ったものは元々ワインに溶け込んであった成分が年数経って結晶して落ちたもの。静かに別の容器に移し替えて飲めばいい。

〈白田さんのやりがい〉
 朝日町ワインで働きはじめた昭和50年から35年になった。近頃はワイン作りの現場から離れて畑にいることが多くなった。10数年前からワインの作り方を教えた若手の職員たちが、現在意欲的にワインを作ってくれているのがなにより嬉しい。私は現在、畑から朝日町ワインの全体を見つめる役割を担っている。
(取材/平成22年2月)
※写真は畑を案内する白田さん
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白田重明氏(しらた・しげあき)
昭和32年(1957)生まれ。昭和50年に上山農業高校を卒業し山形朝日農協に就職。山形果実酒製造(有)に出向し、国税庁醸造試験所(東京都)へ研修。翌年研修を終了し、ワイン醸造に取り組む。以後、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど数回のワイン海外研修を重ねる。国産ワインコンクールの審査員を第1回(平成15年)より4年間務める。有限会社朝日町ワイン総務部長。山形県ワイン酒造組合・事業推進委員長。