朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報

朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報
ログイン
メモ メール アンケート カレンダー ブックマーク マップ キーワード スペシャル プロジェクト


此處には東北の冷害がある。北方の水の災が
ある。天をさす稲穂のなげきがある。そして
農民の低いが凄い言葉がある。人の決して忘
れてならないものがある。世を擧げて一つの
方向に全力を致せねばならぬ時、國に心の和
を最も貴しとして必ず之を守り通さねばなら
ぬ時、上ばかりを見て無思慮の強引を重ねる
のは危険である。低く生きて下を深く見る事
こそ銃後をまもる者の責任であり、しかも其
の透徹の甚だ難いことが嘆ぜられる。詩人は
機微を見る。寸言片語の間に底邊の全生活を
も把握する。この詩集の特殊の色調に人は目
をみはるであろう。人をして目をみはらしめ
る力を此の詩集が持ってゐる事を信ずる。
一冊の詩集も斯かる時深い洞察への道を人に
開くのである。

高村光太郎

※海野秋芳詩集『北の村落』より抜粋
※写真は原稿です。
夭折の詩人 海野秋芳

朝日町エコミュージアム協会:count(6,224)
copyright asahi-ecom
powered by samidare