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2024年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
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2024年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会を、下記の通り開催いたします。
本年度は3名の方のご報告を予定しております。
日時・報告内容をご確認のうえ、ご予定に加えて頂ければ幸いに存じます。
アーカイブズカレッジを受講された方々をはじめ、アーカイブズにご興味をお持ちのみなさまの、沢山のご参加をお待ちしております。
【2024年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会】
日時:2025年3月29日(土曜日)14:00~17:20
開催方法:オンライン会議ツール「Zoom」による全面オンライン開催
3月28日までに、下記のGoogleフォームからご登録ください。
https://forms.gle/RjDTYvEU9wVZugBY9
修了論文報告会
第1報告 14:10~
松本日菜子氏(國學院大學大学院)「「伊藤次郎左衛門家資料」の階層構造分析―近世名古屋町人の「家」に注目して―」
第2報告 15:10~
戸井田晴美氏(一橋大学大学院)「戦後日本の児童相談所における歴史的公文書の階層構造分析」
第3報告 16:10~
原田淳史氏(上尾市役所)「上尾市公文書管理条例制定経緯からみる公文書管理の現状と課題」
※参加費無料
※定員100名(先着順)
2025.03.17:
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2022年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
2022年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の概要をご紹介いたします。
報告会概要
日時:2023年3月26日 14:00~17:20
会場:オンライン会議ツール「ZOOM」を使用
オンラインでの開催となりましたが、50名近くの方にご参加いただき、活発な議論が行われました。
2本の報告と記念講演について概要をご紹介いたします。
第1報告:小嶋翔氏(吉野作造記念館(NPO法人古川学事指定管理)主任研究員)「自治体文書館における民間アーカイブズの保存と指定管理者制度」
小嶋翔氏は、指定管理者制度を導入した自治体文書館における民間アーカイブズ資料の受け入れ、保存管理に関する問題を報告した。
まず自身の勤務先である吉野作造記念館の事例を紹介し、特に寄贈資料・寄託資料の所有権移行について、原所蔵者・指定管理者・自治体の三者間の制度設計に関する課題を指摘した。次にこの課題について、同じく指定管理者制度を導入している沖縄県公文書館の規則類を検討した。
以上の事例から、指定管理者制度を導入した自治体文書館において、指定管理者が自治体との間で定める必要のある規則・制度を明示した。また寄贈資料・寄託資料の取り扱いについては、制度面にとどまらないコミュニケーションの機会を自治体との間で恒常的に保ち、資料の受け入れや保存に関する認識を共有する必要があると述べた。
コメントカードより
・指定管理者という第三者の史料保存、活用に関する知識の有無や、数年でかわってしまう危険性もあるという継続性の問題など、いろんなところで現在起こりえる問題の一端を拝聴できました。まさしく制度だけでは形骸化する恐れがあるのはおっしゃる通りで、こういう時にこそ、そこに配置されるアーキビストの役割が重要になるのだろうなと感じました。
・たいへん興味深い内容でした。指定管理者制度については、多くの自治体がさまざまな館で導入をしており、今後も増えることが予想されます。寄贈、寄託に関して、どのようなパターンがあるかを、ご自身所属の館と沖縄県立文書館のケースを比較することでとても分かりやすい内容と思いました。
第2報告:大薗佳純氏(國學院大學大学院)「「若松史料」の構造分析と目録編成」
大薗氏は、現在防衛研究所戦史研究センターに所蔵されている資料群「若松史料」について、構造の分析と目録編成の試みについて報告した。
元々は陸軍経理学校に所蔵されていた書籍群を中心とする「若松史料」について、蔵書印や分類番号などを手がかりに、現在は一括で扱われている史料群の中から陸軍経理学校時代の秩序を復元した編成を示した。
また、戦後直後の散逸、占領軍による接収、その後の自衛隊の設立・移管による混乱した「若松史料」の変遷を整理し、史料群の特徴を分析した。
他機関に所蔵される史料を含めた陸軍経理学校旧蔵図書の全体像の検討を今後の課題として挙げつつ、研究史に薄い旧日本軍の戦闘職種以外の教育機関史料の整理について試みた報告であった。
コメントカードより
・アーカイブズ学の王道といってはざっくり過ぎるかと思いますが、編成については常に自分自身現場で立ち戻る部分ですので、とても参考になりました。若松史料については初めて知りましたが、最初どなたかの名前からとられたのかと思いました。もう少し最初のほうで名前の由来を入れていただけるとありがたかったです。軍事研究については知識がほとんどありませんでしたが、その分野の中でもどのような研究がまだ薄いとされているのか、などの知識も得られてよかったです。
・目録編成という時間のかかるお仕事を、地道に続けられた方の貴重なご報告でした。編成をする際に「非公開」と「その他」のフォンド設定がやはり悩み所だと感じます。「その他」の中に雑多なものが入りすぎている場合、利便性という観点から言うと、別の設定の仕方もあるのだろうと感じました。
記念講演:青木睦先生(国文学研究資料館准教授)「アーカイブズ・レスキューのこれまでとこれから―民間所在・行政管理の垣根を越えて」
「アーカイブズ・レスキューのこれまでとこれから―民間所在・行政管理の垣根を越えて」と題して、青木睦先生に講演いただいた。
青木先生は、長年各地でのアーカイブズ・レスキューに携わったご経験から、講演では1990年代から現在に至るまでの各地の対応を紹介された。「ガイドラインは書くけれど、マニュアルはない」と仰っていたことが、とても印象的であった。
講演の後半では、資料所在情報の重要性や「可視化」・「高度化」の観点からVRを利用することで、新しいレスキュートレーニングについて提案もされていた。本講演は、アーカイブズ・レスキューを通じ、今後の課題が指摘され、聴講者が史料と今後どのように向きあえばよいのかを振り返る機会となった。
コメントカードより
・最後の、アーカイブズ系の論文の書き方と、歴史学的な立脚点のもとで書く論文の書き方の違いはかなり大きな問題ですが、長く保存と修復の現場に携わられた青木先生ならではの葛藤がおありなのだなと感じました。いずれお話など直に伺ってみたいです。
・ご講演どうもありがとうございました。アーカイブズカレッジではお世話になりました。重ねて御礼申し上げます。どの点についても課題として認識することの必要をあらためて感じました。マニュアルを求めてしまう心性とそれに対する先生のお考え(期待される人材像)についてのお話も印象に残りました。
以上となります。
2年連続のオンライン開催となりましたが、来たる2023年度は対面での開催を目指しています。
最後に、ご報告いただいたお二方、記念講演をお引き受けいただいた青木睦先生、そしてご参加くださった皆様に心より御礼を申し上げます。
2023.04.28:
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2022年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
2022年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会を、下記の通り開催いたします。
本年度は2名の方のご報告と、今年度をもって国文学研究資料館をご退職される青木睦先生の記念講演を予定しております。
日時・報告内容をご確認のうえ、ご予定に加えて頂ければ幸いに存じます。
アーカイブズカレッジを受講された方々をはじめ、アーカイブズにご興味をお持ちのみなさまの、沢山のご参加をお待ちしております。
【2022年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会】
日時:2023年3月26日(日曜日)14:00~17:20
開催方法:オンライン会議ツール「Zoom」による全面オンライン開催
3月20日までに、下記のGoogleフォームからご登録ください。
https://forms.gle/DHaTEiC9GZ7L8Lvu8
第1部 修了論文報告会
第1報告 14:10~
小嶋翔氏(吉野作造記念館)「自治体文書館における民間アーカイブズの保存と指定管理者制度」
第2報告 15:10~
大薗佳純氏(國學院大學大学院)「「若松史料」の構造分析と目録編成」
第2部 記念講演 16:10~
青木睦先生(国文学研究資料館准教授)「アーカイブズ・レスキューのこれまでとこれから―民間所在・行政管理の垣根を越えて」
※参加費無料
※定員300名(先着順)
2023.02.22:
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2021年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
2021年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の概要をご紹介いたします。
報告会概要
日時:2022年3月27日(日)14:00~17:20
会場:オンライン会議ツール「ZOOM」を使用
オンラインでの開催となりましたが、40名近くの方にご参加いただき、活発な議論が行われました。
2本の報告と記念講演について概要をご紹介いたします。
第1報告:栗原隼人氏(中央大学大学院) 「戦国大名大内氏発給文書のアーカイブズ学的研究」
栗原氏の報告は、戦国大名を題材にしたアーカイブズ学研究の蓄積があまりなく、取り組むべき課題が多く残されている状況のなか、戦国大名大内氏が発給した文書の発給構造と管理方法の考察を通して、中近世移行期におけるアーカイブズの在り方とその変遷の明確化を試みた報告であった。
報告の具体的な内容として、掟書などの文書から大内氏の組織内において「文庫」と呼ばれるアーカイブズ機関を有していることを明らかにし、大内氏の文書管理方法がのちの近世期における毛利氏のアーカイブズ管理にも影響を与えた可能性も指摘している。
また、戦国大名発給文書は歴史学に都合の良い分類がされてきたことから、アーカイブズ学における分類の必要性を指摘した。歴史学の分類ではサブシリーズが多く設定されるため、サブシリーズを「証拠文書」と「情報伝達文書」の2点に設定することで階層構造がより明確となるアーカイブズ学的文書分類法を提示された。あわせて、アーカイブズ学的分類にも大内氏の奉公人による連署奉書が2種類のサブシリーズに分類できないことを課題として列挙し、奉書の特徴から署名の違いに応じてアイテムレベルで連署奉書を分類するという形で課題の克服を試みた報告であった。
コメントカードより
・共通のシリーズ分類で大内家と毛利家の双方の文書を分析し、戦国大名家の文書には共通性があることがわかった。
・歴史学の専門教育をうけたことがなく、恐縮ながら、十分に理解しえたとは言えないのですが(申し訳ございません)、アーカイブズ学のキー概念や枠組み、また論文の構成、深め方など、自分なりに勉強させていただきました。ありがとうございました。
・大内氏文書と毛利家文書を見比べることで大内氏が毛利氏の文書管理に影響を与えていたと最初にご指摘されていましたが、大内氏文書が毛利氏以外にも文書管理について影響を与えた大名はいるのでしょうか。また、他にもこのような事例はいくつかあるのでしょうか。例として提示されていたのが毛利氏のみであったため、中世移行期におけるアーカイブズ学の在り方の変遷について明らかにされるためには他の大名の例についても触れていただけるとより説得力があったかと思いました。
第2報告:江藤敦美氏(株式会社ワンビシアーカイブズ)「電子文書の管理と保存―民間企業の事例分析―」
江藤氏は、民間企業における電子文書の管理の現状と課題について報告を行った。
報告では、民間企業3社の事例を挙げ、内部統制機能(修正・削除履歴と確認方法、不正検知機能など)、長期保存対応(バックアップ運用、データ移行方法など)、BCM対策(サーバー設置場所、復旧方法など)を比較・検討。電子文書管理は、時代の流れや担当者の変更に影響を受けづらい設計と運用が必要不可欠である。しかし、組織改編や人事異動は避けて通れないものである。であるからこそ、文書管理システムは、属人性の排除と、何よりユーザーの使い勝手を重視した体制作りが大切であると結論づけた。
最後に江藤氏は、今後の展望として、①レコードマネジメントとアーカイブズの分断をなくすこと、②アーキビストの進路として積極的に民間企業を視野に入れること、③官民の分断なき人材交流や産学連携など「橋渡し的存在」が必要であること、以上3点を挙げた。
コメントカードより
・ワンビシさんが中間書庫を担当されていたと思うのですが、どうなったのかなぁと思い出していました。企業内でのご研究、事例をどの程度活用できるか、舵取りが難しいと思いますが、ホットで具体的であることは間違いないので、今後もご研究の成果の公表を期待しています。
・個人的には日頃なかなか接触することのない「知らない世界」でしたので、勉強になりました。ビジネスをベースに置く企業などの組織体と、”アーカイブズ””記録管理”とが、今日、どのように(な)かかわりをもっているのか、その一断面をみせていただいたような思いがしました。ありがとうございました。
・民間企業の事例分析とその還元という、あまり蓄積のないテーマで、意義のある取り組みだったと思います。
記念講演:大友一雄先生(国文学研究資料館名誉教授)「在外日本資料の情報資源化の取り組み―バチカン図書館所蔵資料を事例に―」
長年アーカイブズカレッジを担当され、2020年度をもって国文学研究資料館を退職された大友一雄先生に、在外日本資料の情報資源化の取り組みについて、バチカン図書館所蔵のマリオ・マレガ資料を事例にご講演頂いた。
日本在外資料(史料)とは、日本の諸団体の組織活動によって発生して現在、海外に所在する資料群である。海外では、日本研究者は少なく、資料に対する関心も低い上、諸外国の所蔵機関では日本語を整理する人がほとんどいないという問題点を挙げられ、海外機関・研究者との連携が必要であることを指摘された。
そうした現状の中、2013年から発足した、マレガプロジェクト(バチカン図書館マリオ・マレガ資料に関する共同研究事業。バチカン図書館、国文学研究資料館、東京大学史料編纂所、大分県教育庁が連携)を事例に、資料の発見から調査・研究、目録公開に至る過程を通じて、どのように資料や目録を公開するのか、その試みと成果を紹介された。特に、資料目録だけではなく、現状記録や概要調査で得られた情報を公開する重要性、それを実現する上でのデータベースや検索目録の工夫の必要性について述べられた。
コメントカードより
・度々PJ名はお伺いしておりましたが、今回しっかり学ばせていただきました。大友先生のお話を直接お伺いすることができ誠に光栄です。日本語で資料を整理するところからのスタートで非常に困難な道のりだったのだと知り、改めて社会的に有意義な研究であるとのことを認識いたしました。
・現状記録や概要目録の目的が曖昧になりがちという点、非常に刺さりました。自身の仕事を省みたいと思います。
・修了論文報告会にて先生のお話まで伺うことができ、有難く思いました。写真や図などもまじえていただき、門外漢ながら興味深く拝聴しました。概要調査など(のありかた)について触れられた点も印象に残りました。お時間がもし残されておりましたらば、先生が疑問や課題に思われておられる点についてもう少しお聞きできましたらなお幸いでございました。ありがとうございました。
以上となります。
最後に、ご報告いただいたお二方、記念講演をお引き受けいただいた大友一雄先生、そしてご参加くださった皆様に心より御礼を申し上げます。
2022.04.09:
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2021年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
2021年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会を、下記の通り開催いたします。
本年度は2名の方のご報告と、昨年度に国文学研究資料館をご退職された大友一雄先生の記念講演を予定しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2019年度の修了論文報告会は開催中止となり、また2020年度にはアーカイブズカレッジ長期コース自体が開講されませんでした。
そのため3年ぶりとなる今回の修了論文報告会は、オンライン会議ツールZoomによる全面オンライン開催となります。
日時・報告内容をご確認のうえ、ご予定に加えて頂ければ幸いに存じます。
アーカイブズカレッジを受講された方々をはじめ、アーカイブズにご興味をお持ちのみなさまの、沢山のご参加をお待ちしております。
【2021年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会】
日時:2022年3月27日(日曜日)14:00~17:20
開催方法:オンライン会議ツール「Zoom」による全面オンライン開催
3月20日までに、下記のGoogleフォームからご登録ください。
https://forms.gle/1aTaWBTYkRL35Ae7A
第1報告 14:10~
栗原隼人氏(中央大学大学院) 「戦国大名大内氏発給文書のアーカイブズ学的研究」
第2報告 15:10~
江藤敦美氏(株式会社ワンビシアーカイブズ)「電子文書の管理と保存―民間企業の事例分析―」
記念講演 16:10~
大友一雄先生(国文学研究資料館名誉教授)「在外日本資料の情報資源化の取り組み―バチカン図書館所蔵マレガ資料を事例に―」
※参加費無料
※定員100名(先着順)
2022.02.16:
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2019年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会(2020年3月14日開催予定)取り止めのお知らせ
各位
この度、アーカイブズカレッジ有志の会では、既にお知らせの通り、2020年3月14日に明治大学にて、アーカイブズカレッジ修了論文報告会を開催する予定でありました。
しかし、コロナウイルス蔓延に伴って、修了論文報告会開催を取り止めすることといたしました。
既に報告者の皆様には、発表を準備されている状況や、アーカイブズカレッジ修了生が年に1度集う場ということも考慮して、状況が整い次第、報告会を開催できればと現時点では考えております。
今後の状況を見つつ、報告者の方々のご意向、会場の確保など、検討して参ります。
詳細などが決まり次第、追って連絡させていただきます。
アーカイブズカレッジ有志の会一同
2020.02.28:
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2018年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
2018年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の様子をご紹介いたします。
報告会概要
日時:2019年3月16日(土)13:00~17:00
場所:学習院大学目白キャンパス中央教育研究棟401教室
報告会と終了後の希望者による懇親会まで、多くの方に御参加いただき、活発な意見の交換が行われました。
4本の報告に関して概要をご紹介いたします。
第1報告:有薗舟仁(一橋大学大学院社会学研究科)「ボランティア団体による資料保全活動とその可能性 ~茨城史料ネットの活動から~」
有薗氏は自身における茨城史料ネットの活動を通して、茨城史料ネットの概要やその活動と果たし得ることができる可能性、また、その組織と活動の成果が失われる危機とそれに対する保全の方策について報告をした。
報告の中で茨城史料ネットの活動について、2011年に発生した東日本大震災を契機にして発足したこと、その活動は茨城大学の教授・大学院生などを中心にして運営されているため、人員の入れ替わりが2年毎にあるため人材の流動性と不安定性、茨城史料ネットの組織データの損失という危機から発信と受信による資料情報の共有などを提示した。
第2報告:白山友里恵(上智大学大学院)「病院アーカイブズ構築のモデル研究」
白山氏は、医療アーカイブズの中でも、その構築が進んでいない病院アーカイブズの構築について報告を行った。
病院アーカイブズは、診療記録など個人情報が多分に含まれており、その扱いの難しさによりアーカイビングが進んでいない。そのような状況の中でも、作成段階から管理にかかわるアーカイブズの構築を検討する必要があるとした。そのために、保存場所や公開に関すること、評価選別など現状を鑑みながら具体的な可能性を検討し、モデルを示した。
病院アーカイブズの構築は、現状を鑑みると非常に困難であり、モデルとして示した条件も厳しいと言わざるを得ない。しかし、そのような現状であるからこそ、今構築を進めていく必要があるとした。
第3報告::伊藤陽平(國學院大学大学院博士後期課程)「行政改革と稟議制の変容―1950~60年代における公文書管理改善運動の展開を中心に―」
本報告は、稟議制をめぐる相対する2つの学説が唱えられた空白の時期を検討するものである。その検討に際して、報告者は公文書管理改善運動に注目することで、多様な決裁規則が整備されたことを明らかにしている。
報告者は、戦後間もない時期から検討を始め、当時の官僚のなかに「生地引」と呼ばれる事務に精通しているベテラン下級官僚の存在を指摘する。こうした「生地引」は、「個人知識」という一個人の能力によって行政を運営し続け、文書管理の面においてもその影響を受けていた。だが、高度経済成長による行政事務の肥大化は、徐々に行政事務の能率化を図る運動への気運を高め、「公務能率研究会」を立ち上げることにつながった。また、1960年前後より行政改革が実施され、上記の運動は一層進められた。その成果の一つとして、多様な決済規則を持つ稟議制であった。
「生地引」と呼ばれる一個人の能力に依存してきた文書管理行政は、公文書管理改善運動などの影響を受けることで、一定のマニュアルに基づくシステマティックな行政運営への変化が見られた。本報告では、当時の史料を読み込み、行政事務の事例を扱うことで、その過程を実証している。
第4報告:藤本貴子(文化庁国立近現代建築資料館)「近現代建築資料の編成記述―大髙正人建築設計資料群を事例に」
藤本氏は、国立近現代建築資料館において大髙正人建築設計資料群の整理に携わった経験を踏まえて報告を行った。
2013年、文化庁によって設立された国立近現代建築資料館は、2017年に歴史資料等保有施設に指定された。公文書管理法の適用対象外となる歴史資料等保有施設として、近現代建築資料をいかに編成記述し、早期公開を実現するかが課題になったという。大髙正人建築設計資料群については、目録記述にISAD(G)2ndを採用するとともに、建築資料の編成記述に有用な考え方としてスタンダード・シリーズを取り入れた。その際に直面した課題をより一般化して紹介し、近現代建築資料の編成記述に関する今後の見通しを報告した。
コメントカードより
・(有薗報告に対して)茨城史料ネットの事務局員として携わってこられた報告者ならではの報告で、民間ボランティア団体自身の資料をいかに保存すべきか、また活用すべきかの提案を伺うことができました。
・(白山報告に対して)報告で扱われた病院アーカイブズはとても興味深かったです。病院ならではの特性に配慮してアーカイブズを構築すべきであると思いました。
・(伊藤報告に対して)研究史上説の分かれていた稟議制についてその変容を公文書管理改善運動の進展を追うことで、クリアに整理していた点が説得的であった。
・(藤本報告に対して)建築資料の閲覧・公開に際し、公開の範囲を対象の設定で注意しなければならない点(注意している点)についてふと疑問に思いました。~1980‘sまで対象としている為、現役の建築も含まれると考えられますし、物騒な世の中ですので、悪意のある利用者の存在も懸念しなければならないのが残念です。
・参考になる質問が多く、議論の活発さに驚きました。
・積極的に質問が出ていて良かったと思う。どの発表も発表者自身の経験に基づいていたり、具体的なアーカイブズの提案がなされていたように思う。レジュメも詳しく、分かりやすくしてあったので、書き方の参考になるものであったと思う。
・今年も多様なテーマ、詳細なご研究を聞けて非常に勉強になりました。毎年思いますが素晴らしい会です。感謝申し上げます。
・4者4様の異なる分野からの研究報告でしたが、個別専門のテーマから普遍的な問題を見出すことができ、いずれも興味深い内容でした。スムーズな運営ありがとうございました。
以上となります。
最後に、ご報告いただいた4名の方々、ご参加くださった皆様、そして会場をご提供いただいた学習院大学の関係者の方々に心より御礼申し上げます。
2019.04.05:
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2018年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
2018年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会を、今年も下記の通り開催いたします。
2019年2月14日 教室の情報を更新しました。
4名の方にご報告いただき、終了後には懇親会を予定しております。
まずは日時・報告内容を御確認のうえ、ご予定に加えて頂ければ幸いに存じます。
アーカイブズカレッジを受講された方々をはじめ、アーカイブズにご興味をお持ちのみなさまの、沢山のご参加をお待ちしております。
【2018年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会】
日時:2019年3月16日(土) 13:00~17:00
場所:学習院大学 目白キャンパス 中央教育研究棟401教室
(JR山手線「目白」駅下車徒歩30秒、東京メトロ副都心線「雑司が谷」駅下車徒歩7分)
第1報告:有薗舟仁(一橋大学大学院)「ボランティア団体による資料保全活動とその可能性 ~茨城史料ネットの活動から~」
第2報告:白山友里恵(上智大学大学院)「病院アーカイブズ構築のモデル研究」
第3報告:伊藤陽平(國學院大学大学院博士後期課程)「行政改革と稟議制の変容ー1950~60年代における公文書管理改善運動の展開を中心にー」
第4報告:藤本貴子(文化庁国立近現代建築資料館)「近現代建築資料の記述編成―大髙正人建築設計資料群を事例に」
※資料代として100円を頂戴します。
※入退室自由・事前予約不要。
※終了後に懇親会を予定しております。
2019.02.05:
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2017年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
2017年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の様子をご紹介いたします。
報告会概要
日時:2018年3月17日(土) 13:00~17:00
場所:駒澤大学 駒沢キャンパス 本部棟6階「大会議室」
報告会とその後の懇親会まで、多くの方に御参加いただき、活発な意見の交換が行われました。
4本の報告に関して概要をご紹介いたします。
第1報告:西口正隆(一橋大学大学院)「河岸問屋アーカイブズの編成記述―上新河岸村遠藤家文書を事例に―」
西口氏は、上新河岸村遠藤家文書の編成記述を事例とし、河岸問屋を務めた家に集積される文書群、河岸問屋アーカイブズの特質を検討した。
遠藤家文書はすでに主題分類によって目録が作成されているが、問題点があるとして、肩書・役職、家・店の機能、残された秩序の3点を重視し、9つのサブフォンドに編成した。編成を行った上で分析すると以下の傾向があるとした。①上新河岸村の近世・近代村政文書、②河岸問屋関係、③問屋仲間会所関係文書、④遠藤家。4つの傾向の分析から、それぞれ公私に大別ができ、その上でより関連度の高い組み合わせを中心に、それぞれが相互に、時に不可分に関連しながら、文書群を構成しているとした。そして、上記の分析を通じて、河岸問屋アーカイブズの特質は、河岸問屋文書・家文書を軸として、複数のまとまりが重層的に、時に不可分に関連しながら現存していること、村政文書と問屋仲間文書という2つの組織体の運営に関する文書が存在することであるとした。
第2報告:佐藤大悟(東京大学大学院)「明治太政官期の修史部局における記録管理」
佐藤氏は、明治太政官期における記録管理について、修史部局を中心に報告を行った。
明治太政官期の記録管理を検討した従来の研究では、記録管理部局についての研究が積み重ねられてきたが、修史部局については研究の対象外であった。このような先行研究の課題から、①太政官期の修史事業における政府の記録管理の実態と記録部局との関係性、②太政官期の修史部局における記録管理制度の解明、③修史部局の記録管理の実態という3点の検討を行った。
①の課題について、全国記録文書保存政策などの検討から杉浦譲によって地方記録保存を内務省が主導したことが明らかとなった。②の検討では、修史部局の職制などを丹念に読み解くことで記録管理制度の実態を解明した。さらに、③では、修史部局の記録管理における断片的に残されている簿冊を系統的に確認したことで、「修史局・修史館史料」とそれ以外の画期について、明治21年(帝国大学臨時編年史料編纂掛の設置年)で分けられることが明らかとなった。
第3報告:春木良且(フェリス女学院大学)「高度成長期の地域記録史料としての"政策ニュース映画"の保存と公開 -川崎市政ニュースの分析を例に-」
春木報告では、政策ニュース映画のひとつである川崎市政ニュースを事例として、戦後の地域社会の変化を記録した地域アーカイブズの構築について検討された。
川崎市政ニュースは、主に川崎市内のインフラや社会整備を内容とする政策広報であり、戦後の都市部の経済成長のプロセスが分かる貴重な記録である。その特徴故に、高度経済成長期を中心とした戦後社会の変化を俯瞰する上で非常に有用な資料であり、これら政策ニュース映画を公文書や市民の証言と組み合わせることによって地域や社会の歴史を紡ぎ、結果として戦後社会のパラダイムを明らかにすることができ、そのためにアーカイブズとして編成・活用することが有効であることを指摘された。アーカイブズとして編成するにあたって、①ナレーションをテキストデータに変換 ②コマ割りをキャプチャに変換 ③文書データをメタ情報に変換するなど、一つの映像を三つの項目に分けて編成することが必要であると提案された。
第4報告:加藤はるか(お茶の水女子大学非常勤講師)「イギリスにおける民間アーカイブズの管理と利用に関する一考察 -外国人研究者の視点から-」
加藤氏は中世イングランド史を専門とする外国人研究者の視点から、イギリスにおける民間アーカイブズ管理の歴史と現状、それに由来する課題を報告した。
まず、イギリスの民間アーカイブズの沿革について、大きく次の4点を示した。①教会・修道院や貴族・ジェントリの文字記録に由来する成立過程、②民間アーカイブズの情報収集・提供を行う王立手稿史料委員会Historical Manuscripts Commission(HMC)の設立(1869年)、③民間アーカイブズ散逸の懸念に対応して1945年に設立された、HMCを母体とする全国アーカイブズ登録局National Register of Archives(NRA)の諸活動、④21世紀以降の史料目録のオンラインデータベース化の推進、一元的検索システムDiscoveryの運用開始(2012年)。
加藤氏は、以上の先進的な事例の反面として、個人・小規模の民間アーカイブズにみられるDiscoveryへの登録内容の精粗や、そもそも整理・目録化自体が進んでいない史料の存在といった問題を提示する。こうした民間アーカイブズは、検索システムが整備されるほど利用機会の格差が生じ結果的に存在ごと埋没しかねず、目録作成が競争的資金に頼らざる得ない現状もこうした格差を広げる恐れがあると指摘した。最後にこうしたイギリスの現状と課題を踏まえて、日本の民間アーカイブズを考える必要性を述べた。
コメントカードより
・(西口報告に対して)「河岸問屋アーカイブズ」という概念について、その他の酒屋・金融業など家業と家の文書が混合する文書群との違い、特徴が明瞭になると面白いかと思います。河川流通をとおした文化交流から交友範囲が広がりをみせたのかなど。
・(佐藤報告に対して)明治初年の国による歴史資料の収集は、大々的に大量に書写され集められていたように思われる。写本作成の時期、スタッフ、方式などがわかることで、今後これらの史料がより活用されていくだろうと思う。その前提として興味深かったです。
・(春木報告に対して)門外漢でしたが、史資料利用の観点で興味深くきかせていただきました。春木先生の仰る政策ニュースフィルムのお話はオーラルヒストリーの視点とも重なると共に、オーラルヒストリーの問題点を埋める方法論としても考える余地があると思います。
・(加藤報告に対して)様々な取り組みがなされてきたイギリスの民間アーカイブズの事例を初めて知ることができ興味深かった。イギリスの先進性だけでなく、そうした利用環境の向上や技術の進展ゆえに生じる課題があるという指摘は重要だと思った。
・4名の方々、皆さん、充実した内容の発表でした。
・報告内容はもちろん報告の仕方、方法なども大変参考になりました。初めての参加でしたが、学ぶことが多く、参加することができてよかったと思いました。
・参加させていただきましてありがとうございました。アーカイブズ学について色々な視点から考えさせていただくことができ、とても勉強になりました。
・10周年おめでとうございます。続けていくことがとても大切だと思います。これからも応援します!
・どの報告も大変学ぶところの大きなもので、有意義な機会をいただけましたことに深く感謝申し上げます。
・3年連続参加させていただいておりますが、毎回/\とても勉強になり、自らの研究や日々の業務のはげみになります。本日も本当にありがとうございました。
以上となります。
最後に、ご報告いただいた4名の方々、ご参加くださった皆様、そして会場をご提供いただいた駒澤大学の関係者の方々に心より御礼申し上げます。
2018.12.21:
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2017年度アーカイブズ・カレッジ修了論文報告会のご案内
2017年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の詳細が下記の通り決まりましたので、ご案内いたします。
4名の方にご報告いただきます。
今年も懇親会をご用意しています。
アーカイブズカレッジ関係者のみなさま、アーカイブズに興味をお持ちのみなさま、沢山のご参加をお待ちしております。
【2017年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会】
日時:2018年3月17日(土) 13:00~16:30(開場12:30)
場所:駒澤大学 駒沢キャンパス 本部棟6階大会議室
第1報告:西口正隆(一橋大学大学院)「河岸問屋アーカイブズの編成記述ー上新河岸村遠藤家文書を事例にー」
第2報告:佐藤大悟(東京大学大学院)「明治太政官期の修史部局における記録管理」
第3報告:春木良且(フェリス女学院大学)「高度成長期の地域記録史料としての"政策ニュース映画"の保存と公開 -川崎市政ニュースの分析を例に-」
第4報告:加藤はるか(お茶の水女子大学非常勤講師)「イギリスにおける民間アーカイブズの管理と利用に関する一考察 -外国人研究者の視点から-」
※資料代100円。入退室自由・事前予約不要。
17:00より懇親会を予定しております。
こちらも是非ご参加ください。
場所:三友軒(世田谷区駒沢2-18-5)
※お酒等の差し入れ歓迎です!
お問い合わせ:西山直志(2013年度修了)svr.snt.gmoll.op19@gmail.com
HP「アーキビストのノート」http://samidare.jp/archives/
2018.02.19:
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2016年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
皆さま、ご無沙汰しております。
すでに今年度のアーカイブズ・カレッジ前半戦が終了しましたね。
毎年更新が遅くて申し訳ありませんが、
2016年度の修了論文報告会のようすをご紹介します!
2016年度の報告会は、2012年度にもお世話になった国士舘大学が会場でした。
報告会の前に、国士舘史資料室の方のご厚意で、同室の見学ツアーも行いました。
報告会は43名、懇親会は31名の方にご参加いただき、おかげさまで盛況裏に終わることができました。
各報告の概要とコメントを紹介していきます。
第1報告:鎌田寛之(日本大学大学院)「鎌倉幕府の文書管理」
鎌田報告は、鎌倉幕府の文書管理のあり方について、幕府の訴訟機関である問注所と引付方を事例に考察した。鎌倉時代の文書管理研究は、公家や朝廷の研究が進展する一方で鎌倉幕府に関する研究は少ない。そこで、鎌倉幕府による文書管理の目的や幕府の保管文書の廃棄と再利用に注目し、鎌倉幕府の文書管理体制の解明を試みた。
鎌倉時代前期~中期の鎌倉幕府の文書管理は、幕府機構の未熟さなどから体系的で一元的な文書管理は行われておらず、訴訟文書は問注所執事や引付頭人、奉行人らの私宅や文庫に置かれていた。しかし、鎌倉時代中期以降には、訴訟案件の増加とともに訴訟制度が変化し、加えて組織機構や指揮命令系統が整備されたことで、文書管理のあり方にも変化が生じる。結果として、関係者による個人的な管理から、幕府の文庫による文書の集中管理と引付奉行人による管理という文書管理システムに移行したことを明らかにした。
コメントカードより…
・幕府の文書管理変化の契機を訴訟の増加に求めているが、此の訴訟増加の背景を加味することにより、鎌倉幕府の文書管理体制の特質を歴史的に位置づけることが出来るのではないだろうか。
・鎌田報告を楽しみに参加しました。「文庫」に納められていたものは、明らかに文書(永久を含む)以外のものと一緒だったことや、問注所執事の文書でも、担当職務以外の文書も納められていたことが史料からわかりました。イメージとして公家や社寺(荘園領主)の保管庫のイメージに近いと感じました。それが各組織ごとの文書のみを保管するように変わっていったこと(沙汰未練書で明記される)がたいへん興味深かったです。史料が限られる中で大変だったと思います。今後を期待しています。
報告者より…
この度は報告の機会をいただき、誠にありがとうございました。
皆様からのご意見・ご指摘をもとに、今後も鎌倉幕府の文書管理について研究していきたいと思っております。
そして報告会を主催していただいた有志会の皆様に改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
第2報告:吉田敦則(東京大学大学院)「内田祥三関連資料のデータベース化とその編成・記述について」
日本の近代建築家として知られる内田祥三の関係資料は、東京都公文書館所蔵「内田祥三文庫」(9784点)、東京大学文書館所蔵「内田祥三関係史料」(607点)、妙寿寺所蔵「内田所蔵宗教関連図書」(72冊)が知られる。
吉田報告は、この3館に所蔵される資料群の目録とその公開状況、記述形式についての概況を解説した後、特にWEBでのデータベース・目録公開の変化とその重要性について、東京都公文書館を事例に検討した。そして電子媒体での記述効果を最大限に活かせる方法として①機械可読、②横断検索、③共通規格という3点の提案をおこなった。
本来であれば同一個人の資料群であるため、統一の記述編成が望ましい。しかし所蔵館の違いや文書、建築図面、経典など資料の性格も異なるため、利用者の手間が生じている現状がある。その上で、記述編成の工夫とWEBでの目録公開など電子媒体を利用し、そうした非効率を改善することが、記述の効果を最大限活かせることにつながっていく、と結論付けた。
コメントカードより…
・(三報告いずれも興味深かったが)、特に内田祥三の資料の編成・記述について報告された吉田さんのテーマは私自身の関心に近く、とても勉強になった。
報告者より…
アーカイブズカレッジ修了論文は修士論文と並行していたこともあり、内容がもの足りないと提出時反省していました。今回報告のお声掛けをいただいた際、論文で不十分だったところを見直し、調査を進めて発表する良い機会と考え挑戦させてもらいました。
内容の整理に時間がかかってしまい、追加資料のご相談をした東京都公文書館佐藤様、高野様、東京大学文書館森本様、宮本様にはお時間のないなかご対応いただくことになってご迷惑をおかけしましたが、迅速にご対応いただき無事報告できました。資料の利活用について調べる中で、実際の利活用に携わる方々の資料に対する熱意や情熱を知りました。もっと優れた論文は多数あったかと思い物足りない発表汗顔の至りですが、報告を行う過程で多くの収穫を得ることができました。ありがとうございました。ご清聴いただいた皆様にも何か得るところあれば幸いです。
第3報告:宋舒揚(東京大学大学院)「戦後における中華民国北平(北京)市政府の公文書管理」
宋報告では、中華民国期の北平(北京)市政府の公文書について、制度的背景および公文書生成のあり方、さらに1949年の人民解放軍による接収に至るまでの過程と、現在の整理・公開状況を考察した。
制度的背景や文書生成のあり方については市政府の文書管理規則を元に明らかにし、さらに国民政府が1934年の国史館構想に基づき、1939年には各機関に移管要求をしたが実質的な強制力を持たなかったこと、戦中戦後の混乱で散逸や秩序混乱が発生したのちに、接収に至ったことなどを指摘した。
現在の状況としては、整理済と未整理のものが混在していること、検索手段に難はあるもののデジタル化は進んでおり、公開・サービス改善への意欲はあることなどを紹介した。
コメントカードより…
・档案館の人と話したことがありますが、国家とは別に市政府の館があるのがわかりました。歴史を大切にしている?中国にはもっと活用できる機関になって欲しいですね。
・中国に関する話が出ましたが、隣国でもこんなに差異があるのだなと認識できました。
・各時代の中央と地方の文書管理行政における関係をぜひ議論の前提に組み入れてほしいと感じました。北平(北京)市政府がどの程度自律性をもっていたのかわかると、北京市の位置づけが明確になるように思います。
報告者より…
今回は発表の機会をくださり、誠にありがとうございました。
みなさまから貴重なアトバイスをいただき、また懇親会ではアーカイブズ学関係の方々と交流ができ、大変勉強になりました。
これからもアーカイブズ・カレッジで得られた経験を活かしていけたらと思います。
全体をつうじてのコメント
・学部生の身で参加させて頂きましたが、非常に興味深く楽しかったです。ありがとうございました。
・若い方が時代や国を越えて文書管理のあり方を学び、アーカイブズ学から実務に対して提言する姿に感動しました。
・学部生でアーカイブズカレッジに参加できず、アーカイブズ学を学ぶ機会がなかったがこの会を通じて少し学べた。
・ありがとうございました。内容もバラエティがあり充実していたと思います。
・非常に貴重な機会を設けていただきまして、ありがとうございました。他の方の研究については、ほとんど知ることがなかったので、レベルの高い報告を聞くことができて大変勉強になりました。
・今年度の修了生として、同期の人達の研究に触れてみたいと思い参加しました。歴史的な文書管理、現代の文書管理、国外の事例など様々な分野の研究を知ることができ、改めて学んだことを復習し、定着させる場とすることができました。
・国内・外の文書管理史・データベース記述のお話、とても興味深かったです。
・アーカイブズ・カレッジの修了論文で修了生の方が取り挙げた内容について、よく知ることができました。自分もアーカイブズに関して、深く学習していき、作成した自己の論文や研究に反映・発展させる必要性を感じました。
最後に、ご報告いただいたお三方、ご参加くださった皆さま、そして会場を提供いただいた国士舘大学の関係者の方々に心より御礼申し上げます。
2017.08.08:
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2016年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
今年もアーカイブズカレッジ修了論文報告会が近づいて参りました。
以下に詳細を掲げます。
今年は、国士舘史資料室の見学会もございます!
アーカイブズカレッジを受講した方、受講を検討されている方、
カレッジは受けないけどアーカーブズに興味のある方。皆さま大歓迎です。
懇親会は毎年、学生と現職者の方との交流の場にもなっています。
懇親会だけの参加もOKです。
どうぞお気軽に足をお運びくださいませ。
日程:2017年3月4日(土)
場所:国士舘大学世田谷キャンパス(10号館1階10105教室)
●第Ⅰ部:国士館史資料室 見学会 13:30~14:00
※参加ご希望の方は、13:20に柴田会館(国士舘大学内)1階にお集り下さい。
●第Ⅱ部:修了論文報告会 14:30~17:40@10号館1階10105教室
第1報告:鎌田寛之(日本大学大学院)「鎌倉幕府の文書管理」
第2報告:吉田敦則(東京大学大学院)「内田祥三関連資料のデータベース化とその編成・記述について」
第3報告:宋舒揚(東京大学大学院)「戦後における中華民国北平(北京)市政府の公文書管理」
●懇親会 18:00~ @34号館10階スカイラウンジ
※お酒やおつまみ等の差し入れ大歓迎です!
※二次会も予定しております。
★諸注意
・第Ⅰ部と第Ⅱ部の間で会場を移りますのでご注意ください。
・入退室自由・事前予約不要です。資料代として100円を頂戴します。
・お問い合わせ先:西山直志(2013年度修了生)svr.snt.gmoll.op19@gmail.com
2017.02.11:
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2015年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会概要報告
大変、大変、遅くなってしまいましたが、
3月13日に行われた、2015年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会の
ようすをレポートいたします!
今年度も近世の名主文書から、米軍統治期の沖縄、戦後の横浜、
そして科学分野のオーラルヒストリーに至るまで、幅広いジャンルから
ご報告いただけました。
懇親会も盛況となりました。
第1報告:温井まき(お茶の水女子大学人間創成科学研究科比較社会文化学専攻)
「大伝馬名主馬込家文書の階層構造」
○概要
江戸東京博物館所蔵の馬込家文書を対象とした階層分析を行い、
既存の目録を再検討した。渡辺浩一の論を参考に、機能を内部組織の
ように読み込み、「名主」「家」「金銭貸借」をサブフォンドとし、
さらに下位については、内容別にシリーズ・サブシリーズを建てた。
○フロアより
・太田先生からの質問にもありましたが、改めて見るとフォンドとシリーズの捉え方に
混同があるように思います。見直してみてください。
・階層構造の「その他」の分類が、シリーズ以下分類をしていないため利用者に
やさしくないように感じました。
○報告を終え、ご本人より
本日は発表に機会を頂きありがとうございました。
さまざまな方から質問やご意見を頂戴でき、大変勉強になりました。
第2報告:奥津憲聖(一橋大学大学院 社会学研究科 修士課程)
「横浜市史資料室における田村明資料の管理・公開のあり方について」
○概要
都市プランナー田村明が牽引した、1960年代以降の横浜の都市づくりについて、
その関連資料のうち、横浜市史資料室に寄贈された田村明個人資料の内容と
今後の保存・活用方法を考察した。内容分析はISAD(G)2nd.に基づく編成により
行い、保存・活用方法については市史資料室による活用の現状調査と、自身も関わる
NPO法人「田村明記念・まちづくり研究会」の果たすべき役割について提言を行った。
○フロアより
・横浜市史料室の運用に疑問を感じました。
原資料をなぜ写真撮影することができないのか。
HPの閲覧できる個人・機関の資料一覧になぜ田村明資料がふくまれないのか。
アーカイブズとしてこの2点の運用は疑問です。
横浜市史資料が所蔵しているからと言って、横浜市民のみを対象としているわけでは
ないはずです。NPOの活動として田村明資料を普及させることは十分に
可能ですので、市史資料室との関係を構築して上手く進めてください。
○報告を終え、ご本人より
本日は、こうした場で発表の機会をいただきありがとうございました。
会場の方や先生方からコメントをいただいたおかげで修了論文をどのように
書き直せばよいか、方向性が見えてきました。
第3報告:金子彩里香(東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程)
「米軍占領地域における民政文書管理制度」
○概要
米軍統治期の沖縄における、琉球列島米国民政府(USCAR)による民事活動の記録管理
について、仲本和彦の米国側資料の紹介や、NARAのArmy Recordsをもとに分析した。
USCARは上位の陸軍規定に基づき文書管理をすべきところ、実際は独自の管理方法を
採っていた。
○フロアより
・本日はありがとうございました。力作ぞろいで大変勉強になりました。
特に沖縄が興味深かったです。
第4報告:遠藤満子(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所 核融合アーカイブ室)
「核融合アーカイブ室におけるオーラルヒストリーの収集手法」
○概要
核融合科学研究所のアーカイブ室では、委員会議事録や報告書、法人文書だけでなく、
オーラルヒストリーも収集することで、日本の核融合研究の蓄積を記録化しているが、
それを有効なものとしていくための方策を、科学分野におけるオーラルヒストリーの
方法論を参照しつつ、考察した。
○フロアより
・オーラルヒストリーが文書の不在をどの程度補い得るか疑問に感じた。
全体をとおして
・大変勉強になりました。また参加させていただこうと思います。
・大分出張を断って来ました!!
・多岐にわたるテーマの報告があり、大変勉強になりました。
このような機会を通して、アーカイブズ学の議論がさらに豊かになっていけばよいな
と思いました。運営にかかわられた皆様のご努力に敬意を表します。
・それぞれ異なる立場から、編成記述、オーラルヒストリー、文書管理などの
アーカイブズへのアプローチをされており、是まで自分では得られなかった視点も
得られ、非常に興味深かったです。
・様々な分野でアーカイブズが展開されていて、とても面白かったです。
より実践的に触れられたかなと思います。
・他の執筆者の努力や工夫等が聞けて今後の研究の参考になった。
遠方から来た甲斐がありました。
・太田先生がお話しされた様に、アーカイブズを設置する分野が多岐に
渡ってきていること、それにより学際的情報交換が出来るようになってきて
いるのが、頼もしく感じます。
・多様なテーマの報告を聴くことができ、大変勉強になりました。
・力の入った研究内容、とても勉強になりました。参加できて良かったです。
・初めて参加しました。修了生がこれからも主体的に資料保存に関わろうとする
出発点だと思うので、今後も報告会を継続していただければと思います。
2016.08.29:
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2015年度アーカイブズカレッジ修了論文報告会のお知らせ
アーカイブズカレッジ修了論文報告会、今年も下記のとおり開催いたします。
ぜひご参加ください。
2016/2/11 時間・ご来場時の注意をアップしました
2016/2/28 懇親会情報を加え、ご来場時の注意とプログラムを更新しました
日時:2016年3月13日(日)13:00~
場所:お茶の水女子大学 文教育学部1号館第1会議室(107)
(地下鉄東京メトロ 丸ノ内線 茗荷谷駅から徒歩7分)
★ご来場時の注意★
・当日は正門からお越しください(南門は休日のため閉門)。
・文教育学部1号館へは自動ドアからお入りください。
・身分証は必ず携帯してください。場合によっては、校内に入る際に身分証の提示が必要になります。
・公共交通機関でご来場ください。
報告者と報告タイトルは下記のとおりです。
***********************************************
第1報告:温井まき(お茶の水女子大学人間創成科学研究科比較社会文化学専攻)
「大伝馬名主馬込家文書の階層構造」
第2報告:奥津憲聖(一橋大学大学院 社会学研究科 修士課程)
「横浜市史資料室における田村明資料の管理・公開のあり方について」
第3報告:金子彩里香(東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程)
「米軍占領地域における民政文書管理制度」
第4報告:遠藤満子(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所 核融合アーカイブ室)
「核融合アーカイブ室におけるオーラルヒストリーの収集手法」
***********************************************
終了後、お茶の水女子大学カフェテリア食堂マルシェにて懇親会を開催します!
お酒・おつまみなどの差し入れ大歓迎、
懇親会からの参加も歓迎です!
こちらもお気軽にご参加ください。
2016.02.09:
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メルマガ始めました
すっかり秋めいてきましたね。
9月4日には、毎年恒例、
アーカイブズカレッジ受講生と受講生OBとの
横浜中華街での懇親会を行いました。
お越しくださった方、ありがとうございました!
さて、この度、アーカイブズカレッジ修了論文報告会や、
関連イベントの告知・開催報告をおこなう
メールマガジンを作成しました!
今後、不定期で発行してまいります。
私たちの活動に関する情報は、
当ホームページでも引続き更新していきますが、
備忘に、お知り合いへの紹介に、
メルマガの方もどうぞご活用くださいませ。
ご登録は、下記のURLよりお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001668438.html
2015.09.15:
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