令和8年9月29日、「令和8年度 市町村職員等高齢者虐待防止情報交換会 初任者研修」を開催しました。
本研修は、高齢者虐待対応に携わる市町村職員等を対象に、高齢者虐待に関する基礎知識と、実際の対応に必要となる視点や考え方を学ぶことを目的として実施したものです。
午前の講義「高齢者虐待対応の基礎知識」では、高齢者虐待の捉え方から、早期発見・相談・通報、事実確認、緊急性の判断、本人への支援、養護者への支援、モニタリング、終結まで、一連の対応について確認しました。
特に大切にしたのは、高齢者本人の安全と権利を守ることと、介護を担う家族等を支援することを、対立するものとして捉えないことです。
虐待が疑われる場面では、まず本人の安全確保が必要です。一方で、その背景には、介護負担だけでなく、家族関係、経済的な問題、病気、仕事、孤立など、さまざまな生活上の課題が重なっている場合があります。
起きた行為を曖昧にすることなく本人を守りながら、養護者が置かれている状況にも目を向け、必要な支援につなげていくことが求められます。
午後は「実践事例を通して学ぶ~虐待対応のポイント~」として、模擬事例を用いた演習を行いました。
事例の情報が少しずつ追加される中で、受講者同士で、
「今、確認できている事実は何か」
「まだ分からないことは何か」
「何を、誰から、どのように確認する必要があるか」
「本人の安全を守るために、今どのような対応が必要か」
を検討しました。
虐待対応では、最初からすべての情報がそろっているわけではありません。
だからこそ、一度立てた見立てを固定せず、新たに確認された事実に応じてアセスメントと支援方針を更新していくこと、そして担当者一人で抱え込まず、市町村、地域包括支援センター、介護支援専門員をはじめとする関係機関が役割を分担し、組織・チームとして対応することの重要性を、事例を通して学びました。
また、虐待が解消され、安全な生活環境が確保されたとしても、そこで本人や家族の生活が終わるわけではありません。
「虐待対応の終結」と「その人への支援の終了」は同じではない。
高齢者本人にも、その後の暮らしがあります。
介護を担ってきた家族にも、その後の暮らしがあります。
虐待が起きた後に適切に対応することはもちろん、本人や家族が孤立し、深刻な状況に至る前にSOSを出すことができ、必要な支援につながる地域をどのようにつくっていくのか。
今回の研修を、日々の高齢者虐待対応だけでなく、高齢者とその家族の権利と暮らしを地域全体で支える実践につなげていきたいと思います。
一般社団法人山形県社会福祉士会では、今後も高齢者の権利擁護に関する研修・活動に取り組んでまいります。
