急激な温度差が原因で、
心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす
ヒートショックによる死亡件数は、
入浴中の数を見ただけでも、
交通事故による死亡者数の約4倍にもなると言われています。
そんな中ここ数年は、断熱や気密に対する意識も向上し、
また、国が家の断熱性能を高く設定したため、
今後はヒートショックによる死亡者数は、
今までに比べると減少していくことが予想されます。
それでも、相変わらず家の中に温度差が生じやすかったり、
水回りが必然的に寒くなってしまう家を、
多くの方が、知らず知らずの間につくってしまっている現実があります・・・。
では、その原因となる要素は、
一体どういったものなのでしょうか?
■日当たりが良いところに部屋をつくるのが当たり前という考え方
誰もが、日当たりがいい家にしたいと思っています。
また、誰もが明るい家にしたいと思っています。
それゆえ、誰もが当たり前のように、
部屋をすべて日当たりが良い南に配置し、
逆に水回り空間は全て日が当たらない、
あるいは当たりにくい場所に配置してしまうのですが、
その結果、水回り空間は、
必然的に寒くてジメジメした場所になってしまいますよね。
ですが、ここ最近の考え方として、
洗濯物を室内干ししたいという方が増えてきています。
また、共働きが当たり前で、夫婦共に忙しいため、
洗濯の作業動作を、最短動線にして
なるべく手間を省きたいというご要望も増えてきています。
そういった事から考えると、
実は、洗面室は日が当たる場所につくる方が良いし、
あるいは、そうじゃなくても、
日当たりが良い場所の近くにつくる方が良かったりもします。
しかしながら、
あまりに多くの方が固定観念に縛られてしまっているため、
当たり前のように寒くてジメジメした場所に水回りをつくってしまいます。
これについては、住宅会社も同様にこの固定概念に支配されているケースが多く、
敷地条件や周囲の状況に合わせて間取りを考えるという
基本的な軸を忘れてしまっています。
■無駄に廊下をたくさんつくってしまう
廊下が欲しいというご要望をお持ちの方は、
ほとんどいないと思います。
ですが、意識しながら間取りを考えないと、
知らず知らずの間にたくさん出来てしまうのが廊下です。
そして、廊下が出来ると、
家の中に温度差が出来やすくなってしまいます。
必然と廊下に接するドアを全て閉めて生活するようになるからです。
そして、その寒い廊下を通って辿り着く、洗面・脱衣スペースなども
当たり前ですが寒い空間となってしまいます。
また、廊下がタダでつくれるならまだいいのですが、
現実は、廊下が1㎡出来れば、
約15万円以上コストが掛かってきます。
つまり、廊下が出来れば出来るほど、
家の面積は無駄にどんどん大きくなり、比例して建築コストも高くなります。
また、後々のランニングコストとなる光熱費も
それに連動して高くなってしまうというわけなんですよね。
以上のような理由から、
たとえ断熱や気密を強化したとしても、
相変わらず水回りが寒くてジメジメする家をつくってしまう
という結果になってしまいます。
しかも、余分なコストを無駄に掛けてまでです。
ですので、寒くてジメジメした水回りを
つくってしまわないためにも、
固定概念に縛られず、
敷地条件や周囲の状況などに合わせた住みやすい住まいを、
住宅会社にしっかりと提案してもらうようにしていただければと思います。
きっと、家に無駄なコストを掛けてしまわないという事にも繋がるでしょう。