走ル 羽田圭介
お笑い芸人ピースの又吉直吉著「ピース」と芥川賞(2015)を同時受賞したことですっかり有名になった羽田圭介。 芥川賞受賞作品の「「スクラップ・アンド・ビルド」は、図書館ではさすがに書棚に置かれる間もなく予約待ち。 ですが、少し前の作品だとひょいと借りられます。 何気なく手に取り借りてきた「走ル」。 主人公は高校生。家で眠っていたロードレーサーにまたがり、八王子の自宅から陸上部のみんなが練習する皇居へ。 部活へ顔を出したものの、自宅から皇居へ来たように何気なく自転車を走らせ東京から埼玉へ。 学校をさぼりつつあてもなく自転車を走らせる。 引き返すきっかけを見出せないまま、栃木、福島、山形、秋田、青森へと野宿をしながらどんどん北上していく。 そんなお話。 山形的視点でいくと、福島から峠を越えて米沢入り ↓ 13号を北上し山形へ ↓ 進路を112号へ変更し月山経由で鶴岡へ ↓ 日本海沿いに北上し秋田へ抜けていく というもの。 山形での描写で目を引いたのが、ごはんがおいしかったこと、日本海に沈む夕日の美しさ。 旅の食事風景はほとんどがコンビニ弁当かカロリーメイト、チョコであるのに、鶴岡では食堂へ。 主人公は庄内平野のお米を食べたのでしょう、ごはんのおいしさに感動しています。 また関東の人間にとって夕日が海に沈むというのは非日常。 何気なく読んだ小説の中で発見した山形は、おいしくもあり、風景の美しさも持ち合わせていました。 実際、その通りなのでした。(笑)
2015.11.25