「図書館問題から学ぶ市民運動」―と題した勉強会が猛暑の中の8日、新花巻図書館を考える会(山下牧子代表)ら署名活動を続けてきた三団体の主催で開かれた。もりおか法律事務所属の弁護士、小笠原基也さんが講師に招かれ、市側が新図書館の立地場所として「JR花巻駅前」に決定した経過を憲法や地方自治法、住民監査請求、住民訴訟などと照らし合わせながら、法的な背景を説明した。50人以上が参加し、「駅前立地の決め手になった対話型市民会議の数値には人為的な操作がある」などと発言した。
これに対し、小笠原弁護士は「まず、裁判ありきではなく、立地に至るまでの経緯をつぶさに精査する必要がある」として、こう語った。「たとえば、ワークショップや市民説明会が単なる“アリバイ”づくりではなかったのか。黒塗りのいわゆる“のり弁”についてもきっと、裏に何かあるなと逆に想像力を働かせるとか…。とくに大事なのは予算議決など最終的な決定権を持つ議会側。一人ひとりの議員の質問チェックや居眠りチェックなどは欠かせない。しかし何といっても、最大の決定権を持つのは『選挙』という伝家の宝刀を有する市民の側なのだから…」
「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。一方、市民運動側は七夕の7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」と話している。
「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。
私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振るって署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
●オンライン署名の入り口は以下から
●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ
・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba
・ヒカリノミチ通信(増子義久) https://samidare.jp/masuko/
・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」 https://oimonosenaka.seesaa.net/
(写真は小笠原弁護士の話に聞き入る参加者たち=8日午前、花巻市桜町の花南振興センターで)
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