生活に取り入れたり、仕事で生かすなどしていただけると本望です。
◎初心忘るべからず
室町時代初期の猿楽師で、能を大成させた世阿弥は著書『風姿花伝』や『花鏡』などに多くの名言を残しています。
その一つに「初心忘るべからず」があります。多くの人は「物事を習い始めた時の純粋な心を忘れてはならない」と理解しています。
しかし本来の意味は、「新しく始めることには迷いや困難を感じるが、それをどのように乗り越えたかという経験を忘れるな」というものです。
K氏は初めて任されたプロジェクトに不安を覚えましたが、先輩からのアドバイスで、周囲への「明るい挨拶」を徹底しました。
すると人間関係が円滑になり、多くの協力を得て成功させることができました。
不安にとらわれることなく、溌溂と仕事に取り組んだK氏は、それ以来、新しい挑戦のたびに期待感を持ち、経験を積み重ねていると言います。
日常の業務の中で埋もれてしまう「初心」を思い起こして、喜んで仕事に当たることで自己を成長させましょう。
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<コメント>
あるテキストに、苦難の種類が書かれています。病気、災難、貧苦・・・。講師はこの「・・・」に該当するものを2つ考えてみて、とおっしゃいました。
手を挙げて「人間関係」と答えました。「ハイ、正解。もちろん人間関係はプラス面も大きいけれど、マイナス面で悩んでいる人も多いですね。では、もう1つは?」
これがさっぱりわかりませんでした。講師の答えは意外で驚きました。それは「目標」。「えっ??」
目標は、こんなものが欲しい、こうなりたい、こうありたい、と自分で決めて、その目的を遂げるために掲げるものであり、苦難とは別次元のものと思っていました。
しかしよく考えてみると、そうとも言えるな、と。コラムにあるように、目標と迷いや困難とは『ひとセット』。
これを乗り越えた経験を重ねることで、より大きなチャレンジができるようになるし、ポジティブな期待感が勝っていくわけですものね。
この経験値が器の大きさ。目標を掲げなければ、失敗もないけれど、器が大きくなっていきませんね。
失敗も成功も器を大きくすると捉えれば、身の丈より少しだけ大きな目標に向かって明るく取り組んで行けますね。
◎さらなる改良
Aさんは職場まで自転車で30分ほどかけて通勤しています。
15年前に働き始めた際、オンライン地図を見ながら経路を検討し、その後も実際に走ってはたまに修正を加える作業を続けてきました。
その結果、ここ5年ほどは 《 これ以上の良い経路はない》と感じ、同じ道を使い続けていました。
ところが最近、途中の道路がふさがれてしまい、仕方なく新たな道を通ることになりました。
Aさんは、やむを得ず迂回したつもりでしたが、意外にもその道の方がより快適に通勤できることが分かったのです。
その時、Aさんは 《 完璧なルートだとは思っていたけど、まだ改良の余地があったのだな 》 と感じたといいます。
自分では最適だと思っていても、どこかに見落としがあるかもしれません。
また、環境や状況が変化することで、これまでの手法が通用しなくなったり、より良い選択肢が新たに生まれたりすることもあります。
現状に満足せず、時には見直して新たな可能性を探りたいものです。
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<コメント>
オールラウンドな生き方をするための相棒として、25年以上、A5版システム手帳を自分が使いやすいようにカスタマイズして使ってきました。全ページオリジナルです。
デジタルとの併用ですが、やはり手帳には手帳の良さがあり、デジタルに一本化するにはまだ抵抗があります。目にも優しいし、これに向き合っていると心が落ち着きます。
気づいた時にどんどん改良を加えてきたので、今の手帳は本当に満足していますが、このコラムで出てきた「快適に」というキーワードで、まだまだ変えられそうな予感。可能性と常に向き合うのは大切ですね。