椎名誠:著 (東京書籍 1989年8月発行) 沢野ひとし:イラスト
椎名誠が様々なジャンルの人たちと行った対談を集めたもの。
初出は、1984年1月~1989年4月までの間に、「広告批評」「週刊ポスト」「ТALK東京」「丸ごと一冊本の雑誌」「ТARU」「field&stream」「Light up」「思想の科学」「てんとう虫」「くらしと健康」「P.and」「青春と読書」など。
14人との対談がある中に、こんなのがある。
今は故人になった作家の井上ひさしと「探検隊はなぜ怪しいのか」
椎名誠の著書「怪しい探検隊」シリーズについて語っているのだけれど、いわゆる多くの人がイメージする、いかにも探検隊らしい服装で、例えば帽子をかぶって肩章の入った白い服を着て半ズボンをはいて長めのソックスをはき、望遠鏡を首にかけて・・・というような。探検隊と言えばあの格好というような。しかし、椎名の探検隊はそういう、いわゆる正しい探検隊の姿ではなく、ドヤドヤトジーパンにТシャツなどを着たりして出かけて行ってしまうのだけれども、よく考えてみると、いわゆる正しいというものが実はかなり怪しいものであったりする。
そういった、いわゆる世の中の正しい、「これはこういうものである…」という安易で正しげなものが実はまるで怪しいものになってしまうという可笑しさということをかたっている。
女優の竹下景子と「母親の気持ち、父親の気持ち」
竹下さんが子供を産み、椎名誠もすでに二人の父親になっており、その子どもとの関わりを中心とした「岳物語」が出た後での対談である。
母親(妊娠中を含む)女性の、力強さというか生命を宿しているという感覚を持ってからの生物的な逞しさと、それに対する男の気持ちという部分を語っており、椎名誠の心情に「そうなんだよなぁ」と思えるのである。
妻から子どもができた、と知らされた時の感じは、竹下の夫も椎名も嬉しいのは間違いのだが、女性には夫の反応がとても冷静でちょっと拍子抜けであるというところに、女性との違いが見られる。
これは自分も、待望の子どもができたのだから嬉しいのは間違いないのだけれど、責任感とかそういった重さを感じて、「ちょっと待てよ…」てきなところが、やはり、どうもあるみたいなのである。
これは例外はあるに違いないけれど、じつは年代を経ても変わらぬことなのかもしれぬと納得しているのである。
