玄侑宗久(げんゆう そうきゅう 作家・僧侶)の「もう一つの知の在り方」と言う講演を聴きましたので報告します。
日本人は龍の姿、特に龍に乗って空を飛ぶ姿に、特別な思いを抱いてきた。「龍の背に乗る」というイメージが意味するものを仏教の教えに基づき教えていただいた。
主題の「もう一つの知」とは、対象を細かい要素に分解したり、原因-結果の因果律で理解しようとする「分析知」に対峙する概念である。ものごとの全体性をそのままに受け止め、身体や感覚で吸収する「身体知」のようなものである。例えば、自転車の乗り方をマニュアルに則って教えることはしない。とにかく乗ってみて、身体の重心をどこにおけばいいのかを感覚的につかみ取って行く。「もう一つの知」は、それに近いものである。
論理や科学に代表される「分析知」は、人間の大脳皮質が司る機能である。人間は新しい体験や情報に出会うと、脳に格納されている既存知識の枠組みを使って新しい情報を分析・理解しようとする。現代社会は「分析知」に偏りすぎていること、ことに全ての事象を因果律で片付けようとする「因果律に毒された状態」であることに強い危機感を抱いている。
「問題には必ず答えがあり、それはひとつに集約される」
「問題には必ずその原因となる根源要因が存在する」
と言う発想は、ともすれば犯人捜しやスケープゴートに繋がる危険性があり、いじめ問題の底流にも関連すると考える。
仏教の教えでは、「すべてのものに実体がない、自性=私がない」と説いている。色も、温度も、時間も、実体があるわけではなく、大脳皮質が既存知識に基づいて実体があるかのように理解しているだけ。関係性の中で生まれ、関係性がなくなれば消えていく、常に変わり続ける無常のものである。
「命」とは、全体性を動かす力を意味するものである。古代の日本人は、「いのち」が全体性そのもので、「もう一つの知」でなければ受け止めることが出来ないと考えてきた。
宿命とは、命を変えられないものとして認識する意味。
運命とは、自分が関わることで命は変わるとする意味。
立命とは、命に乗っかろうという意味。
「いのち」を実体のある客観的な対象物としてみるのでなく、どのように受け止めるか、その受け止め方こそが仏教の大きなテーマである。
東洋では、龍を「よく分からないもの、先の見えないものを象徴する乗り物」として認識してきた。観音様が「龍を乗りこなす」という行為に、「いのち」に代表される不可思議で、制御できない大きな全体性と上手く付き合うイメージが重ね合わされている。龍を、神や仏の化身とみて、不可思議なものと上手く付き合うパートナーと考える。
龍を乗りこなす観音様が唱えるのが「般若心経」である。般若とはサンスクリット語が語源で、「もう一つの知」を表す言葉である。悩みや問題に直面した時に、感覚からの知覚=分析知につなげずに、そのままの状態を積極的に続けようとするのが仏教の「行」にあたり、「般若心経」を唱えることは「行」に他ならない。「般若心経」を唱えることで、意識=私を消し去り、全体性をそのままで受け止める「瞑想知」の状態になることが「般若心経」の本質である。
「分析知」の限界は、さまざまな世界で言及されている。自然科学の分野では「脱・要素還元主義」という言葉が言われている。「複雑系」という概念は、「もう一つの知」にあてはまる。経営やビジネスの世界でも、経営理念、ブランド、キャリアなど、要素還元型でなく全体性でなければ対応できない問題が数多くある。論理的に分析することを否定するものではないが、論理や理屈を考えても答えの出ない問題があることも事実である。
「キャリア」や「熟練の技」などを考える場合には、私たちは「もう一つの知」や身体知で受け止めて考える必要があるのだろう。
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戦略としてのダイバーシティ
内永ゆか子(うちながゆかこ 日本IBM㈱取締役専務執行役員)の「戦略としてのダイバーシティ」と言う講演を聴きましたので報告します。
IBMのダイバーシティは、90年代初めにルイス・ガースナーの経営改革によって大きく進展した。それまでのメインフレーム中心からソフト・サービス中心へのビジネスモデル転換が有名だが、組織マネジメントの改革として着手したのがダイバーシティ・マネジメントである。ダイバーシティ・マネジメントとは、女性・高齢者・外国人などの多様な人材を活用する企業戦略である。
ダイバーシティの具体的な取り組みとして、「ウイメンズ・カウンシル」がある。98年当時、女性社員比率は13%、管理職比率は男性の1/8、女性の離職率は男性の2倍であった。これを5年間で、女性社員比率は16%、管理職比率と離職率は男性と同率にまでもってゆく目標を掲げて実現した。
ダイバーシティを阻む三つの理由(女性が早期に辞める理由)がある。
1.将来像がみえないこと
結婚や出産で辞めていくだけでなく、転職やMBA取得のために辞めていく人が多い。このまま仕事をしていても将来の展望が開けない。目指すべきロールモデルがない。と言うのが閉塞感を生む大きな原因になっている。
2.家事と仕事の両立
今もって女性の職場進出の障害として存在している。
3.オールド・ボーイズ・ネットワーク
男性社会が作り上げた「仕事はかくあるべし」という暗黙のコミュニティ文化のことで、さまざまな機会を通じて男性には伝承されるが、女性には伝えられないことに特徴がある。例えば、意見をはっきり明言すること、正論を吐くこと、誤りを指摘することなど、表向きは正しいとされる行為が、「場が読めない」「ひと言多い」「余計なことを言う」と敬遠されてしまう。
対策として、トップ・エグゼプティブのコミットメントによるメンタリング・プログラムを実行した。
1.女性社員のネットワークとロールモデル確立
2.Eワーク、オンデマンドのワークプレース(在宅勤務)
3.信頼できるメンターの存在 とりわけネットワークは重要である。
キャリアアップはしんどくないかとの質問には、管理職はイタキモ(痛いけど気持ち良い)景色が違ってくる、と言っている。
女性活用をダイバーシティ・マネジメント戦略と捉えている点が新鮮に感じられた。
IBMのダイバーシティは、90年代初めにルイス・ガースナーの経営改革によって大きく進展した。それまでのメインフレーム中心からソフト・サービス中心へのビジネスモデル転換が有名だが、組織マネジメントの改革として着手したのがダイバーシティ・マネジメントである。ダイバーシティ・マネジメントとは、女性・高齢者・外国人などの多様な人材を活用する企業戦略である。
ダイバーシティの具体的な取り組みとして、「ウイメンズ・カウンシル」がある。98年当時、女性社員比率は13%、管理職比率は男性の1/8、女性の離職率は男性の2倍であった。これを5年間で、女性社員比率は16%、管理職比率と離職率は男性と同率にまでもってゆく目標を掲げて実現した。
ダイバーシティを阻む三つの理由(女性が早期に辞める理由)がある。
1.将来像がみえないこと
結婚や出産で辞めていくだけでなく、転職やMBA取得のために辞めていく人が多い。このまま仕事をしていても将来の展望が開けない。目指すべきロールモデルがない。と言うのが閉塞感を生む大きな原因になっている。
2.家事と仕事の両立
今もって女性の職場進出の障害として存在している。
3.オールド・ボーイズ・ネットワーク
男性社会が作り上げた「仕事はかくあるべし」という暗黙のコミュニティ文化のことで、さまざまな機会を通じて男性には伝承されるが、女性には伝えられないことに特徴がある。例えば、意見をはっきり明言すること、正論を吐くこと、誤りを指摘することなど、表向きは正しいとされる行為が、「場が読めない」「ひと言多い」「余計なことを言う」と敬遠されてしまう。
対策として、トップ・エグゼプティブのコミットメントによるメンタリング・プログラムを実行した。
1.女性社員のネットワークとロールモデル確立
2.Eワーク、オンデマンドのワークプレース(在宅勤務)
3.信頼できるメンターの存在 とりわけネットワークは重要である。
キャリアアップはしんどくないかとの質問には、管理職はイタキモ(痛いけど気持ち良い)景色が違ってくる、と言っている。
女性活用をダイバーシティ・マネジメント戦略と捉えている点が新鮮に感じられた。
会計情報から経営を読み解く
山根節(やまねたかし 慶応義塾大学教授)の「会計情報から経営を読み解く」と言う講演を聴いてきましたので報告します。
ビジネス・リーダーに必要な能力は情報リテラシーである。第一は情報感度(=状況認知能力;変化に気づくこと)であり、第二は方向性(=問題解決能力)であり、第三は説得(=発信能力;特に重要)である。情報は「情け」と「報せ」からなる。
情報リテラシーの三言語は、母国語である自然言語と、コンピュータの機械言語と、会計言語からなり、経営三言語と言われる。会計は経営活動を総合的にとらえる、経営の写像であり、経営者にとっての地図になる。
経営(マネジメント)とは、経営資源を集め太らせる拡大再生産のループである。期首の貸借対照表(BS)と1年間の儲けの記録である損益計算書(PL)と期末の貸借対照表(BS)で表される。
会計が読めれば世の中が見える。利益額(横軸)と利益率(縦軸)を産業マップに表すと、第一象限は「リーディング産業」でありバイオ・金融業・エンタテインメント・ITが該当する。第二象限は「成熟産業」であり自動車・家電・海運・不動産で、第三象限は「負け組産業」で、第四象限は「ベンチャー・老舗産業」でありネット・ソフト・ブランドが該当する。
新日鉄は、売上高3兆9,063億円、経常利益5,474億円、ROS=14.0%、中国市場・自動車が牽引している。特に中国は2008年北京五輪、2010年上海万博でヒートアップしている。銀行は、コア業務純益は不変だが信用コスト(不良債権比率)が低下して利益を上げている。構造改革途上にあり、メガ金融に勝ち残れるかがポイントである。
消費者金融は、営業貸付金が1.7兆円、営業収益が4,450億円で利益率26%、余裕で儲かる業界であり、利息制限法でも生き残れる。消費者金融トップの武富士のユーザは、30歳以下の若者が60%、女性が40%を占め、年収400万円以下が5割を占める。フリーター(417万人)ニート(85万人)がサラ金から借りて消費を支えている。フリーターは、慶応15%や東大10%もおり、3年以内に社員を辞めるのでフリーターは減らない。また、女性も消費を支えており、主婦のパチンコ依存症やブランド嗜好で個人消費指数は増加し破産件数も高止まりしている。
トヨタは、売上高2兆1,036億円、純利益1,372億円、ROE=14.0%、GMの10倍の時価総額がある。従来から住宅や半導体など多角化は上手くないが、金融事業に展開しつつある。トヨタの次の一手はETCカード、携帯電話とネットワークを通じてトヨタから金を借りる仕組みを構築しつつある。GMがモデルになっている。
ソニーは、エレクトロニクスが売上高5兆1,000億円、営業利益▲300億円、ゲーム・音楽映画が売上高1兆7,000億円、営業利益300億円、金融が売上高7,000億円、営業利益1,900億円で、金融事業が利益源になっている。
キャノンは、事務機が売上高2兆5,000億円、営業利益5,400億円、カメラが売上高8,800億円、営業利益1,700億円、光学機器が売上高3,700億円、営業利益▲1,300億円で、プリンタのサプライ用品(トナーやインクカートリッジ)が利益3,000億円で、端末を安くして顧客を抱え込む戦略が功を奏している。
利益率を縦軸に、素材・部品・加工組立・サービス・コンテンツと言ったバリューチェーンを横軸に取ると、加工組立が最も利益率が低くスマイルカーブと呼ばれる曲線を描く。
NTTドコモは、無線通信サービス粗利益が3兆5,500億円(収入4兆3,000億円、原価7,500億円)端末機器販売の粗損失が6,400億円、販売一般管理費が2兆0,800億円、営業利益が8,300億円である。ここでも、安く端末をばら撒いて顧客を抱え込む戦略を取っている。さらに、「おさいふケータイ」で金融事業に乗り出そうとしている。
ユニクロは、売上原価率52.7%であり、中国でのローコスト生産とブランド(コンテンツ)で儲けている。伊勢丹は売上高7,600億円、営業利益300億円、営業利益率4%であるが、ユニクロは売上高4,500億円、営業利益700億円、営業利益率16%である。
M&A件数は年々増加している。事業再構築のプロであるジャック・ウェルチ氏はCEOに20年在任中、買収企業数1,000件、売却事業数400件であった。1年間に70件、1月間に6件になる。まさに企業が商品になる時代である。キャッシュ・リッチ経営の武田薬品は、現預金・有価証券が1兆8,565億円あり、格好の買収ターゲットになってしまっている。
会計情報を用いることで企業の現実の姿が良く分かると感じられた。
ビジネス・リーダーに必要な能力は情報リテラシーである。第一は情報感度(=状況認知能力;変化に気づくこと)であり、第二は方向性(=問題解決能力)であり、第三は説得(=発信能力;特に重要)である。情報は「情け」と「報せ」からなる。
情報リテラシーの三言語は、母国語である自然言語と、コンピュータの機械言語と、会計言語からなり、経営三言語と言われる。会計は経営活動を総合的にとらえる、経営の写像であり、経営者にとっての地図になる。
経営(マネジメント)とは、経営資源を集め太らせる拡大再生産のループである。期首の貸借対照表(BS)と1年間の儲けの記録である損益計算書(PL)と期末の貸借対照表(BS)で表される。
会計が読めれば世の中が見える。利益額(横軸)と利益率(縦軸)を産業マップに表すと、第一象限は「リーディング産業」でありバイオ・金融業・エンタテインメント・ITが該当する。第二象限は「成熟産業」であり自動車・家電・海運・不動産で、第三象限は「負け組産業」で、第四象限は「ベンチャー・老舗産業」でありネット・ソフト・ブランドが該当する。
新日鉄は、売上高3兆9,063億円、経常利益5,474億円、ROS=14.0%、中国市場・自動車が牽引している。特に中国は2008年北京五輪、2010年上海万博でヒートアップしている。銀行は、コア業務純益は不変だが信用コスト(不良債権比率)が低下して利益を上げている。構造改革途上にあり、メガ金融に勝ち残れるかがポイントである。
消費者金融は、営業貸付金が1.7兆円、営業収益が4,450億円で利益率26%、余裕で儲かる業界であり、利息制限法でも生き残れる。消費者金融トップの武富士のユーザは、30歳以下の若者が60%、女性が40%を占め、年収400万円以下が5割を占める。フリーター(417万人)ニート(85万人)がサラ金から借りて消費を支えている。フリーターは、慶応15%や東大10%もおり、3年以内に社員を辞めるのでフリーターは減らない。また、女性も消費を支えており、主婦のパチンコ依存症やブランド嗜好で個人消費指数は増加し破産件数も高止まりしている。
トヨタは、売上高2兆1,036億円、純利益1,372億円、ROE=14.0%、GMの10倍の時価総額がある。従来から住宅や半導体など多角化は上手くないが、金融事業に展開しつつある。トヨタの次の一手はETCカード、携帯電話とネットワークを通じてトヨタから金を借りる仕組みを構築しつつある。GMがモデルになっている。
ソニーは、エレクトロニクスが売上高5兆1,000億円、営業利益▲300億円、ゲーム・音楽映画が売上高1兆7,000億円、営業利益300億円、金融が売上高7,000億円、営業利益1,900億円で、金融事業が利益源になっている。
キャノンは、事務機が売上高2兆5,000億円、営業利益5,400億円、カメラが売上高8,800億円、営業利益1,700億円、光学機器が売上高3,700億円、営業利益▲1,300億円で、プリンタのサプライ用品(トナーやインクカートリッジ)が利益3,000億円で、端末を安くして顧客を抱え込む戦略が功を奏している。
利益率を縦軸に、素材・部品・加工組立・サービス・コンテンツと言ったバリューチェーンを横軸に取ると、加工組立が最も利益率が低くスマイルカーブと呼ばれる曲線を描く。
NTTドコモは、無線通信サービス粗利益が3兆5,500億円(収入4兆3,000億円、原価7,500億円)端末機器販売の粗損失が6,400億円、販売一般管理費が2兆0,800億円、営業利益が8,300億円である。ここでも、安く端末をばら撒いて顧客を抱え込む戦略を取っている。さらに、「おさいふケータイ」で金融事業に乗り出そうとしている。
ユニクロは、売上原価率52.7%であり、中国でのローコスト生産とブランド(コンテンツ)で儲けている。伊勢丹は売上高7,600億円、営業利益300億円、営業利益率4%であるが、ユニクロは売上高4,500億円、営業利益700億円、営業利益率16%である。
M&A件数は年々増加している。事業再構築のプロであるジャック・ウェルチ氏はCEOに20年在任中、買収企業数1,000件、売却事業数400件であった。1年間に70件、1月間に6件になる。まさに企業が商品になる時代である。キャッシュ・リッチ経営の武田薬品は、現預金・有価証券が1兆8,565億円あり、格好の買収ターゲットになってしまっている。
会計情報を用いることで企業の現実の姿が良く分かると感じられた。
脳を知り、脳を使いこなす
池谷裕二(いけがやゆうじ 東京大学講師)の「脳を知り、脳を使いこなす」と言う講演を聞いてきましたので報告します。
池谷さんは、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病などの脳の病気に対する治療薬や予防薬の研究開発を行っています。特に、アルツハイマー病の症状である「なぜ記憶が失われてしまうのか」と言う点に関心を持っているそうです。
「脳は世界を勝手に解釈しており、私たちはその解釈から逃れられない。」「脳は足りない情報を補っており、それゆえに強引で頑固である。」即ち、脳はありのままに見ておらず、デフォルメしがちであり、脳の活動こそが世界であるとのことである。
目の細胞には、明暗(明度)を感じる細胞と色(色相)を感じる細胞がある。色を感じる細胞は目の中心部にしかなく、実際に目が捉えている映像は、視野の中心部だけがカラーで周辺部はほとんど白黒という状態で、周辺部は記憶に基づいて脳が色を埋め込んでいる。
脳は情報の間に因果関係を作ったり、風景に意味合いを見出す傾向がある。これを脳が勝手に行ってしまうために、「私たちは脳の解釈から逃れられない」ことになる。一方、判断を速くし危険を察知して生命の存続に必要な一面を持っている。
人間には、自由な意思(心)というものはなく、脳神経(ニューロン)の「ゆらぎ」こそが意思を決めていることが実験で分かっている。脳神経の「ゆらぎ」が先にあり、約1秒後に意思が生まれ、約1.5秒後に行動する。この時間差0.5秒が行動を思い止まれる時間である。
人の記憶には「あいまいに憶える」という優れた特長がある。あいまいな記憶は汎用性を高めることができて、応用がきくことになり将来の自分のためになる。
記憶能力は年を重ねるにつれ低下する。それを最小限に食い止める方法として、シータ波がある。シータ波は記憶力を高めるのに役に立つ。外界に対する意識・興味が高まっている時や、散歩など運動している時にシータ波が多く発生する。「マンネリ化」が脳の敵である。物事に対する新鮮な興味や関心を持つことが出来なくなると脳の働きが低下する。
反面、「マンネリ化」は仕事を迅速に行うために必要であり、物事に対する新鮮な興味を持つこととのバランスが大切である。意識的にマンネリ化と戦うことが、記憶力を高め脳を活性化することに繋がっている。
好奇心をもって物事に取組む姿勢の大切さが、脳の仕組みからも実証されると感じられた。
池谷さんは、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病などの脳の病気に対する治療薬や予防薬の研究開発を行っています。特に、アルツハイマー病の症状である「なぜ記憶が失われてしまうのか」と言う点に関心を持っているそうです。
「脳は世界を勝手に解釈しており、私たちはその解釈から逃れられない。」「脳は足りない情報を補っており、それゆえに強引で頑固である。」即ち、脳はありのままに見ておらず、デフォルメしがちであり、脳の活動こそが世界であるとのことである。
目の細胞には、明暗(明度)を感じる細胞と色(色相)を感じる細胞がある。色を感じる細胞は目の中心部にしかなく、実際に目が捉えている映像は、視野の中心部だけがカラーで周辺部はほとんど白黒という状態で、周辺部は記憶に基づいて脳が色を埋め込んでいる。
脳は情報の間に因果関係を作ったり、風景に意味合いを見出す傾向がある。これを脳が勝手に行ってしまうために、「私たちは脳の解釈から逃れられない」ことになる。一方、判断を速くし危険を察知して生命の存続に必要な一面を持っている。
人間には、自由な意思(心)というものはなく、脳神経(ニューロン)の「ゆらぎ」こそが意思を決めていることが実験で分かっている。脳神経の「ゆらぎ」が先にあり、約1秒後に意思が生まれ、約1.5秒後に行動する。この時間差0.5秒が行動を思い止まれる時間である。
人の記憶には「あいまいに憶える」という優れた特長がある。あいまいな記憶は汎用性を高めることができて、応用がきくことになり将来の自分のためになる。
記憶能力は年を重ねるにつれ低下する。それを最小限に食い止める方法として、シータ波がある。シータ波は記憶力を高めるのに役に立つ。外界に対する意識・興味が高まっている時や、散歩など運動している時にシータ波が多く発生する。「マンネリ化」が脳の敵である。物事に対する新鮮な興味や関心を持つことが出来なくなると脳の働きが低下する。
反面、「マンネリ化」は仕事を迅速に行うために必要であり、物事に対する新鮮な興味を持つこととのバランスが大切である。意識的にマンネリ化と戦うことが、記憶力を高め脳を活性化することに繋がっている。
好奇心をもって物事に取組む姿勢の大切さが、脳の仕組みからも実証されると感じられた。
トップコンサルタントの仕事術
内田 和成(うちだかずなり 早稲田大学教授)の「トップコンサルタントの仕事術」と言う講演を聴いてきましたので報告します。
著書『仮説思考』は、企業経営者や役員の方にも読まれており、「常々自分が考え、実践してきたやり方を、的確に表現してくれた」と言われるそうです。仮説思考は、仕事のできる人・早い人・的確な人が、経験的に身につける発想術とのことです。
内田さんは、「仮説思考とは、答えからはじめる発想法である」と定義しています。ハンス・オフト氏(元サッカー日本代表監督)や将棋の羽生善治さんは、仮説思考的な考え方で、豊富な経験によって裏打ちされた直観を頼りに、まず答え=仮説を設定し、それが合っているか間違っているかの検証作業を後から行っています。
仮説思考のメリットは、三つあります。
1.情報洪水に溺れないですむ。
情報は集め出したらキリがなく、情報収集からはじめると、それだけで時間を奪われ、肝心の考える時間が少なくなる。仮説思考は、これを避けることができる。
2.仕事のスピードアップ、質の向上、効率化ができる。
限られた時間に、最高の答えを出すことが求められるコンサルタントにとって、いち早く本質をつかむことが求められる。仮設思考によって、これが可能になる。
3.他人に仕事が見えるようになる。
答えが何かを明確にするので、周囲のアドバイスが得やすく、仮説が間違っていても、早期に軌道修正が可能である。
仮説思考の具体的な方法として、「空パック」と言うやり方があります。結論→理由→対策の全体ストーリーを、ラベルだけで中身のない状態でスライドを用意して、それに合わせて分析をすすめ根拠を立証します。
仮説を豊かにするノウハウとしては、「20の引き出し」を心がけています。仮説思考などのテーマを引き出しに定め、それに該当する事例をファイルとして格納しておくとのことです。
あらゆる問題解決の場面で活用できる思考方法だと感じられました。
著書『仮説思考』は、企業経営者や役員の方にも読まれており、「常々自分が考え、実践してきたやり方を、的確に表現してくれた」と言われるそうです。仮説思考は、仕事のできる人・早い人・的確な人が、経験的に身につける発想術とのことです。
内田さんは、「仮説思考とは、答えからはじめる発想法である」と定義しています。ハンス・オフト氏(元サッカー日本代表監督)や将棋の羽生善治さんは、仮説思考的な考え方で、豊富な経験によって裏打ちされた直観を頼りに、まず答え=仮説を設定し、それが合っているか間違っているかの検証作業を後から行っています。
仮説思考のメリットは、三つあります。
1.情報洪水に溺れないですむ。
情報は集め出したらキリがなく、情報収集からはじめると、それだけで時間を奪われ、肝心の考える時間が少なくなる。仮説思考は、これを避けることができる。
2.仕事のスピードアップ、質の向上、効率化ができる。
限られた時間に、最高の答えを出すことが求められるコンサルタントにとって、いち早く本質をつかむことが求められる。仮設思考によって、これが可能になる。
3.他人に仕事が見えるようになる。
答えが何かを明確にするので、周囲のアドバイスが得やすく、仮説が間違っていても、早期に軌道修正が可能である。
仮説思考の具体的な方法として、「空パック」と言うやり方があります。結論→理由→対策の全体ストーリーを、ラベルだけで中身のない状態でスライドを用意して、それに合わせて分析をすすめ根拠を立証します。
仮説を豊かにするノウハウとしては、「20の引き出し」を心がけています。仮説思考などのテーマを引き出しに定め、それに該当する事例をファイルとして格納しておくとのことです。
あらゆる問題解決の場面で活用できる思考方法だと感じられました。