失敗を楽しめ
量子テレポーションの精度を上げる実験が始まった。 5年前から試行錯誤を繰り返し、改良を重ねてきたものだ。 「今日、世界記録を出すはずです」 赤外線を走らせ、その光の揺らぎの幅を測定する。 揺らぎが狭いほど、テレポーションの精度は高まる。 計測器の画面の青い線が、黄色い線から一マス以上上がれば世界記録となる。 暗闇の中で最後の微調整が続く。結果が出た。 「おー、7.1ですね」 世界一の快挙だ! しかし、最前線の実験は99%以上が失敗だ。 どんなに根性のある研究者でも、音を上げそうになる。 そんなとき、古澤は大事にしている流儀がある。 「失敗を楽しめ」 失敗が日常の最先端の現場。だからこそ、恐れていては前に進めない。 失敗は、新しい課題や道筋を教えてくれる。 この日も新しい方策が見つかった。 「今度は成功しますか?」古澤がそう聞くと、 研究員は答えた。「今度は成功すると思います!」 (プロフェッショナル仕事の流儀2より)
2008.02.29