最上義光歴史館

最上義光歴史館
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「【数量限定販売】最上義光公フレーム切手 販売中!!」の画像
山形市制施行135周年記念事業
「第11代山形城主最上義光公フレーム切手」数量限定販売

市制135周年を迎える山形市の礎を築いた「第11代山形城主最上義光(もがみよしあき)公」をテーマにしたフレーム切手です。最上義光公ゆかりの文化財や山形城跡・霞城公園の風景などをデザインに使用しました。山形市の歴史・文化、そして義光公の魅力を感じていただけます。
※フレーム切手は日本郵便株式会社の登録商標です。

最上義光歴史館でもお求めいただけます!!

○販売場所
・最上義光歴史館 
※最上義光歴史館では通信販売は行っておりません
・山形市、上山市、天童市、山辺町、中山町の郵便局
※一部簡易郵便局は除く
・東京中央郵便局
・日本郵便株式会社Webサイト「郵便局のネットショップ」

○販売価格
1シート(84円切手×10枚) 
1,330円(税込)

郵便局のページ>>こちら
山形市のページ>>こちら
開館時間 9:00から19:00まで
※入館受付は18:30まで
※100名城スタンプを希望される方は18:30までご入館ください。
開館時間 9:00から19:00まで
※入館受付は18:30まで
※100名城スタンプを希望される方は18:30までご入館ください。

桜と最上義光の騎馬像


桜と最上義光歴史館


山形城の堀沿いを通る山形新幹線(旧型)


山形城の堀沿いを通る山形新幹線(新型)

 当館近辺の桜はほぼ満開で、隣接する霞城公園(山形城)では4月13日(土)、14日(日)の両日に「霞城観桜会」が開催されます。舞子花見園遊や大茶会とともに屋台が並び、花笠踊りや仙台すずめ踊りの演舞、最上義光武将隊も繰り出します。当館では100名城スタンプを設置、御城印や最上義光フレーム切手も販売します。
 この季節、気の利いた歴史博物館では、代々伝わる蒔絵野弁当などを展示するわけですが、上杉家(上杉博物館)には「竹雀紋唐草蒔絵茶弁当」つまり蒔絵の野点道具箱一式や「牡丹唐草竹雀紋蒔絵短冊箱」という風流なものもあり、伊達家(仙台市博物館)には「雪薄竹に雀紋桜枝散蒔絵書棚」という桜柄の蒔絵の豪華な書棚や「浅葱縮緬地牡丹桜に鷲模様振袖」という豪勢な桜の図柄の着物、ドローンで空撮したような「榴ヶ岡花見図屏風」というものもあります。これに対し次々と城主が替わった山形城には、徳利のひとつも残されておらず、せいぜい最上義光の連歌に「花」を詠み込んだ句が残っている程度です。山形城の遺跡調査で出てくるのも所有者不明の皿や茶碗の破片程度で、中には金貨や金瓦も出土していますが、花見にちなんだ調度品などは望むべくもありません。梶井基次郎の作品に「桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。」で始まる有名な短編ありますが、桜花爛漫の山形城跡も、深く掘れば人骨もでてくるそうです。
 有名な落語に「長屋の花見」というのがありまして、そうです、柳家小さん師匠の代名詞的な噺です。長屋の店子がそろって大家を誘って上野へ花見に行くという話で、酒、肴は全部大家持ちとなったものの、1升ビンの酒は番茶を薄めた「お茶け」。かまぼこは大根の薄切り、玉子焼きはたくあん、という具合で、「お茶け」には茶柱が、「玉子焼き」はボリボリと音をたてるという噺です。さても今時の花見はどんなものでしょうか。多分、「ソロキャンプ」ならぬ「ソロ花見」というものがくるかと。道具もウルトラライトな装備で、というかワンカップに柿の種ぐらいでも十分なはずですが、ここは「火起こし」のようななんかめんどくさいこだわりがほしいところかと。シャカシャカと抹茶をたてるとか、おもむろに団子を炙るとか、そんなところでしょうかソロ花見。
 また、何の本に書いてあったか忘れてしまいましたが、花見の仕方として、自分の桜の木を決めて、毎年そこに訪れ、その木の様子とともに自分の様子を見比べる、という見方があるそうです。年々成長し、あるいは年々衰えていく姿を見つめ、そして互いが無事であることに感謝するというもの。ですが、何らかの事情でそれがかなわなくなってしまうと、ダメージが大きいような気がします。ちなみにソメイヨシノは60〜80年で老齢期に達するとのこと、いい勝負です。
 あこがれる桜の見方としては、桜前線とともにひと月近く、日本列島を北上して見に行くというもの。なんとも贅沢な花見です。実際にこれをやってブログなどでレポートしている方がいたりします。退職後は自分もこんな旅をとも思いましたが、時間は何とかなっても、経済的にとか体力的にとか留守宅の管理とかの面倒もあり、なかなか思うにまかせません。花より団子とは言いますが、花見旅行中は、ついでにその土地の名物でもとは思うのですが、別にサンドイッチにビール程度でも十分なので。まずはとりあえず漂泊の俳人、種田山頭火の句でも。「さくらさくらさくさくらちるさくら」、さきちるさくらにくらくら、ということで。



(→館長裏日誌に)

「鐵[kurogane]の美2024の展示風景


綾杉のきらめき-刀工月山〜軍勝

 新年度がはじまり当館では、企画展示として「鐵[kurogane]の美2024〜綾杉のきらめき-刀工月山〜」と題し、本県ゆかりの刀工「月山(古刀)」の作品を4月3日から6月末まで展示しています。綾杉肌(あやすぎはだ)と称される独特の鍛えがご覧いただけます。戦国時代の刀剣は、当然ながら実用品であり、地産地消と言いますか、需要のあるところに生産するところができてくるわけですが、当館学芸員によると、刀剣はどこでも作れるわけではなく、まずは材料と燃料が入手できるところ、刀剣であれば砂鉄と炭が入手できることがまず条件で、そして水が大いにかかわるとのことです。
 日本刀の鉄は、日本には鉄鉱床が少ないため、花崗岩などにわずかに含まれる砂鉄を原料としました。「たたら製鉄」です。水辺に自然に堆積した砂鉄を集めたほか、山際を掻き落とした土砂を水路に流し、比重で選別する「鉄穴(かんな)流し」という方法で砂鉄を得ていました。そのための水がかかせません。また、たたらでは、燃料は「石炭」ではなく「木炭」を使用するので、近くに炭となる樹木があることも望ましい条件となります。
 月山は名水の地として有名です。環境省の昭和の名水百選にも「月山山麓湧水群」として入っており、「月山自然水」などの名称で県内のスーパーで販売されています。かつて山形市内の某百貨店では、正月初売りの時にこれを若水として来店者に無料で配っていました。実は数年前にこの百貨店は倒産してしまい、県庁所在地では初めて百貨店が消えた例となりました。しかし、その建物はいまも残っており、地下食品売り場にある井戸からは、地下水がこんこんと湧き出ています。主に建物の空調の冷却タワーに利用されていました。付近の商店街では、このようなビル用の井戸が他に何本も掘られ、一時期、地下水の汲み上げ過ぎによる地盤沈下も起きました。
 話を元に戻すと、築城においても水が重要でして、生活用水は言うまでもなく、堀の水をどうするかというのも課題となります。特に堀の水は、川から引き込むのが一般的かとは思いますが、山形城の場合は地下水で満たすことができました。ちょうど扇状地の縁にあたる場所で、築城当時は地下水が豊富に湧出していたようです。しかし一時期、地下水位が下がって空堀になってしまいました。そうです。地下水のくみ上げ過ぎによるものです。しかしその後、地下水を動力で揚水し、農業用水路からも水を引き込み、現在は水を湛えた堀となっています。
 刀鍛冶にしろ築城にしろ、水は極めて重要な立地要件になるのですが、先端産業のAI開発でも水の確保が必須条件となります。AIのデータセンターでは、日に何百万リッターの水が冷却水として必要とのこと。最近、国内誘致で話題となった大規模半導体工場も大量の洗浄用水が条件で、誘致できた場所はそもそも地下水などに恵まれていたものの、国や関係自治体は上下水道等の整備確保にそれなりの費用をつぎこんだそうです。
 ということで、今も昔も興産に水は欠かせないという話ではありましたが、最上義光にも水をありたがる言葉があります。「命のうちに今一度、最上の土を踏み申したく候、水を一杯飲みたく候」。これは、朝鮮出兵にあたり、肥前名護屋城に留まった時に郷土への想いをうたったものです。水に恵まれれば業を興し千金を手にすることもできますが、一杯の水にも千金の価値があります。ふむふむ、今回はなんかいいこと言ったような。

(→裏館長日誌へ)
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