最上義光歴史館 - 山形県山形市

▼館長日誌 ひな祭り 令和8年2月27日付け

 さてさて、桃の節句とはいいますが、山形は梅の花もまだ咲かない状況であります。それでも山形城付近は、このところの好天で全く雪もなく、除雪機も早仕舞かなという感じです。一方、蔵王は近年まれにみる観光客で引きも切らず、山形駅前の蔵王温泉行バス停前には、インバウンド様が列をなしています。いずれもあまり目にすることのない光景で、そうなんです、蔵王だけ雪が豊富というのが一番ありがたいわけでして。
 さて、この時期、郷土系の博物館などでは、雛人形の企画展示でまさに祭り状態でして、山寺芭蕉記念館でも例年この時期に「おひなさま展」を開催(4月6日まで)しており、先日、当館学芸員もその展示準備を手伝ってきました。約200体の雛人形とともに山形県指定有形文化財「紅花屏風」も公開しています。
 山形には、江戸時代に最上川舟運や紅花交易により京都などからもたらされた雛人形が数多く残されており、○○家伝来の雛飾りといったものを中心に展示していることが多いです。ちなみに山形市に隣接している二市二町のいずれでも雛人形展を開催していて(天童市「天童の雛飾」、上山市「かみのやま城のひなまつり」、中山町「2026柏倉九左衛門家ひなまつり」、山辺町「やまのべひな人形展」等々)、付近の料理店などでも飾られていたり、菓子作りや着付けなどの関係イベントもあったりします。
 また、北前船で栄えた庄内地方でも、酒田市「旧阿部家ひなまつり」では、庄内一円から寄贈された約600体の雛人形が並べられ、鶴岡市「鶴岡雛物語 城下町のお雛さま」では、庄内藩主・酒井家などの享保雛、有職雛、古今雛、芥子雛などが飾られます。一方、上杉家所縁の米沢市や伊達家所縁の仙台市では、あまり大々的に雛人形を推すような展示がありません。恐らく紅花交易の多寡の他に、米沢は大正時代に大火に見舞われ、仙台は空襲による戦火があり、雛飾りが消失しているからなのでしょう。ただ5月にはそれぞれ、武家推しの大規模イベント(上杉まつり、青葉まつり)が催されます。
 雛飾りは、住宅事情とも相まって、年々コンパクトになってきているのに対し、五月飾りは年々立派になってきている感じがします。以前は鯉のぼりが主流で、室内飾りはそれほどでもなかった気がするのですが、やはり住宅事情でしょうか、鯉のぼりはすっかり見かけなくなりました。一方、河沿いに何百匹の鯉のぼりを並べるイベントがあったりします。市街地でも、山形市内では「ビルより高い鯉のぼり」として地上70mの高さの鉄塔(NTT東日本山形支店ビル屋上)から30匹の鯉のぼりを掲げていたりします
 こうした雛人形や鯉のぼりは、家庭などで使われなくなった寄贈品が主体となっています。文化伝承的にもSDG’s的にも大変よろしいことかとは思いますが、博物館の場合、なんでもかんでも寄贈をうけるわけにもいかず、こうした寄贈先等がない場合はなんらかの方法で処分せざるを得ません。
 特に人形の処分となると、複合材料なので仕分けにひと手間かかります。布地、金属。プラスチック、陶片 等々。物として割り切って廃棄できればいいのですが、人形となると単純に廃棄物扱いにできないことも多々あります。例えば、よく目が合う人形とか、表情が変わる人形だとか、声が聞こえる人形とか、そうしたものは特に簡単には扱えないかと。やはり気持ちが入っている人形などは、神社やお寺で供養(お焚き上げ)するのが一般的な方法ですが、一般社団法人日本人形協会というところでは、ゆうパックを利用した人形供養の代行サービスを行っているとのこと。なお、ゴミ回収に出す場合は、白い和紙や布に包んで塩で清めてから袋に入れると、気持ちの整理がつくそうです。また、フリマアプリで出品という方法も。リサイクルショップでも人気ブランドならそれなりの査定がつくといいます。特に五月人形とかはインバウンドさんに人気らしいです。
 今の時期は、新聞とともに五月人形の販売チラシが配達されてきますが、五月人形にもやはり流行があるようで、例えば一時期流行った「愛」の兜はチラシから姿を消し、代わりに伊達の三日月の兜が人気のようです。これを見た当館の物販担当は、「当館でもそんな兜をつくればいいんじゃない。前立を〈義〉とか〈光〉とかで。」と言っていました。おぉ〜、金脈、いや、可能性というのは、いろんな場所にあるなぁ。

( 裏館長日誌に続く→ )
2026.02.27:最上義光歴史館

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