最上義光歴史館 - 山形県山形市

▼館長日誌 令和7年12月17日付け

 2か月ぶりの館長日誌でありまして、季節はすっかり冬となっております。とにかく季節の移り変りが急過ぎ、巷では四季ではなく夏と冬だけの二季だけになったとも言われていますが、実際、当館の前の公園の木々も色が変わる間もなく落葉しています。日によっては雪も舞い、そそくさと当館の除雪機もスタンバイさせたところです。
 さて、去る10月21日に「Best of the World 2026(2026年に行くべき世界の旅行先25選)」のひとつに山形県が選出されました。「ナショナル ジオグラフィック」によるもので、個人的に「ナショナル ジオグラフィック」の日本版なら創刊以来、定期購読しているのですがただの積読になっていて、こんな旅行先の選定をしているとは知りませんでした。
 山形県が選ばれた理由ですが、「山形県は、東京から300kmほどの距離にも関わらず、別世界のような静けさを保つ場所であり、日本の旅行者もまだ多くが訪れていない聖なる山々、静寂に包まれる寺社、フォトジェニックな温泉、四季を通じて各地で開催される伝統的な祭りなど、混雑を避けて、通年で、古くからの伝統と神秘的なアウトドア体験ができる点が評価されました。」とあり、具体的には「蔵王山のスキー場と温泉、銀山温泉、山寺、出羽三山は、どれも忘れられない旅行先となる。2月には米沢市の上杉神社に1000を超える雪灯籠がともり、8月初旬には山形市で山形花笠まつりが開催される」とのことです。
 ただ、他に選定された地区、例えばリオデジャネイロ、マニラ、北京、マウイ島などからすれば、山形はあまりにも穴場感が強いといいますか、もちろん蔵王、山寺、花笠まつりなどはいずれも山形市のことで、ありがたいわけではありますが、どうも国内選手権を飛ばして国際舞台に立ってしまった感じです。
 とは言え最近、特に冬は台湾をはじめとする東南アジア圏のお客様が多く、当館の近くでも、雪が積もればしきりに写真を撮ったり、雪遊びをしたりしていて、当館職員はおもむろにその近くを除雪機で掃いたりしています。これが結構な運動でして、とにかく雪が積もる日というのは、汗をかくぐらいの運動を強いられる日でもあります。
 これが山寺ではまた違う体力が要求され、数か月程前ですが、山寺の奥の院近くにある最上家の廟が改修されたとのことで、1,000段以上ある階段をひたすら上ったのですが、廟に到着したときには汗びっしょりのヘロヘロで、還暦過ぎての体力の衰えを思い知らされました。さらに思い知らされたのはその下りでして、降り始めると急に膝が刺すように痛み、それからは手すりを伝いながら一段一段降りる羽目になりました。これは体力というより筋肉疲労と体重増が大きな原因とは思いますが。
 山寺は蝉の鳴く夏も、紅葉の秋もいいのですが、山寺の絶景と言えば冬。水墨画さながらの風景が目前に広がります。ただ注意いただきたいのが、とにかく滑らない靴の着用を。体力や膝の痛み以上に気を付けたいことかと。特に還暦を過ぎての転倒は、命に係わる場合もあるので。
 そして体力勝負となるのが出羽三山 (月山、羽黒山、湯殿山)の神々を祀る三神合祭殿へ登る石段で、2,446段あります。登りは約1時間半の行程ですが、これで「生まれかわりの旅」ができるとのことです。逆に三神合祭殿から下れば半分程度の時間で済みますが、「生まれかわりの旅」も半分になるかと。
 その石段の途中には五重塔があり、山形では数少ない国宝のひとつですが、平安時代中期の承平年間(931年-938年)に平将門が創建したらしいと伝えられています。現存する塔は応安5年(1372年)に再建され、慶長13年(1608年)に最上義光が修理を行いました。最上義光はこの工事の奉行として、志村と下(しも)の2名を任じました。塔の最上層の屋根に金属製の九輪が立ち、その基礎の露盤には義光とともに志村と下の名前が並んでいます。
 一方、米沢市で2月に開催される「上杉雪灯籠まつり」は、1,000を超える雪灯籠がともされますが、これだけの数の雪灯籠を準備しながら、たった2日間(2026年は2月14、15日)だけのまつりとなります。毎年5月連休には「米沢上杉まつり」が行われ、火縄銃の実演を交えた上杉軍と武田軍の合戦が演じられます。
 選考理由にある「古くからの伝統」には、こうした戦国武将も関係してくるようです。ところで「2026年に行くべき世界の旅行先25選」とはありますが、山形では特に2026年になにかあるとは聞き及んではいないのですが、とりあえずいつでも、まずは体力のあるうちにいらしていただければと思います。


(→館長裏日誌に続く)
2025.12.17:最上義光歴史館

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