有限会社 しんせい
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第十五話「死を見つめる時」
『死』は突然にやってきます。昨夜、我が家の愛犬が死にました。男なのにあふれる様に涙が出てきます。何故こんなに悲しいのかと思います。何も訴えることなく、不満も言えずに死に逝くしかないものは、本当に哀れでなりません。『米田家』と言う小さな世界の中で十年間目いっぱいの愛嬌を振りまき、家族の心を潤し、多くの話題を提供してくれました。今はただ「ありがとう」としか云えません。ただ、ただ、本当に「ありがとう」です。
四十年まえに私は母を亡くしました。三十八年まえに父も亡くしました。二十年前、自衛隊時代の同僚を失い、六年前に大切な友人を癌で亡くしました。
二年前には、妻の父も亡くしました。一昨年、広島で行われた高校の同窓会で、仲の良かった友人が、五年前に自殺したことを聞かされました。
何故みんな死んでいくのでしょう。
それは『死』が必然だからなのです。誰でも知っている事ですが、永遠に生き続ける生物は存在しません。いつか終焉のときが来るのです。
この世界に在る生き物のなかで『死』と言う物を認識できるのは、人間だけだそうです。サルのような高等な動物でも『死』は認識出来ていないそうです。ただ、人間のみに与えられた感覚であり、感情であり、現象なのです。ですから我々は『死』から逃げてはいけないのです。いえ、逃げられないのです。
三年前ご近所に住むご夫婦の一人息子さんが亡くなられました。本人にしか解らない『暗い、ドス黒い闇』の中から帰って来る事が出来ず、亡くなってしまいました。辛かったでしょう、苦しかったでしょう。でも、彼の両親がそうであったように、誰も彼を助けてあげることは出来なかったのです。それが人生なのです。残された御両親の悲しみは『量ることも出来ないほど』だったと思います。でも、三年という時が流れた今は、穏やかに暮らして居られるようです。
私も母や父、友人の死を乗り越えてきましたし、妻も父親の死を乗り越えました。我家の息子たちは『じっちゃん』の死につづいて『愛犬』死にも遭遇しました。大学生にもなった二人の息子が、ただ悲しくて涙を流している姿を傍から見ていると、本当にありがたく思います。『素直に育ってくれた』事に心から感謝です。
仕事でお世話になっているペット霊園で、今から私達の愛犬を、荼毘に付そうと思います。永遠のお別れです。遺骨は我が家の庭に埋葬して、小さな墓でも建ててやろうかと考えています。でも私たち家族の中では、彼はこの『死』の瞬間から、永遠が始まった様に思います。これからも、私たちの心の中に彼は永遠に存在します。私たちに『死』が訪れるまで、と言う限定の永遠ですが・・・
たかが犬が死んだくらいで、と思われるかもしれませんが、犬にしても猫にしても、ペットの死は色々なことを、我々に教えてくれます。
人間と違って彼らは、死の瞬間まで何も訴えてくれません。「苦しい」とか「つらい」と、ひと言でも云ってくれれば、「こうしよう」とか「ああしよう」とか行動することが出来たと思いますが、彼らは何の不満も言えず、云わず死んでいくのです。ですから、なお更つらいのです。
五十年前、わたしの八歳年上の姉が母に訊いた事が有るそうです。「何故、弟ばかり可愛がるの?」と。すると母は答えたそうです。
「この子と話ができる時間は、あなたと話をするより十年短いの、だからその分可愛がってあげないと不公平でしょ・・。」
母が亡くなって数年後にこの話を聞いた私は、「もっと母と話をしておけばよかった」と思いました。言葉を交わして、自分の意思を伝えられるのは人間だけに許された能力ですし、その行為が『悲しみ』や『つらさ』を和らげてくれるのですから。
2010.02.15:
yoneda
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