有限会社 しんせい
ログイン
第十七話「孤独死を考える時」
このところテレビや新聞で『孤独死』と言う言葉をよく聞きます。都会の雑踏の中で一人、誰にも看取られず死に逝く人の事を言い表した言葉らしく、多くの都会暮らしの中高年が「自分もそう為るのではないのかと恐れている。」との事です。
しかし良く考えてみると、これから来るだろうその時、沢山の家族・友人に囲まれていようとも『死』という事実を受け入れるのは、結局はあなた(わたし)一人なのです。
この世に生を受けて死に至るまでの、長い(短い?)人生の最後の『死と言う最終駅』に到着しようとするその時、貴方(私)の周りに身近な人たちが何人いてくれようとも、『死という門』を潜り抜けるのは貴方(私)自身、一人きりなのです。
突然のように死が訪れる場合もあれば、ゆっくりと迎え入れなければならないときも有ります。「誰かにそばに居てほしい。」とは、どの人も思う事かもしれませんが、その時の状況で、誰も居てくれない時も在るかもしれません。
二十年前、私たち家族と同時期に引っ越してこられた、ご近所の旦那さんが、先月末に亡くなられました。子供たちが同い年でしたので、結構仲良くしていたのですが、どうした訳か亡くなったことは、後日人伝に、私たち夫婦の耳に聞こえてきました。
後から奥さん本人から聞いた話では、朝方、ご主人が自宅のベッドで倒れているのを、彼女が発見したとの事。直に救急車で搬送されたそうです。何度も危篤状態になりながらも、その都度持ち直しましたが、意識の無いまま二十日以上の入院の後、亡くなられたそうです。
その時の家族の精神状態では、親族だけで葬儀をするのが、いっぱい一杯だったとの事でした。
私ども夫婦が「どうしたかな?」と思っていると、人の思いとは通じる物なのでしょうか、突然我が家の玄関に奥さんが現れて、「仏壇とお墓の手配をしてほしいの。」と一言。
「ああ、いいよ。目一杯、良いものをさせてもらうよ。」と、私も即座に答えました。
昔から、親子仲の良い家族です。残された母親と兄妹三人で、本当に真剣に仏壇を選んでいました。お墓を建立したら、きっと毎日の様に、家族でお墓参りに行く事でしょう。お父さんは一人で先に逝ってしまいましたが、彼ら家族は、心の中でいつまでも一緒に暮らしているのではないでしょうか。
死ぬ瞬間が問題ではなく、死した後の周りの人たちの行動が、その人の生前の『生き様』に対応するのではないかと、私は考えます。
死ぬことは、誰も皆怖いのです。その『死』の瞬間まで、誰も知ることの出来ない、大きな恐怖に対抗する為に、世界中には色々な宗教が存在します。墓はその大切な象徴だと、私は思います。(石で出来たお墓に限らず、世界中には色々の形のお墓が存在します。寺や神社もその一つの形かも知れません)
先月、雪の日をかいくぐる様にして、岩手県一関市に墓を建ててきました。そのお寺のご住職が、こんな話を私にしてくれました。
東京で開かれた同窓会で、ご住職の友人に「俺が死んでも葬儀や墓は必要ない。骨はどこかの海にでも撒いてくれれば、それで充分。」と言われたそうです。ご住職はその言葉に愕然とし、「我々僧職者がちゃんとしていないから、こんな言葉が出るのか!」
「千の風・・」の唄が流行ったせいばかりではなく、葬儀社の言われるままに葬送の儀式を行う事にも、皆が疑問を持っているのだとも考え、せめて残された家族の為にも、どの様な形でも良いので墓を残してほしいと、桜の樹の下に遺骨を埋葬する『さくら葬』を思いつかれたそうです。
「お骨を撒いてしまうのは、自分がこの世に存在した事実をも、空間に遺失させる事、永遠に無くしてしまう事でしかありません。」とご住職は話しておられました。
確かに、その事のほうが、本当の『孤独死』なのではないでしょうか。
家族が社会の最小単位であります。その家族の崩壊が、日本の社会を脆弱にしています。
『孤独死』そのものは、まさにそうした現代の日本社会が生み出した物だと、私は考えます。
2010.04.15:
yoneda
:count(150):[
メモ
/
仙台発・大人の情報誌「りらく」
]
copyright
yoneda
powered by
samidare
▼コメントはこちら
名前
件名
本文
URL
画像
編集/削除用パスワード
※半角英数字4文字で自由に入力下さい。
手動入力確認イメージ
※イメージ内の文字を小文字の半角英字で入力して下さい。
※ 投稿後、すぐに反映されます。
ごあいさつ
過去の事例集
お墓ができるまで
ピクチャタイル
コラム・Q&A
仙台発・大人の情報誌「りらく」
マイベストプロ/有限会社しんせい
米田 公男facebook
ケータイサイト
業務内容
お問い合わせ
ALL
メモ
メール
アンケート
カレンダー
ブックマーク
マップ
キーワード
スペシャル
プロジェクト
ログイン
All Rights Reserved by SINSEI
powered by
samidare
ケータイサイト
お問い合わせ
業務内容
Powered by
Communications noteβ