ぶっくぶくの部屋

ぶっくぶくの部屋
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最近、本の世界でも、ジャケット(いわゆる表紙)の良し悪しで
本の売れ行きが違うそうです。いわゆる「ジャケ買い」と称される
ものです。そうしたら、今回の私は「オビ買い」かなあ。
この本のオビに載っていたすしの写真が実にウマそうで、思わず
買ってしまいました。

File No.19
『すし屋の常識・非常識』重金敦之(朝日新書 740円) 
オススメ度 ★★☆☆☆

「すし」って、ウナギや天ぷらと同じように、その昔は、屋台売り
だったってこと知ってました?すし屋のカウンターで食べることを
今でも「立ち」というのは、そこからきているんですね。
いきなりウンチクになってしまいましたが、この本は、単なる
ウンチク本ではなく、日本人のソウルフードとも言える「すし」
文化をちゃんと後世に残していくための常識と非常識を教えて
くれています。
例えば、前から気になっていたすしを食べる順序。
最初に玉子を食べて職人のウデを確かめる、最初からマグロ、
淡白なものから濃厚なもの、最後に巻物、などなど、いろいろ
流儀はあるようです。
しかし、筆者は、自分自身が一番心地よく、美味しく食べること
のできる順序がベストと言っています。
つまり、自分の流儀を確立できるぐらい場数を踏まないと、
すしを本当に楽しむことなんてできないし、ましてや、したり顔
して語るなんざあ、百年も早いということなんでしょうね。
あと面白かったのは、すし屋で箸や箸置きが必要かどうかということ。
すしが屋台から割烹化するにつれて、お椀や小鉢などが出てくるように
なり、箸が必要になってきたらしいです。
江戸っ子が「すしを箸で食うなんざあ、しゃらくせい」と粋がるのも
まんざら根拠の無い話ではないようです。
また、すし屋では、職人とのコミュニケーションも重要な要素ですね。
「こんな頼み方をしたらバカにされないだろうか」って思ったこと
ありませんか?
そういうのが煩わしい人が多くなったから回転寿司も流行るのでしょうね。
かく言う私も、回転寿司は決してキライではありません。
でも、筆者の言い分に同感するのは、すし屋は一人で行くのが基本、
ということ。
みんなでワイワイ楽しむのも好きですが、たまには一人で密かに美味しい
ものをジックリと楽しむこともいいなあって思います。
あ〜、マジでスシ食いたくなってしまいました。
『覚悟のすすめ』でのカキコ氏から本を貸していただきました。
人に本を貸すことはあっても、人から借りる機会が少ない私と
しては、ちょっぴり嬉しかったりして…。
でも、タイガースの本ばっかり読んでると、何だかT党にひき
ずり込まれそう。

File No.18
『頑固力-ブレないリーダー哲学-』
岡田彰布(角川SSC新書 760円) 
オススメ度 ★★☆☆☆

プロ野球セリーグ08年シリーズ。中盤まで2位に13ゲームも
引き離してブッチ切りトップ独走だった阪神タイガース。
しかし、後半戦から急に失速し、ゴール寸前でペナントを
逃してしまいました。その責任をとって岡田彰布監督が辞任した
ことは、まだ記憶に新しいところ。
岡田は親父の代からのバリバリのT党。小さいときからタイガース
に親しみ、早大卒業後、念願のタイガースにドラフト1位入団。
ルーキーイヤーから頭角をあらわし、新人王。私も入団当初から
岡田をテレビで観ていて、その野球センスに見惚れる一方、
G党としては「やっかいなヤツがタイガースに入ってしまったな
あ」って思った記憶があります。
もっとも、その翌年、原辰徳がジャイアンツにドラフト1位入団
して、多少は溜飲を下げたのですが、伝説になった85年のバック
スクリーン3連発被弾で、その不安は的中してしまいました。
でも、この岡田彰布、私が観てたとおり、男らしく且つ思いやりの
ある男です。
選手生活の晩年、戦力外通告され、大好きなタイガースを去る最終
戦で涙が止まらなかったと回想するところは、女々しいどころか、
かえって熱き男気を感じさせます。
暗黒時代を経たからこそ強くなった、監督はマイナス思考など、
随所にオカダイズムも感じさせます。
ただちょっと残念なのは、他球団や他者の批判めいたことが少し
あったことと、繰り返しが多くクドイこと。
タイガースの美風は、将棋の坂田三吉のようなさっぱりした豪放
さです。ジャイアンツにはない伝統的美風であるT魂を持った
岡田よ、泣くな、語るな!君にはグランドがすべてだ!
いつの日かまたタテジマのユニフォームを着て、G党のわれわれ
に「またやっかいなヤツが戻ってきた」と思わせてくれることを
願ってますよ〜。


カタい本が続いたので、マンガでも読んでアタマのコリ
でもほぐそうかなって思って本屋さんに行ったんですが、
なんか手が伸びないんですよねえ。
30代までは、『ビックコミックオリジナル』を欠かさず
読んでいたんですが、何かしらピッタリと読まなくなって
しまって…。それは、パチンコを一切止めたころと同時期
だったような気がします。ってあんまり関係ないかな。

File No.17
『劇画新潮45 BLACK OUT』(宙出版 700円) 
オススメ度 ☆☆☆☆☆

『新潮45』や『週刊新潮』にとりあげられた社会事件を
劇画化した雑誌です。同種の本も出されていて、こちらの
方は、書き手もウマく、なかなかな内容です。
必ず「エロ」の要素を入れているところがミソで、オジ
さんたちの心をキュっと掴んでいるんですね、ウマイ!
劇画の方は、ん〜?ピンとこない、入ってこないって
感じですかね。
これは、劇画の出来が悪いんじゃあなくて、私のアタマが
固くなってしまったからでしょう、たぶん。
ひとつひとつのストーリーは、実際にあった事件をもとに
しているし、衝撃的だったり、驚愕的だったりするんです
よ、ホントに。
でも、心に入ってこないんですねえ、これが。
若い方にマンガをすすめられて、実際に読んでみることも
ごくごくたまにあります。「おお、オモシロいなあ」って
感じることもありましたが、ほとんどは中途放棄。
先入観を持たないように心がけているハズが…、ちょっと
マンガはヤバイかも。

鈴木由紀子さんの『直江兼続とお船』の項で、
図書館はまだ禁帯出としているが、そんなに高い本じゃ
ないんだから貸出し用の本も揃えてほしい、とコメント
しました。
その後、図書館に行ったら、新着図書のところに、
わざわざ「貸出し用の本は別にあります」というような
インフォメーションをしていただいておりました。
てっきり1冊しかないと思ってしまってゴメンナサイ。

同書は市内の本屋さんにない!とも書きましたが、
その後何箇所かで見かけました。ひとつは、伝国の杜の
ミュージアムショップ。
もっと山積みにしてどんどん売ってくださあい!
これぞすなわち「地産地消」?
...もっと詳しく
世のビジネス書というとカタいイメージありますよねえ。
エラい経営者の出世話や成功談はハッキリ言ってあんまり
好きじゃありません。
物語のスパイスとしての軽微な失敗談も嫌味に感じてしまう
時があります。(そんぴんなのかも?)
でも、この本は平易な文体で書いてあって、なかなか面白
かったです。昨年のヒット新書の1冊だそうですが、なるほど
これは売れるわけです。

File No.16
『明日の広告-変化した消費者とコミュニケーションする方法』
佐藤尚之(アスキー新書 743円) 
オススメ度 ★★★☆☆

「変化する消費者をよく見て理解し、一緒にコミュニケーション
をつくっていく」「広告は消費者のソリューションでなければ
ならない」というのが、ズバリこの本の要旨です。
消費者を変化させたものは、ネットの出現+情報洪水+成熟市場。
AIDMA(アイドマ=注意→興味→欲望→記憶→行動)と言われ
てきた消費行動が、AISAS(アイサス=注意→興味→検索→
行動→共有)に変わってきたという指摘にはナルホド!
とくに、「スラムダンク1億冊感謝キャンペーン」の事例は興味
深いものがありました。決してスマートにやっているわけでは
なくて、発信する対象(愛読者)のことを徹底的に考え抜いて
仕掛けているのです。
広告も、デザインも、コピーも、表面的なカッコ良さだけでは
すぐに化けの皮がはがれてきます。まずは受け手のことを徹底的に
知り抜くことから始まるのです。そういう意味で、広告とは、
筆者が言うように、受け手に対する熱烈なラブレターなのかも
知れません。
これは何も広告に限ったことではなく、ものづくりにも、サービス
にも、さらには人間対人間の世界でも同じことが言えるのでは。
広告業界向けの内容ながら、広く読まれているゆえんでもある
ような気がします。
わたしは、根っからのG党。(プロ野球の話)
G軍については、世間でいろいろとご批判もある
ようですが、ガキの頃から刷り込まれてしまっているので、
もう一生変われないと思います。
われらG党にとって最大の宿敵は何といっても阪神タイガース。
その阪神で、アラフォーでありながら4番をはり、アニキとも
鉄人とも呼ばれるスラッガーが金本知憲。
何だか、金本が打席に入ると、G軍の投手はビビッているように
感じるのはわたしだけでしょうか?
この本を読んで、敵ながらアニキはすごいヤツだと改めて感じ
ました。

File No.15
『覚悟のすすめ』金本知憲(角川Oneテーマ21 705円) 
オススメ度 ★★☆☆☆

金本知憲の「野球道」とも言うべき本です。
ご存知金本は東北福祉大からドラフト4位で広島に入団、
それもハズレ4位。入団当初は周りからの期待も薄かった
選手ですが、それこそ、プロでやっていく「覚悟」と人一倍
どころか、人二倍、人三倍の努力でレギュラー定着し、
阪神に移籍してからは、2度のリーグ制覇に導くリーダー役
を果たしてきました。
昨年引退した清原和博が「番長」と呼ばれ存在感を誇っていた
のに対し、金本は「アニキ」と敬愛されています。
金本は、「男らしさとは信頼にこたえることだ」と言ってます。
また、「自分の能力は他人の下した評価が正しいのだから、
不平不満は口に出さない」とも。つまり、自分自身への評価は
えてして甘くなるため、他人の厳しい評価は不当に思えて、
それが不平不満になる、という意味です。
われわれサラリーマンの世界にも良くあることで、ちょっと
耳に痛いものがありますねえ。
でも、厳しい評価は甘んじて受け、自分を鍛え直していかな
ければならないのでしょう。厳しいっ!
本の後半では、阪神に対する失望感を味わった時期のことに
ついて書いていますが、これも乗り越え、名実ともに阪神の
リーダーとして活躍しています。
この本が出版されたのは昨年9月ですから、8月ごろに書いて
いたのでしょう。そうです、阪神が首位を独走していた頃です。
でも結果はご承知のとおり…。
シーズン後、金本はどんな感慨を持ち、来シーズンに向けて
どんな闘志を燃やしているのでしょうか?
かえすがえすも敵ながらアッパレなヤツです。
でも、お願いだからG戦で鬼のように打ちまくるのはヤメテ〜。
...もっと詳しく
『ポトスライムの舟』の世界でちょっと気が
滅入ってしまいました(ケナシではありません)ので、
口直しに男の世界をと思い、そこらへんを探して
いたら出てきました。10年前の芥川賞受賞作品。
ということは、「積ん読歴」も10年だったわけかな?

File No.14
『ブエノスアイレス午前零時』藤沢 周(河出文庫 440円) 
オススメ度 ★★☆☆☆

なんか題名を見るとハードボイルドのような雰囲気がする
でしょ?でも、これがレッキとしたジュン文学、それも、
芥川賞受賞の名作なんです。
スカッとしたものを期待してたんですが、ところがどっこい、
これも人間の精神の再生をテーマにしています。
都会の広告代理店勤めを辞め、故郷の温泉旅館で番頭しながら、
厭世的にウツウツと生きる男カザマ。
舞台設定が、ダンスホールのある温泉旅館ですから、レトロ
というか、何と言うか…。これは作者が勝手に想像で設定した
ものなんですが、偶然にも、該当の温泉地にそういう旅館が
実際にあったんだそうです。今でもそのダンスホールは残って
いるかも。福島と新潟の県境ですから、米沢からもそう遠く
ないですよね。
この温泉旅館に、ある日、盲目の老女がやってきて、カザマ
が一緒にダンスするんです。
今の若い男性なら、「キモイ」とか「ウザイ」とか言って
取り合わないでしょうね。そういう言葉・気持が自らを
すごくうすっぺらいものにしているんじゃないかと考え
させられます。
これは、私の主観的な読み方ですが、その盲目の老女と
踊ることによって、カザマの荒んだ心が再生されていった
んだと思うんです。
だからこそ、この作品は、20世紀最後の名作とも言われるん
でしょうね。
1時間ぐらいで一気に読めますよ。
先日、第140回の芥川賞の発表がありました。
いつもこのニュースが出るたびに、読んでみようか、
という気にはなるのですが、何度も期待を裏切られた
せいか、ここ数年は、とんとご無沙汰でした。
が、意を決して読んだら、まあ、なかなかです。

File No.13
『ポトスライムの舟』津村記久子(講談社 1,365円) 
オススメ度 ★☆☆☆☆

29歳独身女性にして派遣社員のナガセが主人公。
舞台は奈良。
ナガセは、工場の派遣社員+カフェのアルバイト+
高齢者向パソコン教室の講師+データ入力の内職という
薄給の働き尽くめでワーキングプア。
ある日、自分の派遣社員としての年収にほぼ匹敵する
ような世界一周の旅に憑かれ、お金を貯めだしますが…。
同性の同級生3人との交友を織り交ぜながらの日常を
淡々となぞっています。
何の変哲もないのですが、なぜか普遍性や、心の動きや
心の向きが自然に感じられる不思議な小説です。
それは、誇張もない、気負いもない、嘘もないからで、
作者の人柄がにじみ出ているようです。
でも、作風も、主人公の女性も内向的すぎて、私には
ちょっとなあってカンジですかね。
唯一驚いたのは、いつも超辛口批評の石原慎太郎選考
委員が、ひねくれた言い回しながらも同作の受賞を是認
していることでした。すごく珍しいことなので、読む価値
あるかもしれませんよ。
昨年・一昨年と2年続けてインフルエンザにかかり、
不覚にもダウンしてしまったワタシ…。
とくに、昨年は、予防接種もして、そろそろインフル
エンザのシーズンも終わりというころにかかったので、
ちょっとショックでした。
今年も風邪ひいて、長かったなあ。
そんな反省の意味を込めて、感染症についてちょっと
勉強してみようと思いまして…。

File No.12
『パンデミック-感染爆発から生き残るために-』
小林照幸(新潮新書 680円)
オススメ度 ★★☆☆☆

「日本で新型インフルエンザが一人でも発生した場合、
わずか2カ月で人口の25%が感染し、最大で64万人が
死亡する」という推測を厚生労働省が発表しているそうです。
ひえ〜、抵抗力の弱い私なんかひとたまりもないじゃん、と
いきなりめまいを覚えました。
史上最悪のパンデミックは、20世紀はじめのスペイン風邪。
感染者5億人以上、死亡者4千万人!
ちなみに、題名にもなっているパンデミックとは「世界的
大流行」、それに対し、映画でも有名になったアウトブレイク
とは「限局された地域での感染症流行」という意味だそうです。
本書は、「H5N1型鳥インフルエンザ」の近い将来における
パンデミックに警鐘を鳴らすことが主旨。
この新型インフルエンザは、15歳から35歳の若年層がアブ
ないとか。なぜなら、免疫系が活発であるがゆえにサイトカイン
ストームという現象がおきて、本来の免疫機能が損なわれる
からであるとか。
将来はかなり悲観的なのか?いや、著者はちゃんと最後の方で
「プレパンドミックワクチン」という光明を示唆してくれて
います。
このテの本は、お医者さんが書いていることが多く、時にちょっと
難しかったりするんですが、著者はノンフィクション作家という
こともあって、きわめてわかりやすく書いています。
私と同じような不安をお持ちの方は、ぜひご一読を。
ただ読んだだけではダメですよねえ。手洗い・うがい・マスク・
乾布摩擦(?)を励行しなくては。
ま、まあ乾布摩擦にはまだちょっと肌寒い?ので、春からに
しようかなって…、情けないハナシ。
先日、テレビに今話題の海堂尊が出ていました。
『チームバチスタの栄光』や『ナイチンゲールの沈黙』を
読んだばかりだったので、この新たなエンターテイナーを
興味深く見ていたのですが、
「小説の世界では何でもできる」みたいな発言を聞いて
ちょっと失望し、しばらく同種のものは読まなくなって
しまいました。
しかし、3月7日から映画公開と知り、ぶっくぶくと
しては、一応チェックしなきゃって思い、読み出したら
やっぱ面白い。
読んでいる間は面白い、というのが、エンターテンメント
たるゆえんですね。

File No.11
『ジェネラル・ルージュの凱旋』上・下
海堂 尊(宝島社文庫 各476円)
オススメ度 ★★☆☆☆

今回は、ジェネラルルージュ(血染めの将軍)こと、救命
救急センターの速水部長の収賄事件を、ご存知、「行灯」
こと田口万年講師が追求していくストーリー。
著者も現役の病理医だけあって、迫真の場面が続き、読む
者を飽きさせません。
『ナイチンゲールのー』でもありましたが、
「手続きを飛ばして正義を貫こうとしても、刃は肝心の
ところには届かない。いつか必ずしっぺ返しに遭って叩き
潰される」というセリフは、組織に生きる人間にとって、
すごく説得力があります。
著者本人も日頃そう感じているのでしょう、きっと。
でも、この作品の華は、何といってもゼネラル速水でしょう。
その仕事ぶり、迫力ある言動、カッコイイですねえ。
ゼネラルとハヤブサのラストシーンも良かったあ。
私はもう映画は観なくていいなあ。
読んだ後映画を観ると、「えっ、そうじゃあないだろう!」
と思うこと多くありません?
これまで、映画の方が良かったと思ったのは、『ジャッカル
の日』ぐらいかなあ。
そういえば、個人的なサプライズエピソードをひとつ。
先日、ある方々と飲んでいて、そのうちのお一人が、私の
耳元で、
「ワタシ、実は少し前に心臓のバチスタ手術をしまして。
その時執刀してくれたのが、チームバチスタの天才外科医
桐生助教授のモデルになった人なんです」
「えっ〜、ホントですか?」
「ホントです。ワタシも医者でして、いろいろなつながり
から彼に依頼したんです」
「えっ〜、じゃあ、もしかしてアナタのバチスタ手術も
あの小説に出てくるケースのひとつだったりして…?」
「それは時期が違うからあり得ません。でも、わたしの
手術も成功しました。だからこうして飲んでるでしょ」
ほんとにいたんですね、実在のモデルが。
ゼネラル速水のモデルもいるのかなあ?
本読んでて良いのか悪いのか、
面白いのか、面白くないのか、
ためになるのか、ならないのか、
最後まで良くわからない、という
久々の感覚を味わいました。

File No.10
『テッパン男』檀 れみ(ヴィレッジブックス新書 740円)
オススメ度 ★☆☆☆☆

「テッパン男」って何でしょう?
本を読んでいると、女性にモテる男のようですが…。
実は、ハズさない男のことらしいです。
で、この本は、ハズさない男になるための31の鉄則
が指南されています。
「靴のへたりはおのれのへたりと心得よ」
「まともな字を書く」
「姿勢を良くする」
など、まともなことを書いているかと思えば、
「キヨスク・トークで社交する」
「嫌なヤツに会ったら、Mに目覚めよ」
「スタバのスタッフを『ありがとう』で圧倒する」
って何だそれ?
前半はややまともなこと書いていながら、最後は
「えぇ〜」と思うような露骨な内容で、中年オジサン
としては少しゲンナリしてしまいました。
たまにはやわらかい本も、と思って手にとったのですが、
ハズしてしまったカンジかな!?
でも、他の人はどう思い、どう感じたのか、聞いてみたい本
でもありました。以上!
地元在住の作家鈴木由紀子さんが兼続とお船の本を
書かれたと知り、さっそく本屋さんに行きました。
が、あれ?あれれ〜?
市内の本屋さん5軒まわりましたが、どこにもありま
せん。そりゃあないよなあって思いつつ、山形へ。
ようやっと3軒目でゲット。
むさぼるように読んでしまいました。

File No.9
『直江兼続とお船』鈴木由紀子(幻冬舎新書 740円)
オススメ度 ★★★☆☆

鈴木由紀子さんと言えば、出世作になった『闇はわれを
阻まず 山本覚馬伝』の感動がまだ忘れられません。
一昨年に上梓された『天璋院篤姫と和宮』も面白かった
ですねえ。この本ではじめて篤姫の写真を見て、「迫力
あるなあ」って思いました。
今度の著作も佳品ですよ。
なぜ佳品かというと、兼続や慶次郎に作家として惚れぬいて
いることと、お船や仙洞院に同性としての心を寄せているから
ではないでしょうか?
兼続の漢詩「逢恋」いいですねえ。こんな漢詩もつくるなんて、
やっぱ惚れられるわけです。
今読んでいる『テッパン男』にも、「女は冴えた男が好き」って
書いてありました。兼続はいろんな面で“冴えた”男だったん
ですね、きっと。
それはそうと、もう一人の冴えた男石田三成の遺児を米沢に
かくまって、粡町で商売させたって話知ってました?
も、もしかして、三成のDNAか、Y染色体は現代の誰かに
受け継がれているのかも?
徳川家康に直江状を突きつけるくだりは、こちらも何だか
身体の芯が熱くなってくるようです。
でも、火坂雅志さんも書いていたように、兼続の魅力は、
米沢減封後に、より深い光彩を帯びてくるんですね。

いずれにしても、本屋さん、早く仕入れて下さいね。
あと、図書館もまだ「禁帯出」。そんなに高い本じゃないん
だから、数冊買って貸し出ししてくれればいいのになあって
思うのですが…。
1月からはじまった大河ドラマ「天地人」、
視聴率も好調な出だしで良かったですねえ。
人間味のあるというか、親しみやすい兼続に
している脚本の意図もわかりますが、「愛」と
「義」が清々しく表現されていくことを期待して
います。

File No.8
『名将の品格』火坂雅志
(NHK出版生活人新書 660円)
オススメ度 ★★☆☆☆

『天地人』の原作者である火坂さんの歴史夜話を
そばでジーと聞いているような趣があります。
火坂さん自身、いろいろな天地人関連本を書かれ
ましたが、おそらくこれが最後になるだろうとの
こと。
景勝・兼続が日本の武士道の先駆け的存在である
ことや、火坂さんが兼続を書こうと決心してその
実現までに20年の歳月がかかったこと、書いても
書いても報われない時代に海を見ながらにがい涙を
何度も流したこと…、等々火坂さんの心の遍歴的な
ところもあって、ホントにいい話です。
とくに、「ほんとうの『宝』は足元にあった」という
火坂さんの言葉は、われわれ米沢の人間にも言える
ことです。
おもしろおかしで視聴率に一喜一憂するのもいいけど、
兼続の「愛」と「義」の本質をちゃんと受け止めなければ
ならないんじゃあないかと思いました。
それは、そんなに難しいことではない、ということを
この本は教えてくれるハズです。
先日、久しぶりに図書館をのぞいてみました。
けっこういらっしゃるんですねえ、利用者の方が。
米沢ぐらいの街の図書館施設としては、ちょっと
寂しい気がしないでもないですが、面白そうな
本はたくさんありますよ。
そこで、衝動的に借りてきたのがこの本。
いやあ〜、大当たりでした。

File No.7
『アダムの呪い』ブライアン・サイクス
(ソニー・マガジンズ 2,000円)
オススメ度 ★★★☆☆

この本は、人類の性選択がどのように行われてきたかを
解きほぐす物語のような展開になっています。
母系で受け継がれていくミトコンドリアDNAのルーツ
を追っていった前作『イヴの七人の娘たち』は世界的な
ヒットになりました。
今回は、父系から息子にのみ受け継がれるY染色体を
追っていった物語です。
13世紀に空前絶後の版図を広げたチンギス・ハーンの
Y染色体を秘めている男性は、現在、およそ1600万人
にも及んでいるとのこと。
主治医が諌めるくらい、毎晩毎晩自分の「種」を植え付け
まくっていたそうですから、いやはや…。
そんなところばっか、真剣に読んでいたわけではないのですが、
チンギス・ハーンに比べれば、現代の男の所業なんて
たかが知れているなあって、変に感心したりして…。
ところで、男たるゆえんのこのY染色体ですが、かなり損傷
して弱っているらしく、やがては無くなってしまうのではと
危ぶまれているそうです。
「この世に男性がいなくなる日が来る」なんて信じられますか?
でも、この間のNHKスペシャルでもそんなことを報じて
ましたよ。
さらに、福岡伸一の『できそこないの男たち』では、「生命の
基本仕様は女であり、男とはしょせん弱き性である」という
ようなことを言ってます。
なんか、私自身思い当たるフシがいっぱいありますねえ。
すぐ風邪ひくし、なかなか治らないし、健康診断の注意事項も
いつもワクいっぱいに書いてあるし…、あ〜あ。
先日、ひょんなことから災害の話題になりまして。
保育園児のころの「新潟地震」、小学生のころの
「羽越水害」、いずれも甚大な被害を出した災害で
今でも震えるような思い出になっています。
近年では、1995年の「阪神大震災」が最も衝撃的且つ
悲惨でした。

File No.6
『クラッシュ』佐野眞一(新潮文庫 590円)
オススメ度 ★★☆☆☆

本屋さんで何気なく買った本で、いつものとおり、いつ
読むとも知れず、机に積んでいました。
が、たまたま先日、パラパラ読み出したら止まらなく
なってしまい、一気に読んでしまいました。
その理由は、この本に取り上げられている6つの事件・
事故・災害に対する筆者のルポルタージュのスゴさです。
6つの中で、最も頁数を割いているのが「阪神淡路大震災」。
地震のなんと2日後に筆者は被災地入りするのです。
その根性からしてスゴい!
当代一流(と私は評価している)ノンフィクションライター
の筆者が描く被災地の様子は、決して、テレビの平板な
映像では感じることの出来ない迫真感があります。
もう10年以上も前のことですが、私の認識をはるかに
超える惨状だったことを、改めて知らされた思いです。

蛇足ながら…。
昨年、上京した折に、両国にある東京都慰霊堂と復興記念館
を見てきました。そうです、わが郷土の偉人伊東忠太博士の
設計によるものです。
建物の壮麗さもさることながら、中に展示されている関東
大震災と東京大空襲の惨状は、目を覆うものがありました。
「阪神淡路大震災」は「関東大震災」の二倍以上の激震だった
と言いますから、その惨禍たるや人知を超えています。
「天災は忘れたころにやってくる」は、言い古されていますが、
なんだか不気味で不安な格言ですねえ。
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