ぶっくぶくの部屋

ぶっくぶくの部屋
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始めてまだ3カ月ぐらいしか経っていないのに、
あっちゃこっちゃで「ペダリスト宣言」をしてしまって、
ちょっとハズカしい。
こうなったらカンタンには止められない!と、今日も
曇天の中いざスタート。
1時間ぐらいしたら不安的中して雨…。
ぐちゃぐちゃになりながら復路10kmを必死で帰ってきた。
ふうっ、ペダリストもラクじゃない。

File No.66
『自転車入門-晴れた日はスポーツバイクに乗って-』
河村健吉(中公新書 780円)
オススメ度★★☆☆☆

著者は、自転車歴3年でこの本を書いたんだって。
自転車のメカニック、マナー、交通法規、地理、歴史…と
何でも詳しく書いているので、よっぽどハマったに違いない。
いろいろ感心させられることが多かったが、中でも、
「自転車はすぐれた有酸素運動で、メタボ解消にはもってこい」
というくだりには、思わずしてやったりとニンマリ。
このごろ「少しシマってきたんじゃない?」って言われるのは
まんざらお世辞ばかりではないかも…。
いいぞ、いいぞ、どれどれ、と体脂肪計付体重計にのると…、
ガッカリ。世の中そんなに甘くない。
この本が良かったのは、中高年のビギナーが書いているので、
基本をおさえ、ムリせず、楽しむことを主眼にしていること。
「自転車に乗って気持ちがいいのは、軽快感と爽快感」という
意見には全く同感。
また、「年をとるとイヤな事件や批判すべきことが目につく。
体力の衰えを覚えることもある。だからこそ気分を変えて
自転車に乗ってみよう、きっと新しい生活が開ける」という
著者のメッセージには、少し感動すら覚えた。
ちょっと不満だった点は、サイクリングコースを紹介する
部分がほとんど東京の多摩地区ばかりだったこと。
そんなとこ走れるワケないし、地名もよくわからん。
そこがビギナーの食い足りないところ。
これから、全国のサイクリングロードを走破して、第2弾
を出してほしい。
さてさて、本日は「晴輪雨読」ならぬ「雨輪雨読」。
帰ってから、たっぷり1時間かけて自転車をカラ拭きした。
だんだん心が落ち着いてくる。
五木寛之がクツ磨きをジックリやっていると心が深く落ち着いて
くる、というような意味のことを書いていたが、それは
自転車磨きでも言えるかもしれない。


最近凝ってるもの、
公には「自転車」、密かには「○○○」と「△△△」。
その○○○が、ナント!「果実酒」。
「ええっ、オマエが!?」って思われそうだが、
オレ自身、「ええっ、このオレが!?」って思っている
くらいだから、よっぽど取り合わせがヘンなんだろうな。

File No.65
『果実酒&ジャムの本』村井りんご(成美堂出版 1000円)
オススメ度★★☆☆☆

自他共に認める武骨者のこのオレが、なんで果実酒?
思い返してみると、ひょんなことから、自家製梅酒(3年もの)
を飲んだことがきっかけになったのではないかと…。
手前味噌ながら、この梅酒うまかったあ。
もう、氷入れてガブガブ飲んだ。
そして、少しシビレがきた頭の中で、
「これはオレでも作れるんじゃあ?」
10年ぐらい前に突然やってきたイタリアンのマイ・ブーム以来の
フード系マイ・ブーム。
思い立ったが吉日とばかりに、ネットで調べ、達人に話を聴き、
本を購入し…と、ほとんどビョーキ状態に。
その一連で購入したのがこの本。
何と言っても写真がキレイ。
フード系の本は、やっぱ写真が命、レシピは二の次。
「すいかワインのグラニテ」なんか、スゴいシズル感を出している。
で、さっそく実技にチャレンジし、梅酒2種とあんず酒1種を
なんとかかんとか仕込んだ。
でも、生来不器用で無精者、カタチから入りたがる大仰さ、などで
家中大騒ぎさせ、大迷惑。
挙句の果てに、
「ほんとうにヤル人は、だまって黙々と一人でヤルものよっ!」
って苦言を呈され、あたっているだけにフテくされ、その後に
予定していた仕込みを完全放棄し、自転車で2時間のプチ家出。
まあ、われながらガキっぽいというか、情けない話だが、
家人にとっては、いつものパターンらしい。
でも、秋までには機嫌直して、リンゴとカリンに挑戦したい、
と思っている。
それまでこの本は、誰もいないところでコッソリ見ようっと。

先日、ある知人に、
「デス・マス調はちょっと固いんじゃあないの」って言われて
ここいらへんで、もっとざっくばらんな口調?でやって
みることにしました。
ぞんざいに感じられるかも知れませんが、そこんとこは
ひとつ、平にご容赦のほど。

File No.64
『終末のフール』伊坂幸太郎(集英社文庫 629円)
オススメ度★★☆☆☆

伊坂幸太郎って作家も売れてるねえ。
『オーデュポンの祈り』とか『重力ピエロ』とか、本屋に
平積みになっているので、いかに売れ筋の作家の一人である
ことがわかる。
オレはこの本が、初・伊坂。
3年後に小惑星が地球に激突して世界が滅亡するという
仮想設定で、舞台は仙台郊外のヒルズタウンという団地。
ここの様々な住人が8つの物語を繰り広げる。
滅亡寸前の人間模様を描いているわけだから、もちろん
テーマは「生」と「死」、そして、いかに生きるか、という
ジュン文学のド真ん中直球みたいなもの。
作者のメッセージは、醜くても、酷くても、カッコ悪くても、
とにかく必死で生き続けようとする人間の意志が最も尊いと
いうこと、だと思う。
重いテーマを、意識して軽快にしている工夫が感じられ、
それなりに評価できる内容ではある。
しかし、伊坂ファンには申し訳ないが、オレ的にはいまいち。
設定・ストーリー・メッセージ性とどれをとっても、ひときわ
光るものがオレには感じることが出来ず、なんでこの本が
45万部以上も売れているのが不思議なくらい。
村上春樹のベストセラーはよくわかるが、これはよくわからない。
まあ、オレの感性とオツムの問題もあるかも知れないが…。
具体的にひとつあげると、オレにはムダとしか思えない描写が
ウンザリするほど出てくる。
「それが何関係あんの?」ってなもんで。
ところで、この世に終末が来るってこと想像したことある?
オレは小学校の時から何回もある。
後期中年者になった今も、たまに考えるなあ。
小惑星に限らず、森羅万象、人類って存外危ういバランスの
上で成り立っているのかも…。

今年もお中元の季節がやってきました。
不景気で縮小や廃止を考えているご家庭や企業もある
でしょうが、消費喚起と地元の商業振興のためにも、
ぜひ続けてもらいたいものです。

File No.63
『日本一のてみやげ』一個人特別編集
(KKベストセラーズ 500円)
オススメ度★★☆☆☆

ハズカシながらこの本もいつもの衝動買い、しかも今回はコンビニで。
たまたま書棚を眺めていたら、このタイトルに惹かれてしまって…。
寝床でパラパラと読んで(見て)ると、なんとまあ、どれもこれも
逸品揃いで、思わず生唾を飲み込んでしまうほど美味しそうなもの
ばかり。
深夜帯の身にとっては、目の、いや腹の毒でした。
とくに、清左衛門の「贅沢茶漬」や神宗の「塩昆布」は、た、たまり
ません。佃煮好きなんです、ワタシ。
佃煮に限らず、海苔、梅干、納豆、ふりかけなどなど、白いご飯の
上にかけて食べるものが大好きなんですね。
もちろん、卵かけご飯も大好き。
唯一の例外はとろろかなあ…。
麻布十番・浪花屋総本店のタイ焼きも載ってましたよお。
ううっ、カブリつきたあい!
ちなみに、ワタシはタイ焼き頭から派デス。
ん?ところで、わが山形県のものは載ってないの?と思いきや、
ありましたよ巻末に。わが米沢牛からはじまって、コンニャク、
麦きり、だだちゃ豆、おみ漬けなど、ひととおり紹介されていて
ひと安心。
自分の気持ちを込めて人に贈り物をするっていうのは難しい
もんですよねえ。
できれば、地元のものを地元のお店で買いたいし…。
いつも「頭病め」して「優柔不断」になってしまうので、
決断の早い(というか単純というか)家人に全面的におまかせ
しておりマス。

No.11の『ジェネラル・ルージュの凱旋』でふれた、
チームバチスタの主人公桐生助教授のモデルの話を
訂正します。
ホントのモデルは、「須磨久善」この人でした。

File No.62
『外科医 須磨久善』海堂 尊(講談社 1143円)
オススメ度★★☆☆☆

この間本屋さんに行った時、この本を見つけ、スグ買いました。
何せ、今注目の作家「海堂 尊」が、はじめて手がけた
ノンフィクション、しかも題材が、あのチームバチスタの主人公の
モデルになった人物とあっては、いち早く読んでみた〜い。
と思って、帰って一晩で一気に読んでしまいました。
この須磨久善という医師はスゴイの一語。
話は、須磨がベルギーで初の公開手術に臨むところから始まり
ます。とてつもないプレッシャーの中、公開手術をみごとに
成功させ、心臓外科医須磨の名は一躍世界的なものとなります。
心臓バイパス手術の際の代替血管に胃大網動脈を使うという
斬新な手法は、まさに須磨オリジナル。
この手法で術例を重ね、地歩を固めて行った須磨は、
いよいよ日本発のバチスタ手術に臨みます。
このバチスタ手術とは、肥大化した心臓の一部を切り取り、
縮小縫合するという大胆なもので、術後の生存率も含め、
イチかバチかの術式で、当時の日本では、まだ誰もしたことが
ないものでした。
ところが、この日本初のバチスタ手術の術後約2週間目に患者は
死亡してしまいます。
須磨の懊悩・苦悩の深さがにじみ出てくるような場面です。
でも、須磨は再び立ち上がり、二例目を成功させ、その後も
研究と工夫を重ね、術後生存率を飛躍的に上げていきます。
やはり、人間として生まれてきた限りは、その人生を賭してまで
人の役に立たなければならない、というメッセージを
改めて叩きつけられた感じです。
それなのに、何で★2つ?
ん〜、海堂尊は小説書いていた方がいいかもしれません。
ノンフィクションライターとしては、やや食い足りないかも…。




日曜夜8時は言わずと知れた「天地人」ですが、
その後9時から、TBS系(TUY)の「官僚たちの夏」
観てますか?
これが、中堅の若手実力派俳優を揃えていて、しかも
城山三郎の原作ですから、なかなか面白いです。
でも、30年以上前の官僚小説をなぜ今頃になって
TBSがリバイバルしたんでしょう?ちょっとフシギ?

File No.61
『官僚たちの夏』城山三郎(新潮社 1200円)
オススメ度★★★☆☆

この本を、今から20年ぐらい前に初めて読んだ時は
★4つぐらいの感動でしたが、今回、ドラマを観たのを
きっかけに読み直してみると、何だか時代感覚が違いすぎて、
以前よりは熱くなりませんでした。
舞台は、昭和30年代の通産省。
「もはや戦後ではない」日本の産業を育てていこうと、
文字通り命を賭して仕事をするエリート官僚の話です。
主役の風越信吾は、実在した「ミスター通産省」佐橋滋
をモデルにしていると言われております。
大臣といえども、正論を貫き、決して権力におもねることの
ない風越の言動は、実に痛快です。
ドラマでも、主演の佐藤浩市(風越役)が、
「オレたちは大臣に雇われているのではない。国家に雇われて
いるんだ!」と言い放ちましたよね。
カッコイイ!
一度でいいから公然とそう言ってみたいもんです、男なら。
しかし、これほど尊大で、直言居士で、個性が強烈過ぎると、
さぞかし敵も多かったんでしょうね。
まあ、敵もあまりいなくて、さしたる軋轢もなく、多くの人から
親しまれるようでは、しょせん大きな仕事は出来ない、
というひとつの価値観でしょうね。
個人的には共感を覚えますが…、今の時代にあっては
どうでしょうか?
さてこの物語、決してハッピーエンドとはなりませんよ。
原作とドラマは、いくぶんストーリーに違いがあるようですが、
本を読むのが億劫な人は、どうぞ、ドラマの行く末に注目して
みて下さい。

いやあ〜、ひさびさのハレ〜。
朝も早よからペダルうって思いきや、なんだか想定外の
イベントが入ってしまって、少しフキゲン。
でも、気を取り直して、夕方、20kmのロードへ。
やっぱ、1週間ご無沙汰してると、ペダルが重い!
そんで、途中、コンビニでサボったついでに衝動買い
したのがこの本デス。

File No.60
『落語でわかる 江戸っ子の暮らしと人情』
歴史の謎を探る会編(KAWADE夢文庫 540円)
オススメ度★★☆☆☆

前にも「志ん生」のことを少し書きましたが、ワタクシ、
古典落語が好きでして…。
なんでか?
江戸庶民の喜怒哀楽を軽妙洒脱に語るこの芸が、以前から
妙にツボにはまるんです。
実生活に潤いや楽しさが余りないから、意識が少しの間、
逃避を決め込むのかも?
(ほんとうに、だとしたらシャレになりませんが…)
ともあれ、この本、有名な古典落語のあらすじを紹介
しながら、その中にあらわれてくる江戸時代庶民の暮らしや
風俗(今のフーゾクではありません)、習俗、人情などを
わかりやすく解説しています。
落語を聴いたことのない人でも、たぶん面白いと思いますよ。
数ある古典落語の中でも、わたしがとくに好きなのは、
「文七元結」、「そば清」、「目黒のさんま」、「火事息子」
など。
笑いの中にもホロっとさせられる人情物が好きなんですよ。
だから「寅さん」も大好き。
粋で、強がりで、人情にもろい江戸っ子を生き生きと語り
描く江戸古典落語は素晴らしい伝統芸能です。
この本には、江戸のころの生活・風俗にかかわるウンチクも
ちりばめられています。
そのひとつ、なぜ「二八そば」というか?
もちろん、そば粉8:小麦粉2で打ったそばというのが表の
説ではあります。
では、裏の説は。それは、屋台そばが16文で売られていたから
ということらしいです。
つまり、2×8=16。
いかにもの由来ですねえ。
こんな話がいっぱい出てくるので、退屈しませんよ。
で、なんで★2つかというと、それは、やっぱ落語は「聴く」
ものであって、「読む」ものではないからでしょうか。
今日も雨でしたねえ。
朝も外に出られずションボリ本を読んで、
昼からの結婚式に行って、ちょっとお酒入って、
また夕方からショボンと本読んで、
まるで頭の中も雨・雨…。
明日こそ、ペダルこぐぞ!

File No.59
『欲望する脳』茂木健一郎(集英社新書 735円)
オススメ度★★★☆☆

NHKの「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」は、なかなか
面白くてタメになる番組ですねえ。
私もたまに観ています。
この番組のホスト役というか聞き手が、今注目の脳科学者
茂木健一郎。
現代日本の知性を代表する一人なんですが、最近、バラエティ
番組にも出ていて、ちょっとノリすぎ…?
著書も多く、『ひらめき脳』なんかは、とても平易で面白い
内容でした。
しかし、彼の真骨頂は、この『欲望する脳』です。
孔子が70歳で到達したとされる「自分の心の欲する所に従っても、
倫理的規範に抵触しない」という『論語』の言葉をキーワードに
人間の欲望に関する考察が繰り広げられます。
物語のようにストーリーを追うような軽い読みは出来ない内容
ですが、随所にナルホドと思わせる卓見が散りばめられて、
興味が尽きません。
「あまりにも肯定的な美意識に貫かれた人はうさんくさい。
杓子定規なキレイさは、生命力の減退を感じさせる。…
否定的で、ともすれば破滅的な衝動が、積極的で建設的な
志向性へと転化される」
ん、むずかしい?
要するに、少しワルで不良の方が、いい仕事をする、ということ。
(かなり意訳しすぎ)
少しスマートに、私なりに言えば、「負のエネルギーもない奴が、
正のエネルギーを出せるハズがない」ということ、かな?
(これまた、かなり自分に都合の良い解釈)
学生時代、成績不良・素行不良で親や先生を悩ませたアナタ、いや
ワタシ?、これからそのエネルギーを正の志向性に転化させて行けば、
きっと素晴らしい人生になるハズです、たぶん。
著者はこうも言ってます。
「生の本質は逸脱にある。時々失敗するくらいでなければ、
『生きている』甲斐がない」と。
ナントすばらしい言葉じゃありませんか!

いつものことながら、ほとんど書評の体を成しておりませんが、
とにかく生きることの何たるかを考えさせてくれる逸品ですから、
ぜひご一読を。



今日も日がな降ったり止んだり…。
もう7月も半ば過ぎたというのに、梅雨空はなかなか
晴れませんねえ。
ペダルもこげないんで、晴耕雨読じゃあないんですが、
めずらしく日がな半日本を読みふけってました。
それがまた、夏に読むにはうってつけの内容でして…。

File No.58
『面白南極料理人』西村 淳(新潮文庫 514円)
オススメ度★★☆☆☆

この本の著者西村氏は海上保安官ですが、その専門性や
料理人としてのウデ、特異なキャラクターのお陰かどうか、
通算2回4年にわたる南極越冬隊員を経験します。
本書は、2度目の南極越冬の時の抱腹絶倒の記録です。
一口に南極といっても、本書の舞台はかの昭和基地から
1000kmも内陸に入った標高3800m、平均気温マイナス57℃
という過酷な場所にある「南極ドーム基地」。
この狭くて過酷な基地で1年間も9人のオッさんたちが
寝食を共にするわけですから、そりゃあもう…。
いくら担当隊員とはいえ、食い物と酒の話のオンパレード。
なんとこの隊は「米沢牛」も大量に持ち込んでいます。
そして、米沢牛を調理して食べるシーンでは、
「味覚の限界を超して、よくわからない…」って書いて
あるんで、思わずこちらも一人爆笑。
あと興味深かったのは、越冬食料を調達する冒頭の部分。
人間は1年間にどのぐらいの(重さの)食料を摂取するのか?
南極観測隊の統計によると、飲料も含めて約1トンぐらい
というのが目安なんだそうです。
ええっ!そんなに食ってんの?人に教えたろって思いましたが、
「オマエは1.5トン食ってる」って切りかえされそうなんで
やめときます。
それにしても、この著者である西村おっさん、かなり酒が好き
ですねえ。しかも豪放にしてタフ。
そんな人たちと1年間毎日狭い基地の中で酒飲んでわあわあ
してる(もちろん仕事もしっかりしてたようですが)なんて、
私だったら1週間ももたないだろうナ。
ましてや、風呂好き・トイレ好き?の身としては、それらの
環境が劣悪だとちょっと参ってしまうかも…。
まあ、それだけ軟弱になったというか、年とったというか…。
20代まではどんなとこでも寝れたのに、今はきれいなホテル
でもベットの相性が悪いとなかなか爆睡というわけにはいかなく
なってしまいました。
またキャンプでも再開して鍛え直すしかないかなあ。


また今年も戦争に思い馳せる夏がやってきました。
広島、長崎の原爆慰霊に続き、8月15日の終戦記念日…。
多くの無辜の民までを犠牲にした太平洋戦争。
かなり重苦しいテーマですが、日本人として避けては
通れません。

File No.57
『真夏のオリオン』福井晴敏(小学館文庫 552円)
オススメ度★★☆☆☆

これも前回同様、S氏から借り受けたもの。
今公開中の映画『真夏のオリオン』の映画化原作として
書き下ろされたものです。
つまり、原本は前回取り上げた『雷撃深度十九・五』です。
大体ストーリーは似ていますが、本作は映画化原作だけあって、
だいぶ演出・脚色が施されています。
ちょっとミエミエだったり、きれい過ぎたりする部分も
あるので★はふたつになってしまいました。
が、エンターテインメントとして読むなら、
こっちの方がオススメです。
そして、前作ではわからなかったことが、ちゃんと説明
されていたりします。
そのひとつは、当時の伊号潜水艦が、なぜ海面浮上しなければ
航行できなかったか、ということ。
理由1=当然のことながら、艦内の酸素補給。
理由2=これが素人ではわかりません。伊号潜水艦のメイン
動力はディーゼルエンジンなのですが、潜行中はディーゼルを
使うわけにはいきませんから、モーターで駆動します。
つまり、浮上してディーゼルで海面航行しながらバッテリー充電
をしなければならなかったのです。
ナルホド!
興味の無い人にはどうでも良いことではありますが…。
エピローグでスチュワート艦長の孫が手紙に書いたこの言葉こそが
本作の大きなメッセージであるような気がします。
「したり顔で人生を損と得とで割り切り、その代償として
押し寄せる不安に心奪われ、『正義』や、『人としての誇り』や、
そして希望から、目を逸らそうとばかりしているのでは
ないだろうか…」
ウムムム…、心にイタい。
ぶっくぶくも明らかなペースダウン。
早くも夏バテなのか?
いいえ、自転車のせいです。
あの、爽快な疾走感、ハマっちゃいましたねえ。
知人S氏から借りてたこの本も、ようやく昨日手にとった次第。
この本にもハマりましたあ。
ハマりやすい性格なのかな?

File No.56
『雷撃震度十九・五』池上 司(文春文庫 629円)
オススメ度★★★☆☆

映画「真夏のオリオン」の原作になった小説です。
時は太平洋戦争末期。
主な舞台はグアム島沖。
原爆を積んだ米海軍重巡洋艦インディアナポリスと
帝国海軍伊号第58潜水艦が死闘を繰り広げるストーリーです。
太平洋戦争後半の日本軍の惨敗ぶりは、目を覆い、耳を塞ぎたく
なるほど悲惨です。
そんな絶望的な戦況の中で、最末期に、日本の潜水艦が
米軍の大型艦船を撃沈したことは、まさに快挙であり、
まぎれもない史実でもあります。
そういう意味で、この小説は、半分史実をベースに書かれた
ものです。
偶然にも潜水艦に乗り込むことになる永井少将が、類まれな
戦術をもって、人間魚雷「回天」を囮に使い、
最後にインディアナポリスに魚雷をブチ込むシーンは
圧巻のクライマックス。
「太平洋戦争とは何だったのか」が生涯の命題であり、
最大の関心事としている私としては、皮膚があわ立つような
興奮を覚えました。
やはり日本人であるかぎりは、自国に誇りを持ちたい。
それは、自他を不幸にする武力というパワーではなく、
知恵と勇気、慈愛と礼節を持った国民であるということ。

なんか、久しぶりなんでカタい内容になっちゃいました。
まあ、この本は、私と同世代で、「もはや戦後ではない」時代に
生まれた作家によるものですから、迫真の深刻さと言うのは
あまり感じられません。
いわゆるエンターテインメント小説としても充分楽しめます
から、興味ある方はぜひご一読を。


米沢出身の漫画家と言えば、循環バスでおなじみの
ますむらひろしさんですよね。
でも、もう一人いたんです。ラズウェル細木。
この方が米沢に帰ってきた時、っていうか、取材しに来た時、
私の職場の上司が一緒に飲んだんですって。
で、この本は上司からもらった、いや、貸していただいたもの
であります。
「オマエ少しカタイから、たまにはマンガでも読め」ってことかしら?

File No.55
『酒のほそ道 25』ラズウェル細木(日本文芸社 590円)
オススメ度★★★☆☆

ひさびさのマンガ。
ごく一部のものを除いて、あんまりマンガ好きじゃないんですが、
これは面白かった。
だって、米沢や高畠、川西のことが出てくるんですよお。
これは、主人公であるサラリーマンの宗達が、いろんな店や
いろんなところ、いろんな場面で、酒と肴を楽しむオムニバス。
最初にグ〜と飲むビールの上手さを絶妙に表現しています。
きっと、この作者自身が、酒と季節の肴をこよなく愛していて、
マンガのネタもすべて自ら仕入れたものでしょう。
米沢・置賜が舞台となるのは、第18話から第20話。
米沢牛の「Y亭」、「T光の酒蔵」「Hくれない」、しめラーメン
の「Hく」、その近くの「B慶」、川西の「T平」、高畠の
「Tワイン」、「Sワイナリー」と、ご存知・おなじみの
とこばかり。
挙句のはてには、登場人物も、「ああ、この人は○○さんだあ」
ってすぐわかる地元の人。
ちなみに、一緒に飲んだハズのわが上司は登場しませんでした。
ザンネ〜ン。
マンガに出てくるなんて、テレビに出るより難しいですよ、たぶん。
でも、このマンガ、「酒と肴の歳時記」って副題が付いている
だけあって、これでもかっていうほど酒・酒・酒、そして肴。
ああ、私も「梅酒」でも飲もうかなあ。
実は、最近「果実酒の作り方」に関する本を何冊か買って、少し
ずつチャレンジしようかなって。
まずは手始めにポピュラーな「梅酒」。
そして、ちょっともったいないけど「さくらんぼ酒」。
これからの季節、氷入れて果実酒なんてサイコーですよねえ。
だって、私、事情があって、ビールはあんまり…。

最後に、はじめに書いた、ごく一部のマンガを除いては、という
そのごく一部とは、麻雀マンガなんですう。
これだけはべつ腹、でなくてべつモノ。
S君、読んでますよお、「坊や哲」。あれも面白いねえ。
だいぶご無沙汰してしまって…。
『1Q84』の余韻と、ペダルと、週末ごとのヤボ用が重なって
しまいまして、ほぼ2週間ぶりのアップとなってしまいました。
この間、半分ぐらいまで読んでいた本を電車の中に忘れてしまう
という間抜けな不幸も重なってしまいまして。
忘れた本の題名も忘れてしまったというオソマツさ。
確か、宮部みゆきの本だったと思いますが…、まあ、拾った方、
どうぞお読み下さい。

File No.54
『誰も書けなかった石原慎太郎』佐野眞一(講談社文庫 943円)
オススメ度★★★☆☆

石原慎太郎って東京都知事のアノ方です。
今は、東京オリンピック誘致でがんばっておられるようですね。
芥川賞受賞作家にして、元国務大臣(国会議員)、そして
国民的スターだった石原裕次郎の兄。
長身にして端正な容姿、歯に衣きせぬ物言い。
それが、ある時は爽快だったり、痛快だったりしたんですが、
近年はちょっと暴言が過ぎるようなところがありますねえ。
その慎太郎の実像を、父・潔の時代からさかのぼって追って
いくのが同書の内容です。
石原家は四国の八幡浜をルーツとして、その後、神戸、小樽、
神奈川県逗子、田園調布と、その居を移していきます。
中でも、小樽時代の話は面白いですよ。
また著者は、父・潔の若い頃の赴任地である旧樺太にも行って
るんです。何と言う取材力!というか執念。
何だか、慎太郎自身より、父・潔の豪放な人生が数倍面白いし、
弟・裕次郎の才能やオーラ、生き様の方が、ずっと魅力的に
思えるのはワタシばかりでしょうか?
いいえ、著者も再三指摘していますが、慎太郎の根底には、
父と弟に対する拭いがたいコンプレックスがあるのだと。
いずれにしても、慎太郎も、もはや老境、かつてのキレや
危うさは影をひそめて、短気で浅薄で、自己中心的で、
エキセントリックな面ばかりが強調されてきているような
気がします。
一世を風靡した慎太郎も、もはや落陽の時期を迎えている
のでしょうか。

20kmほどペダルこいで、アタマとカラダをスッキリさせて、
いざBook2へ。
期待に違わぬ展開と結末。
余韻が強すぎます…。

File No.53
『1Q84 Book2 7月-9月』村上春樹(新潮社 1800円)
オススメ度★★★★☆

大きな期待とワクワクした予感を持ってBook2を読み出しました。
物語が終わってしまうのが惜しい…、こんな気持ちになったのは
いつ以来のことでしょうか。
「ふたつの月」が象徴するもの?
「リトル・ピープル」の正体?
「空気さなぎ」って?
「天吾」と「青豆」の再会と再生は?
いろんな期待と疑問を抱かせながら、物語は緊張感を保ちながら
終幕へと向かいます。
推理物のような展開と結末を望む人には、ちょっと期待はずれかも
しれません。
私だったら、こういう展開にはしないのになあ、と思う部分が
あります。でも、それが村上春樹の独特の感覚と言うか、
ワールドなのでしょうね。
善と悪のバランス、実存と影の交錯…。
「天吾」は自らリライトした物語の中の世界に入り込んでしまう
のですが、この本の読者も、村上ワールドの住人になってしまった
ような感覚を持つのではないでしょうか?
「青豆」と「天吾」、そして「空気さなぎ」が絡む結末は
余りにも切なすぎます。
「1Q84年」はさらに続くのでしょうか?
ナンノコッチャ?とお思いの方、読まねばわかりません。
そして読み終わったら、外に出て空を仰いでみて下さい。
そこには二つの月があるかも!?

1週間以上もご無沙汰してしまいました。
ちょっとペダルをこぎ始めたもんで…。
いやあ、久々の村上春樹の書き下ろし『1Q84』、
話題騒然ですねえ。私もさっそく買いましたよ。
やっぱ村上ワールドは面白すぎる!

File No.52
『1Q84 Book1 4月-6月』村上春樹(新潮社 1800円)
オススメ度★★★★☆

この本、発行の仕方から話題になりましたねえ。
徹底した情報統制をして、発行まで内容を一切明かさず、読者の
「飢餓感」をあおったとか。
ブックカバーにもオビにも、内容に関することはほとんど
書いていないのです。
私もいち早くあおられた一人でして、村上ファンでもないのに。
でも、内容は期待を裏切らないものでした。
「青豆」と「天吾」のストーリーが交互に語られるスタイル
になっていますが、二人の人生のヒダヒダが再び交錯してくる
予感がたまりません。
「二つの月」や「リトル・ピープル」が象徴するものも、
おぼろげながらも想像の範囲内に入ってくる高揚感もいいですねえ。
なんだか、読み飛ばしていくのがもったいなくて、ひさびさに
ジックリ楽しめておりマス。
多くの人が遅かれ早かれこの本を手にとるでしょうから、
もちろんストーリーは言えませんが、近ごろのオススメ度ピカいち
かもしれませんよお。
私も今日からBook2を読み出しました。
ああ、また眠れなくなりそう…。
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