ぶっくぶくの部屋
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筆が進まないワケ
このところアップ頻度が極端に少ない。
そのワケは?
オレの部屋がすごく暑くてたまらんのよ。
数年前に年代物のクーラーが壊れてから、家人がケチ
なもんで新調してもらってない。
使用頻度の少ない物置みたいな部屋にクーラーなんて
要らない!とバッサリ。
うむ〜、ごもっとも。
今日は送り盆。
秋はすぐそこ、もう少しの辛抱だわい。
File No.317
『ブルーノ・タウト』田中辰明(中公新書 760円)
オススメ度★★★☆☆
「泣きたくなるほど美しい」
この有名なフレーズ知ってる?
ブルーノ・タウトが京都の桂離宮を観たときに放った感嘆の言葉。
日本建築の究極の美とも言える桂離宮をタウトが絶賛した
ことによって、ブームが湧きおこったそうだ。
タウトは1880年生まれのドイツ人。
長じて建築家となり、集合住宅など多くの建築設計を手掛け、
その作品群は世界遺産にもなっている。
建物に色彩を取り入れた作風から「色彩の建築家」とも呼ばれている。
しかし時は第二次世界大戦前夜。
ナチス・ドイツの軍靴が高くなり、平和主義のタウトはその愛人
エリカとともに日本に亡命。
そこで日本美を再発見することとなる。
オレも今の今までタウトはユダヤ系だったからナチスから亡命したと
ばかり思っていたが、どうやらそれは違うらしい。
日本も戦争への道を歩み始めた頃で、タウトの日本滞在はわずか3年余。
その後、トルコのイスタンブールに渡り、そこで弱冠58歳で客死して
しまう。
こうしたタウトの数奇な運命と足跡、そしてその作品群を追っている
好著でもある。
File No.318
『無縁社会』NHKスペシャル取材班(文春文庫 629円)
オススメ度★★★★☆
少し前にNHKスペシャルで放映された「無縁社会」の取材詳細を
文庫化した本。
行き倒れ、孤独死、身元不明死など遺体の引き取り手のいないいわゆる
「行旅死亡人」とされる死は、わが国で一年間に3万2千人にも及ぶという。
1年間の自殺者数とほぼ同じぐらいいる。
その中からいくつかのケースを追跡し、人と人とのつながりが極端に
希薄になってしまった現代を「無縁社会」として描き出している
迫真のレポートでもある。
一言で言えば「身につまされる」思いがする。
オレたちだって、絶対そうならないとは限らないのだから。
この本は現代社会の暗面ばかりを追っているわけではない。
最後に、新たなつながりを支えていくNPOの取り組みも紹介している。
「人はつながりの中に自分の存在や役割を感じられて、はじめて
生きていける…大切なことは、必要としてくれる人がいること、
そして必要としてくれる場所があること…」
この言葉は重い。
File No.319
『米沢牛物語』尾崎 仁(エル書房 1200円)
オススメ度★★★★☆
こういう本が地域には必要だ、というのが率直なオレの読後感。
オレたちは普段何気に、そしてあやふやな知識で、なんとなく
「米沢牛」というものを誇りに思ってきた。
それはそれで悪いことではないのだが、米沢牛ブランドたるゆえんとか
確かな根拠とか、正確な知識とかで裏付けされれば、なおいいことは
当たり前。
そういう意味でこの本は格好である。
著者は全国各地の人たちに読んでもらいたいのだろうが、オレはまず
地元米沢の人たちこそ読むべき本だと思う。
文章も極めて平易に書いているので、小学生や中学生にもうってつけの
地域学教材となるのではないだろうか。
オレ自身、読んでいて「なるほど、そういうことなのか」と思わせられる
ところがたくさんあった。
例えば、牛肉の格付け。
よく「A5」とか耳にするが、
A・B・Cが表しているのは「歩留まり」で、
5・4・3…が表しているのが「肉質」なんだそうだ。
もうひとつ例えば、米沢牛を広めた二つの口コミルート。
ひとつが、旧米沢高等工業学校(現山形大学工学部」)の学生さんたち。
米沢での学生時代に食した絶品米沢牛の味を全国に広めたそうだ。
もうひとつが米織の旦那さんたち。
全国各地との商売関係で広めていったらしい。
いずれも、米沢の独自性と密接につながった話で、きわめて興味深い。
オレもただ読んでるだけでは飽き足らなくなってきたぞ。
よ〜し、今夜はひとつ大フンパツして…!
2012.08.16:
ycci
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